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日本電技のニュース
■要約
日本電技<1723>は、「計装エンジニアリング企業」である。オフィスビルをはじめ、ホテル、病院、工場などの非居住用建築物を対象に空調設備を自動制御する空調計装関連事業と、工場の組立工程の自動化などの産業計装関連事業の分野において、設計から施工、メンテナンスまでを手掛けている。特に、売上高構成比(2018年3月期)で87.6%を占める主力の空調計装関連事業は、自動制御機器大手であるアズビル<6845>の最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として豊富な実績とノウハウを誇る。
「計装」とは、ビルや工場などにおいて、空調や生産ラインといった各種設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって有機的に機能させることである。また、「エンジニアリング」とは、部分最適に陥りがちな設備やユーティリティなどを、ユーザーにとって全体最適化する技術力を指す。同社の強みは、「計装エンジニアリング」というビジネスそのものにあると考える。同社は、こなした現場の数によって技術力に差が出ることから「経験工学」と言われる計装の大手で、唯一のエンジニアリング専業会社というポジションにある。このため、設計や施工技術、組織対応力などの「計装エンジニアリング」のノウハウが、長年にわたって同社のDNAとして蓄積されているからである。
2018年3月期の業績は、売上高27,160百万円(前期比1.8%減)、営業利益2,767百万円(同4.8%減)となった。売上高は、空調計装工事の受注が東京オリンピック向け再開発需要などを追い風に好調、産業計装関連事業では企業の設備投資増による利幅の厚い工場設備が増えたが、空調計装関連事業で翌期以後の完成計上比率が増加した影響などにより、わずかに減収となった。微減収に加え人手不足などによる販管費負担増により、営業利益は減益となった。2019年3月期の業績見通しについて、同社は売上高27,500百万円(同1.2%増)、営業利益2,750百万円(同0.6%減)を見込んでいる。都市部を中心に堅調な建設需要が続くなか、繰り越し工事を順調に消化することで増収を確保する予定である。一方、オリンピック関連工事やインフラ工事の本格化を背景に、労務費や資材費、外注費がかさむ傾向にあり、営業利益は微減益予想となっている。
同社は中期経営計画の目標として、2021年3月期に受注高31,000百万円、売上高30,000百万円、営業利益3,500百万円を目指している。重点戦略は、効率重視の事業展開、顧客との関係強化の推進、戦略的受注の徹底、ニーズに応える技術力強化と領域拡大、働き方改革への対応——の5つである。さらに、事業基盤の強化にも取り組む方針で、事業本部を事業本部と技術本部に分割して機能を整備するとともに、採用拡大などにより人員を増強して施工監理体制の向上と現場労働者の高齢化に対応、協力会社の出向を受け入れての教育支援も強化する考えだ。
事業環境としては、民間非住宅建築着工床面積は2018年も2017年に引き続き高水準で推移するとの予測があり、建築着工は堅調に推移する見通しである。また、2018年度~2020年度に予定されている東京都心部の主要再開発は9地域で進行または計画中である。東京オリンピックまでは人的ボトルネックが懸念されるが、重点戦略を遂行することで、当面は売上を伸ばしながら採算を改善していく局面となるだろう。また、2020年以降も、訪日外国人向け宿泊施設の新設・更新投資は継続が見込まれる。工場も、新設投資は減るだろうが、同社得意の既存設備向けの省人化・省エネ化投資は拡大するだろう。空調計装関連の既設工事と産業計装関連事業の業容拡大に期待したい。
■Key Points
・「計装エンジニアリング」というビジネスそのものに同社の強みがある
・東京オリンピックを前に労務費などの上昇で2019年3月期は微減益予想
・事業基盤の強化などにより2021年3月期に営業利益3,500百万円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<TN>
日本電技<1723>は、「計装エンジニアリング企業」である。オフィスビルをはじめ、ホテル、病院、工場などの非居住用建築物を対象に空調設備を自動制御する空調計装関連事業と、工場の組立工程の自動化などの産業計装関連事業の分野において、設計から施工、メンテナンスまでを手掛けている。特に、売上高構成比(2018年3月期)で87.6%を占める主力の空調計装関連事業は、自動制御機器大手であるアズビル<6845>の最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として豊富な実績とノウハウを誇る。
「計装」とは、ビルや工場などにおいて、空調や生産ラインといった各種設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって有機的に機能させることである。また、「エンジニアリング」とは、部分最適に陥りがちな設備やユーティリティなどを、ユーザーにとって全体最適化する技術力を指す。同社の強みは、「計装エンジニアリング」というビジネスそのものにあると考える。同社は、こなした現場の数によって技術力に差が出ることから「経験工学」と言われる計装の大手で、唯一のエンジニアリング専業会社というポジションにある。このため、設計や施工技術、組織対応力などの「計装エンジニアリング」のノウハウが、長年にわたって同社のDNAとして蓄積されているからである。
2018年3月期の業績は、売上高27,160百万円(前期比1.8%減)、営業利益2,767百万円(同4.8%減)となった。売上高は、空調計装工事の受注が東京オリンピック向け再開発需要などを追い風に好調、産業計装関連事業では企業の設備投資増による利幅の厚い工場設備が増えたが、空調計装関連事業で翌期以後の完成計上比率が増加した影響などにより、わずかに減収となった。微減収に加え人手不足などによる販管費負担増により、営業利益は減益となった。2019年3月期の業績見通しについて、同社は売上高27,500百万円(同1.2%増)、営業利益2,750百万円(同0.6%減)を見込んでいる。都市部を中心に堅調な建設需要が続くなか、繰り越し工事を順調に消化することで増収を確保する予定である。一方、オリンピック関連工事やインフラ工事の本格化を背景に、労務費や資材費、外注費がかさむ傾向にあり、営業利益は微減益予想となっている。
同社は中期経営計画の目標として、2021年3月期に受注高31,000百万円、売上高30,000百万円、営業利益3,500百万円を目指している。重点戦略は、効率重視の事業展開、顧客との関係強化の推進、戦略的受注の徹底、ニーズに応える技術力強化と領域拡大、働き方改革への対応——の5つである。さらに、事業基盤の強化にも取り組む方針で、事業本部を事業本部と技術本部に分割して機能を整備するとともに、採用拡大などにより人員を増強して施工監理体制の向上と現場労働者の高齢化に対応、協力会社の出向を受け入れての教育支援も強化する考えだ。
事業環境としては、民間非住宅建築着工床面積は2018年も2017年に引き続き高水準で推移するとの予測があり、建築着工は堅調に推移する見通しである。また、2018年度~2020年度に予定されている東京都心部の主要再開発は9地域で進行または計画中である。東京オリンピックまでは人的ボトルネックが懸念されるが、重点戦略を遂行することで、当面は売上を伸ばしながら採算を改善していく局面となるだろう。また、2020年以降も、訪日外国人向け宿泊施設の新設・更新投資は継続が見込まれる。工場も、新設投資は減るだろうが、同社得意の既存設備向けの省人化・省エネ化投資は拡大するだろう。空調計装関連の既設工事と産業計装関連事業の業容拡大に期待したい。
■Key Points
・「計装エンジニアリング」というビジネスそのものに同社の強みがある
・東京オリンピックを前に労務費などの上昇で2019年3月期は微減益予想
・事業基盤の強化などにより2021年3月期に営業利益3,500百万円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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