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三井松島ホールディングスのニュース
*14:31JST 三井松島HD Research Memo(1):2023年3月期は前期に続き、各利益が過去最高を更新
■要約
三井松島ホールディングス<1518>は、2023年に創業110年を迎える歴史ある企業である。創業以来、祖業である石炭関連事業を継続しているが、世界規模での環境保全意識の高まりを背景に、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組み替えや石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立を推進している。2013年に現 代表取締役社長である吉岡泰士(よしおかたいし)氏が入社したことを機に、内部にFA(ファイナンシャル・アドバイザー)チームを組成し、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき、着実にM&Aを実行している。2014年2月の日本ストロー(株)子会社化を皮切りに計9社(2023年5月時点)を子会社化した。また、2018年に純粋持株会社体制に移行するとともに、社名を現在の三井松島ホールディングス(株)に変更した。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比71.7%増の80,015百万円、営業利益が同325.2%増の35,789百万円、経常利益が同318.0%増の35,933百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同325.8%増の22,977百万円となった。売上高に関しては、同社が新たな収益源として注力している生活関連事業において、電力関連資材を扱う日本カタン(株)を子会社化(2022年5月)したこと、世界的なエネルギー受給の逼迫を受けて石炭価格が上昇したことなどを受けて大幅な増収となった。利益に関しても、石炭価格の上昇が主因となり、エネルギー事業が前期比で急伸した。また、生活関連事業も着実に利益を積み上げた。これらにより、各利益は前期に続き、過去最高を更新した。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績について同社は、売上高で前期比17.5%減の66,000百万円、営業利益で同55.3%減の16,000百万円、経常利益で同52.7%減の17,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同52.1%減の11,000百万円を見込んでいる。石炭販売数量の減少と石炭価格の下落などにより、エネルギー事業が大幅な減収減益となることを見込んでいる。同事業が連結ベースの業績にも影響する見通しだ。一方で、生活関連事業に関しては、MOS(株)の子会社化などを受け、大幅な増収を見込んでいる。MOS以外の各連結子会社に関しても、事業環境に多少の濃淡はあるものの、総じて順調に推移する見通しだ。ただ、半導体市場の在庫調整により、産業用製品分野における需要の減少を見込んでおり、これを受け、セグメント利益は減益となる見通しだ。
3. 中長期の成長戦略
1991年にジョイント・ベンチャーとして参入し、32.5%の権益を保有している豪州NSW州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定となっている。これを受け、石炭生産分野及び石炭販売分野も2024年3月期をもって終了する見通しだ。一方で、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組み替えや石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。2020年3月期から2024年3月期までの5年間に300億円のM&A投資を実行することで、石炭関連以外の新規事業(以下、非石炭生産事業)で47億円の営業利益達成を目指している。
2023年4月時点の累計投資額が196億円(中期経営計画目標300億円のうち65%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は42億円と計画の89%を達成した。総じて順調に利益を増やしていること、効率的に投資を行っていることから、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
4. 株主還元策
同社は普通配当ベースで過去17期減配なく配当を実施している。創業110周年を迎えた2023年3月期は、創業110周年・最高益記念配当240.0円を実施した。この記念配当も含め1株当たり配当金は、前期比240.0円増の320.0円(配当性向18.1%)と前期を大きく上回った。また、2023年3月には株主優待制度にプレミアムペットフード優待券を新設した。今後の株主還元に関しては、普通配当80円(年額)を下限とすることに加えて、自己株式の取得を行うことにより総還元性向30%を目指す。
■Key Points
・祖業の石炭関連事業を100年以上継続する一方、脱炭素社会到来への備えとし、独自のM&A戦略に基づき新規M&A投資を着実に実行
・2023年3月期の各利益は過去最高を更新
・2023年3月期は創業110周年・最高益記念配当を実施
・2024年3月期は石炭販売数量の減少などを受け、減収減益の見通し
・リデル炭鉱については2024年3月期中に終掘予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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三井松島ホールディングス<1518>は、2023年に創業110年を迎える歴史ある企業である。創業以来、祖業である石炭関連事業を継続しているが、世界規模での環境保全意識の高まりを背景に、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組み替えや石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立を推進している。2013年に現 代表取締役社長である吉岡泰士(よしおかたいし)氏が入社したことを機に、内部にFA(ファイナンシャル・アドバイザー)チームを組成し、「安定収益・ニッチ市場・わかりやすい」といった方針に基づき、着実にM&Aを実行している。2014年2月の日本ストロー(株)子会社化を皮切りに計9社(2023年5月時点)を子会社化した。また、2018年に純粋持株会社体制に移行するとともに、社名を現在の三井松島ホールディングス(株)に変更した。
1. 2023年3月期の業績概要
2023年3月期の連結業績は、売上高が前期比71.7%増の80,015百万円、営業利益が同325.2%増の35,789百万円、経常利益が同318.0%増の35,933百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同325.8%増の22,977百万円となった。売上高に関しては、同社が新たな収益源として注力している生活関連事業において、電力関連資材を扱う日本カタン(株)を子会社化(2022年5月)したこと、世界的なエネルギー受給の逼迫を受けて石炭価格が上昇したことなどを受けて大幅な増収となった。利益に関しても、石炭価格の上昇が主因となり、エネルギー事業が前期比で急伸した。また、生活関連事業も着実に利益を積み上げた。これらにより、各利益は前期に続き、過去最高を更新した。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績について同社は、売上高で前期比17.5%減の66,000百万円、営業利益で同55.3%減の16,000百万円、経常利益で同52.7%減の17,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同52.1%減の11,000百万円を見込んでいる。石炭販売数量の減少と石炭価格の下落などにより、エネルギー事業が大幅な減収減益となることを見込んでいる。同事業が連結ベースの業績にも影響する見通しだ。一方で、生活関連事業に関しては、MOS(株)の子会社化などを受け、大幅な増収を見込んでいる。MOS以外の各連結子会社に関しても、事業環境に多少の濃淡はあるものの、総じて順調に推移する見通しだ。ただ、半導体市場の在庫調整により、産業用製品分野における需要の減少を見込んでおり、これを受け、セグメント利益は減益となる見通しだ。
3. 中長期の成長戦略
1991年にジョイント・ベンチャーとして参入し、32.5%の権益を保有している豪州NSW州リデル炭鉱については、州政府から許認可を得ている採掘エリアが2024年3月期中に終掘予定となっている。これを受け、石炭生産分野及び石炭販売分野も2024年3月期をもって終了する見通しだ。一方で、脱炭素社会到来への備えとして、事業ポートフォリオの組み替えや石炭関連事業に依存しない収益基盤の確立が必要と考え、そのためのロードマップや具体的対策をまとめた中期経営計画を2018年11月に策定した。数値目標としては、最終年度の2024年3月期に営業利益55億円、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げている。2020年3月期から2024年3月期までの5年間に300億円のM&A投資を実行することで、石炭関連以外の新規事業(以下、非石炭生産事業)で47億円の営業利益達成を目指している。
2023年4月時点の累計投資額が196億円(中期経営計画目標300億円のうち65%)となるなか、2023年3月期の非石炭生産事業の営業利益は42億円と計画の89%を達成した。総じて順調に利益を増やしていること、効率的に投資を行っていることから、最終年度である2024年3月期に目標を達成する可能性は高いと弊社では見ている。
4. 株主還元策
同社は普通配当ベースで過去17期減配なく配当を実施している。創業110周年を迎えた2023年3月期は、創業110周年・最高益記念配当240.0円を実施した。この記念配当も含め1株当たり配当金は、前期比240.0円増の320.0円(配当性向18.1%)と前期を大きく上回った。また、2023年3月には株主優待制度にプレミアムペットフード優待券を新設した。今後の株主還元に関しては、普通配当80円(年額)を下限とすることに加えて、自己株式の取得を行うことにより総還元性向30%を目指す。
■Key Points
・祖業の石炭関連事業を100年以上継続する一方、脱炭素社会到来への備えとし、独自のM&A戦略に基づき新規M&A投資を着実に実行
・2023年3月期の各利益は過去最高を更新
・2023年3月期は創業110周年・最高益記念配当を実施
・2024年3月期は石炭販売数量の減少などを受け、減収減益の見通し
・リデル炭鉱については2024年3月期中に終掘予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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