日銀会合を前に様子見、外国人の継続買い評価

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/17 19:09

明日の東京株式市場見通し

 18日の東京株式市場は、日銀の金融政策決定会合の内容発表を翌日に控えて、売り買いともに様子見姿勢が強まりそうだ。ただ、そのなかでも積極的な売り材料に乏しいことから、買いが上回り日経平均株価は続伸となりそうだ。

 市場関係者からは「大引けに掛けやや上昇幅が縮小したため、一部で期待されていた2007年2月の10営業日連続陽線以来、約8年9カ月ぶりの“9営業日連続陽線”の記録達成は惜しくも逃したものの、外国人投資家からとみられる買いは継続している」との見方が出ていた。

 17日の東京株式市場は、終始買い優勢で日経平均株価終値は前日比236円94銭高の1万9630円63銭と急反発。フランス・パリで発生した同時テロの影響も懸念されたが、前日の欧州株市場が総じて底堅さをみせ、これを好感して米株式市場も急反発となったことから、東京市場にも買い安心感が広がった。また、外国為替市場での円安進行も追い風として作用した。

17日の動意株

 ハローズ<2742>=連日の急騰。
同社は広島や岡山などを中心に食品スーパーを展開し、24時間営業を強みに業績拡大路線を走る。16年3月期は本業の儲けを示す営業利益が前期比6.6%増の36億7200万円予想と好調だが、一段の上振れを予想する向きもある。売買高が膨らまないため目立たないが、日足のみならず週足でも3週続けて大陽線を示現するなど特定資金の継続買いを示唆する値運びだ。「元来、売り物薄で値が飛びやすい特性を持つ。躊躇なく買い進むのは株数を純粋に組み入れることを目的とした小型株ファンドなどの動きを反映したものではないか」(国内準大手証券)と指摘されている。同社株は先月16日付でジャスダックから東証1部に市場変更となっている。

 フリービット<3843>=後場に入って急動意。
同社はきょう、スマートデバイス開発で初のODM生産となるスマートフォン端末が、同社とカルチュア・コンビニエンス・クラブ(東京都渋谷区)の合弁会社であるトーンモバイルの2015年秋モデル新端末して販売が開始されたと発表。数十万台規模の供給体制を確立したことも明らかにしており、期待材料となっているようだ。

 アーレスティ<5852>=急反発。
同社が手掛ける自動車向けダイカスト需要が北米向けを中心に売り上げを伸ばしており、15年4~9月期の営業利益は前年同期比3.8倍の18億1900万円と回復が急だ。生産体制刷新によりコスト要因も急改善し、16年3月期営業利益は前期比67%増益を見込む。株価指標面ではPBR0.3倍台と割安感が際立ち、会社解散価値の3分の1の水準に放置されていることから見直し買い余地が大きい。

 戸田工<4100>=大幅高。
磁性粉末材料のトップメーカーであり、欧米排ガス規制の強化を背景としたプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)への需要の高まりを背景にリチウムイオン2次電池正極材料への展開で注目を集めている。株価は8月25日に240円の年初来安値を形成後に出直り、時価は13週移動平均線を絡めた300円台前半のもみ合いを経て上昇第2波の初動にある。

 三機工業<1961>=3日ぶり反発。
設備工事大手で空調や電気工事、搬送システム、上下水処理設備などを手掛けるが、選別受注が奏功しているほか、内勤スタッフで構成する「サイト業務支援センター」が工事採算改善につながっている。16年3月期連結業績は営業利益段階で従来予想の35億円から60億円(前期比2.0倍)に大幅上方修正しており、好業績を背景に株価は新値街道復帰を目指す展開。

 健康コーポレーション<2928>=急伸。
同社は16日の取引終了後、子会社のRIZAPが、ソフトバンクグループ<9984>と、IT・通信およびヘルスケア領域を中心とする分野において新たなビジネスモデルを創造する協業体制を構築することを発表、これを好感する動き。今回の協業ではソフトバンクのIT・通信技術を用いた企業向け情報プラットフォームサービスと、RIZAPの指導ノウハウや顧客とのリアルな接点とを組み合わせて、遠隔地でもRIZAPのサービスを気軽に受けることができるサービスを共同で開発し、来春をメドにリリースする予定。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想