イベント疲れで一服、郵政3社には継続注目

著者:冨田康夫
投稿:2015/11/04 19:58

明日の株式相場見通し

 あす(5日)の東京株式市場は、きょう新規上場した郵政3社の動向に影響を受ける相場展開が続きそうだ。市場には、ややイベント疲れの兆候もみられることから、日経平均株価は一服商状となりそうだ。
 郵政3社の株価がいずれも公開価格を大幅に上回る推移となり、市場関係者の大方の予想を上回る極めて好調な滑り出しとなったことで、逆に全体相場には警戒感が出ている面もあるという。市場関係者からは「郵政3社の事前予想を大幅に上回る人気ぶりで買いが集中し、好決算を発表している他の有望銘柄に手控えの動き広がっていることは確か。郵政株人気が落ちついた時点で、通常の物色に戻る」との見方が出ていた。

 4日の東京株式市場は、終始買い優勢で日経平均株価は一時、前営業日比470円近い上昇で1万9100円台まで買われた。ただ、後場後半は伸び悩み、終値は前営業日比243円67銭高の1万8926円91銭と上昇幅を縮小した。東証1部の売買代金は、郵政3社上場もあり3兆3892億円と大きく膨らんだ。

 日程面では、大阪府知事選告示(22日投開票)、日銀金融政策決定会合議事要旨(10月6~7日開催分)、2日時点の給油所の石油製品価格に注目。
海外では、G20貿易相会合、欧州委員会の秋季経済見通しが焦点となる。

郵政3社の上場初日は日本郵政、かんぽ生命が初値を上回り引ける、かんぽ生命はS高

 きょう東証1部に新規上場した日本郵政<6178>ゆうちょ銀行<7182>かんぽ生命保険<7181>は、それぞれ1760円、1671円、3430円で上場初日の取引を終え、日本郵政とかんぽ生命は初値の1631円、2929円を上回り、一方のゆうちょ銀行は初値1680円を下回って引けた。なお、公開価格からは、それぞれ25.7%、15.2%、55.9%高で引けている。

 日本郵政は、9時33分に公開価格1400円を231円(16.5%)上回る1631円で初値をつけた後、9時58分には1665円まで上昇。その後は1600円台前半でもみ合ったが、午後2時過ぎからかんぽ生命のストップ高を受けて上げ足を強め、午後2時58分には1775円まで上昇した。
 ゆうちょ銀行は、日本郵政と同じ9時33分に公開価格1450円を230円(15.9%)上回る1680円で初値をつけた直後に1693円まで上昇。さらに9時38分には1635円まで売られたが、後場は緩やかに上昇し、後場終盤には初値を上回って推移。ただ、引けにかけて売られ、初値を下回って引けた。
 かんぽ生命は、公開価格2200円を729円(33.1%)上回る2929円で初値をつけたあと、2917円まで売られたが、10時14分には3350円まで上昇。前場終盤からは上げ基調を強め、午後2時過ぎにはストップ高の3430円まで買われ、その水準を維持したまま引けた。
 これにより、郵政3社の時価総額は17兆4975億円まで拡大した。また、郵政3社合計の売買代金は6203億9058万円となり、東証1部概算(3兆3892億円)の18%に膨らんだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想