「強弱ポイントを上回る、強気形状へ」

著者:黒岩泰
投稿:2015/08/13 18:31

「オプションSQ直前も波乱要因に」

 本日の日経平均は202.78円高の20595.55円で取引を終了した。朝方はもみ合いスタートとなったが、その後は上値を試す展開。途中、中国人民元の基準値が3日連続で切り下がったことを嫌気する売りがあったものの、その後は落ち着いた動きとなった。

 日経平均の日足チャートでは、再び強弱の判断ポイント(前回の窓上限、20443.89円)を上回る展開。強気相場が継続していることを意味しており、目先は上値を試す展開となりそうだ。

 ザラ場中にこんなに株価が乱高下するのは、明日がオプションのSQという理由もある。建て玉では20500円のコールが積み上がっており、このコールの売り手が“右往左往”したからだ。コールの売り手は上昇時に先物を買いヘッジし、逆に下落時にはその先物ヘッジを外す傾向が強い。しかし、再び株価が上昇してくると、買いヘッジの必要性がまた出てくるのだ。だから20500円を挟んで株価が乱高下した。SQ直前ならではの激しい値動きということである。

 こんなに相場に振りまわされると、普通の投資家は無傷ではいられない。なぜならば、株価が上昇すると「もっと上昇する」と考え、株価が下落すると「もっと下落する」と考えてしまうからだ。これを私は「相場観の慣性の法則」と呼んでいる。
 だから、こんなに株価が変動すると、一般的な投資家は損の上積みとなる。そう簡単に逆張りできないからだ。そんな“か弱い投資家”のために、開発されたのが「窓・壁・軸理論」による両建て戦略である。通常、買いだけやっている投資家は、このような相場が大きく下に振れたとき、怖くなって損切りしてしまう。それ以上、損失を拡大させたくないと考えてしまうからだ。だが、実際には自分が売ったところが底値だったりする。株価というのは投資家心理の反対に動く習性があり、「あなた」が怖くなって売ったということは、そこが底になる可能性が高いということだ。逆に「あなた」が買ったところは、天井になる可能性が高いのである。そういうものなのだ。

 だから、相場に振り回されないためには、自分のポジションをマーケットに対して「ニュートラル」にしておく必要がある。全体および個別の動きに影響を受けにくくするのだ。そしてやるべきことは、チャートに忠実に売買するということ。買いの銘柄が売りとなれば、素直に売却し、違う銘柄に乗り換える。売りの銘柄に関しても同じであり、買い戻しのサインが出れば、すぐに買い返済する。そうやって売り買いともに同銘柄数、同金額をキープし、マーケットからの影響を極力排除するのである。あとは、「窓・壁・軸理論」が正しければ、自然とパフォーマンスが上がってくるはず。

 そのほか、考えられる手法が、オプション戦略である。オプションというと、一般投資家には馴染みは薄いが、勝ちやすい戦略はいくつも存在している。なぜならば、オプションには「時間」という概念があり、時間が経過するだけで、有利になる方法があるからだ。当然、リスクはつきものだが、そのリスクを極力抑えることができれば、安定的に利益を伸ばすことが可能となる。「個別銘柄にはない妙味」――自身の投資戦略に組み入れてみる価値は十分にあるだろう。(黒岩の眼より)
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想