「リバウンド相場が継続も・・・」

著者:黒岩泰
投稿:2015/07/01 19:18

「ここは戻り売りの好機」

 本日の日経平均は93.59円高の20329.32円で取引を終了した。買い一巡後は上値の重い展開となったが、引けにかけては強含み。順調なリバウンド相場が継続した。日経平均の日足チャートでは、下影陽線が出現。押し目買い意欲の強さを示唆しており、やや先高観の強いチャート形状となっている。上方には大きな窓(20361.60円-20650.00円)が空いており、短期的にはこれに引き寄せられる展開になるのだろう。

 株価が強含んだのは、寄り付き前に発表された日銀短観が良かったから。大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス15ポイントとなり、3四半期ぶりに改善。企業業績への期待感が膨らみ、幅広い銘柄に買いが入った。
 
 ただ、日経平均の日足チャートでは、明確な買いサインは出ていない。依然として弱気形状が継続しており、危険な状態となっている。本日の上昇は一昨日の急落の反動と思われ、所詮「テクニカル・リバウンド」の域を出ていない。買い一巡後は改めて売り直される公算が大きく、直近の上昇は“戻り売りの好機”ということになるのだろう。
 
 日本株が売られる要因となりそうなのが、ギリシャ・デフォルトによる“二次被害”である。ギリシャ破綻を予想しなかった一部の欧州金融機関が、ギリシャCDSの売り手として、多額の保険金を請求されるケースが予想されるからだ。そういったデリバティブ絡みで金融不安が台頭し、日本株の押し下げ要因になりそうなのだ。同時に米領プエルトリコの破綻も、同様のリスクを抱えており、突発的に金融危機が発生する可能性がある。市場では「ギリシャ問題は一段落」と安堵感が漂っているが、金融危機の火種は確実に存在している。箱根山の噴火、富士山への連動も予想されるだけに、相場の下ブレには十分に注意をしておきたい。明日以降の戻り局面は“絶好の売り場”となりそうだ。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想