“日銀買い”の増額が相場の下支えとなるか?

著者:小野山功
投稿:2015/06/15 19:24

小野山功が見通す「今週の株価材料」~【1ヶ月半ぶりのIPOも】“日銀買い”の増額が相場の下支えとなるか?

*6/15 19:30 誤字訂正

6月5日(金)~9日(火)まで3営業日連続で、日銀が株価指数連動型上場投信(ETF)の買い付けを行いました。

6月1日までは一回あたりの購入額が361億円でしたが、5日から9億円増の370億円に引きあげています。

5月は27年ぶりに日経平均株価が12連騰するなど、相場が思いのほか下げなかったため、“日銀買い”は6回(4月は8回)しか入りませんでした。年3兆円の購入枠を満たすために、一回当たりの購入額を増やしたとみられます。

前場で株価が下落するようであれば、後場は日銀買いへの思惑から下げ幅を縮小する動きが見られましたので、今週以降についても日銀買いが相場の下支えになりそうです。

■引き続き欧州発のニュースフローに警戒も

また、相場のけん引役となっている“外国人買い”も続いています。6月第1週までは、外国人投資家は5週続けての買い越しとなっています。

ただ、買い越し額は403億円と、前週(3970億円)から大幅に減少しました。先週は週前半に株価が大きく下げたため、6週ぶりに売りに転じた可能性も。

個別銘柄を見ると(5108)ブリヂストンが10日まで7日続落したほか、(6752)パナソニックが8日続落しました。外国人持ち株比率が高い主力株の一角が売られていることから、利益確定売りに動いたのかもしれません。

市場の関心が高いのが、ギリシャの債務問題です。ギリシャは国際通貨基金(IMF)への債務返済の期限が、6月30日に迫っており、最大の債権国ドイツによる支援の有無が注目されています。

ギリシャ支援による財政懸念などもあって、ドイツの10年物国債の利回りが今週、1.007%と昨年9月以来の水準まで急上昇しています。

ドイツの長期金利上昇が東京市場へも波及する恐れがあるため、欧州発のニュースフローが警戒されそうです。

■1ヶ月半ぶりのIPOで新興市場は盛り上がるか?

一方、来週は16日(火)に再生医療の研究開発を行うバイオベンチャーの【4593】ヘリオスが、東証マザーズに新規上場(IPO)します。IPOは4月30日のテラスカイ以来、およそ1ヶ月半ぶりですので、新興市場の盛り上がりが期待されます。

個人投資家は6月に入って5週ぶりに買い主体に転じており、直近IPO銘柄やバイオ関連の動向は注目しておきたいところです。


小野山 功
小野山功
株式会社SQIジャパン 金融コンサルタント
配信元: 達人の予想