不安よりも期待が大きい - 米雇用統計

著者:武市佳史
投稿:2015/06/05 10:36

◆揺れ動くも、結局は狭いレンジ内での膠着

※ご注意:予想期間は6月6日と表示されていますが、本日(6月5日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


「過度の円高は是正された」との原田日銀審議委員発言にて一時123.780円まで下押したドル円でしたが、すぐさま124円台に押し戻されました。

新規失業保険申請件数は27.6万件へと減少し、本番(米雇用統計)への期待につながったからです。
また調整の動き?にて4日ぶりに独10年債利回りが低下し、欧州タイム以降の上昇分をユーロが吐き出したことも、ドル買いを後押ししました。
もっとも「米利上げは2016年前半に先送りを…」とのIMF提言が重石となり、前日高値(124.671円)では上値を押さえられて、昨日の取引を終えています。

◆注目の米雇用統計、予想値ハードルは下がっている…?

こうした中、いよいよ本日は注目の米雇用統計を迎えます。
125円ワンタッチ(2日)後は極めて狭いレンジで膠着していることを考えると、ブレイクには米雇用統計の助けを借りたいところです。

非農業部門雇用者数(+22.5万人)/失業率(5.4%)は前月並み、時間当たり賃金(+0.2%)はやや改善と予想されており、ここからの上振れ/下振れがポイントとなっています。
月央までの4月指標が芳しくなかったこともあり、個人的には“やや控えめ予想”、つまり“予想値ハードルは下がっている”と感じます。
もちろん下回ればドル売りに反応すると見られますが、不安よりも期待が大きい局面と考えます。

◆一方、ギリシャ懸念は思惑が入り混じっているが…

もう一つ、対IMF返済期限(3億ユーロ)を迎えるギリシャ絡みでは両極端の思惑が入り混じっていますので、大きく揺れ動く展開が想定されます。
ただ「本日の返済は事実上不可能」と見られますが、「このタイミングでデフォルト確定」というのも想定しづらいところです。
「先送り」が好悪どちらに捉えられるかは議論の余地がありますが、昨日の「ギリシャが救済案を拒否」との報がユーロ売りにつながったことを考えると、少なくともリスク回避の巻き戻しとして捉えられる可能性は高いと考えます。

発表までは動きづらく、また米欧双方が不確定要素を抱えている中で結局は“結果次第”ということになりますので、一概にはいうことはできません。
それでも不安より、期待が募るところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:125.680(02/12/5高値、14/12/8~14/12/16の161.8%返し)
上値4:125.502(6/2安値~6/3高値-6/3NYタイム安値の161.8%返し)
上値3:125.044(6/2高値、大台)
上値2:124.932(6/2安値~6/3高値-6/3NYタイム安値の100%返し)
上値1:124.671(6/3-4高値、6/2~6/3の76.4%戻し)
前営業日終値:124.364
下値1:124.000(大台)
下値2:123.741(6/2-4安値)
下値3:123.601(5/29安値)
下値4:123.488(5/28安値)
下値5:123.362(5/22~6/2の38.2%押し)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:38 ドル円 抵抗・支持ライン追加
18:56 関連記事1件追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想