スピード調整で一服、外部要因に敏感な反応

著者:冨田康夫
投稿:2015/05/29 21:09

来週の株式相場見通し

 来週の東京株式市場は、きょうまでの日経平均株価11日続伸の後を受け、さすがにスピード調整ムードが強まりそうだ。11日間の上昇幅は合計992円と1000円近くに達しており、市場関係者のあいだでもマイルドな一服を期待する声が出はじめている。日経平均株価の想定レンジは、2万200~2万700円とする。

 週末に米5月の雇用統計の発表を控えていることから、外国為替市場でも思惑含みの売買が盛んとなり波乱展開も予想される。国内では経済指標の発表など材料は限定的で、ギリシャの債務問題や中国株市場の動向も含めて、外部要因に敏感な値運びとなりそうだ。

 ただ、良好な需給関係を背景に、今週末にかけて2日間連続して東証1部の売買代金が3兆円を上回るなど市場エネルギーは充実しており、調整幅は限定的となりそうだ。市場では、目先的な目標として、ITバブル期の2000年4月12日につけた高値の2万833円が指摘されているが、この水準の突破にはやや日柄が必要となりそうだ。

循環物色が個別材料株にも波及か

 市場関係者からは「さすがに来週は、マイルドなスピード調整はやむなし」との声も上がっているが。スタートする6月相場では、株価指数の動きとは別に個別材料株物色の動きに期待が寄せられている。

 大型連休明け以降、まず、訪日外国人客の増加を手掛かりにしたインバウンド消費関連をはじめ、情報通信、食品、建設などの内需関連が物色された。さらに、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>の自社株買いをきっかけに銀行、証券、保険に不動産まで含めた金融関連に人気が移り、今週は外国為替市場での円安・ドル高加速を背景に自動車、電機、精密機器などの主力の輸出関連銘柄が賑わった。こうして、指数に影響度の高い主力銘柄の循環物色にやや一巡感が出ていることも確か。

 そこで、第一四半期(4~6月)の決算がまとまり、業績修正などが表面化する7月上旬までの、手掛かり材料難の時期には個別材料株物色の出番というわけだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想