続伸し2万円台固めへ、買い気強く過熱感は限定的

著者:冨田康夫
投稿:2015/04/22 21:47

23日の株式相場見通し

明日の東京株式市場は、金融株を中心とした主力銘柄への買い継続が見込まれるため、続伸の展開となり日経平均株価は2万円台を固める値運びとなりそうだ。10日の取引時間中に、一時2万円にタッチした後は、目先的な目標達成感から調整を強いられる結果となった。一方、きょう終値での2万円台回復は、騰落レシオ25日移動平均が97.27%(22日)にとどまっているなど、過熱感は限定的で売り圧迫要因は少ない。

22日の東京株式市場は、日銀による追加金融緩和への思惑が広がったことに加え、3月の貿易収支が2年9カ月ぶりに黒字転換したものの、円高が限定的だったこともプラスに作用した。あす以降決算発表が本格化する企業の業績改善期待などを手掛かりに、銀行、証券、保険など金融株を中心に不動産、建設などの主力銘柄に買いが集まった。日経平均株価終値は、前日比224円81銭高の2万133円90銭と大幅続伸し、終値では2000年4月14日以来15年ぶりに2万円台を回復した。

日程面では、3月のパソコン国内出荷実績、3月のセメント国内販売量に注目。海外では、米3月の新築住宅価格指数、中国4月のHSBC製造業PMI、韓国1~3月期のGDPが焦点となる。

動意株 東急不HD、鳥貴族、鈴与シンワなど

東急不動産ホールディングス<3289>=後場一段高。
日銀の追加金融緩和期待などが底流するなか、銀行株物色の流れが波及して金融・不動産関連株全般にも物色の矛先が向いている。そのなか、同社株は売り方の買い戻しを交え上げ足を強めている。首都圏を中心に商業ビルなど総合不動産業を展開、東急電鉄グループの強みを生かして渋谷再開発などでビジネスチャンスをとらえている。18年度に完成予定の東急プラザの建て替えなどで成長加速の青写真があり、20年度に連結営業利益1000億円の目標を掲げている。

鳥貴族<3193>=急反発。
同社は、看板やメニューなどが同社と酷似しているとして「鳥二郎」を経営する京都市の会社に損害賠償などを求める訴訟を起こした。これによる業績への影響は現時点では定かではないが、目先は株価の刺激材料としてプラスに働いた格好だ。

鈴与シンワート<9360> 後場急伸しストップ高。
3月10日につけた年初来高値190円を上回った。同社はきょう、マイナンバー対応人事給与アウトソーシングサービス「S-PAYCIAL+マイナンバーサービス」の提供を開始したと発表。これが材料視されているようだ。なお、価格は1人あたり600円からで、10万人の受託を目指すとしている。

アルテック<9972>=5日ぶり反発。
リコー<7752>との協業で、国内では最大規模となる3DプリンターによるDDM(部品や製品の直接製造)サービスを27日から開始すると発表したことを受けて14日と15日に連続ストップ高に買われたが、買い主体は個人投資家の短期資金が中軸とみられその後の資金の逃げ足も早かった。
前日終値はストップ高初日の290円台まで下押したことで、目先リバウンド狙いの買いが優勢となった。全体相場は低PBR銘柄へのマークが強まる流れにあり、同社のPBRは0.5倍台と解散価値の半値近くに叩かれていることも買いを誘っている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想