権利落ち、崩れが一段と鮮明に

著者:黒岩泰
投稿:2015/03/27 08:54

ヘッジが必要な局面

 昨日の米国株式相場は小幅安。ダウ工業株30種平均は40.31ドル安の17678.23、ナスダック総合指数は13.16ポイント安の4863.36となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は19305円付近での推移。したがって本日の東京株式相場はやや軟調なスタートを想定。引き続き下値を試すものと思われる。

 昨日の日経平均は割り込んではいけない窓を下回り、完全に弱気チャートへと転換した。中長期の方向性を示す軸が下向きになった公算が大きく、下値不安が一気に広がっている。

 本日は配当・優待の権利落ち日であり、日経平均では110円前後の下落が予想されている。チャート上では窓が空きやすくなっており、「崩れ」が一段と鮮明になりそうだ。実質新年度相場入りとなることで、新規資金に対する期待は高まるが、株価水準がかなり上昇しているため、機関投資家などは利益確定売りに動きやすい。とりあえず期初に利益を確保しておき、その後の安定的な運用を目指すというのが最近の主流となっているからだ。そういった動きを先取りすれば、株価はいったん調整しやすくなる。チャート上では下方の窓(19008.13円-19042.25円)が下値メドとして意識されており、目先はこの水準までズルズル下げることになるだろう。押し目買いを入れるのであれば、ここまで下落するのを待つしかない。

 そのようななか昨晩、シカゴ日経平均先物は一時19030円まで下落する場面もあった。その後は持ち直す動きとなったが、かなりボラティリティが高くなっている。オプションのインプライドボラティリティ(予想変動率)も20%程度に上昇しており、危険水準といわれる25%に近づいている。相場が突然動き出す危険があり、株価の変動には注意が必要だ。“裸”で株を持つ行為は極めて危険であり、それなりのヘッジが必要と考える。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想