買いエネルギー増し反発、利益確定売りこなす

著者:冨田康夫
投稿:2015/03/19 19:30

明日の東京株式市場見通し

 20日の東京株式市場は、週末に伴うポジション調整の利益確定売りが想定される。ただ、きょうの市場では、日経平均株価は3日ぶりに反落となったものの、1日の値動きを見ると「買いエネルギーの強さを改めて感じさせられた」(市場関係者)との見方が強く、あす以降も強調展開が想定される。

 19日の東京株式市場は、終日利益確定売りに押される展開となり、日経平均株価終値は、前日比67円92銭安の1万9476円56銭と3日ぶりに反落した。現地18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを急がないとの見方が浮上。外国為替市場でのドル安・円高進行を受け、日経平均株価は前場なかごろに一時、前日比231円安まで売り込まれる場面もあった。ただ、その後は円高に歯止めがかかったのをきっかけに、日経平均も下げ渋る動きを次第に強めた。

 市場関係者は「きょうは、大幅に反落してもおかしくない条件がそろっている地合いにもかかわらず、下値での押し目買いの強さを感じさせる値動きとなった。東証1部の売買代金が2兆9453億円に膨らんでいることも買い安心感につながる」としていた。

19日の動意株

 ブロンコビリー<3091>=上場来高値更新。
東海東京調査センターは18日、同社のレーティングを新規「2」、目標株価は4400円とした。名古屋地盤の炭焼きステーキなどを提供するレストランで昨年11月に関東ファクトリー(自社調理工場)を開設した。15年12月期は新規出店15店舗を計画するが、11店舗は千葉や東京など関東地区を予定している。同証券では「東海から関東地区への事業エリア拡大で収益が伸びる可能性が高まった」とし、15年12月期の会社予想営業利益25億円に対し、16年12月期は同29億5000万円、17年12月期は33億5000万円を予想している。

 大和<8247>=後場一段高。
石川県を地盤とする老舗百貨店で、北陸新幹線関連として買われ、新幹線開業後は材料出尽くし感から売られていたが、11日の昨年来高値365円から前日終値236円まで35%も下落しており、突っ込み警戒感から自律反発狙いの買いが入っているもよう。また、18日発表の公示地価で北陸新幹線開業効果から香林坊などの地価が上昇していることから、含み資産増加の思惑も働いているようだ。

 リゾートトラスト<4681>=4日続伸。
会員制リゾートホテル大手で15年3月期最終利益は前期比30.2%増の112億円を見込むなど好調。また、前日発表の2月の訪日外客数は月間で過去最高を記録するなどインバウンド消費が一段と注目されるなか、安倍政権の新成長戦略の方針案として浮上している「医療ツーリズム強化」もフォローの風だ。健康診断などの医療サービスを行う会員制健康倶楽部などで高実績を持つ同社にとってビジネスチャンスとなる。

 日本駐車場開発<2353>=一時ストップ高。
18日の取引終了後に日本スキー場開発<6040>が東証マザーズへの株式上場(IPO)の承認を受けたことから、同社の大株主である日駐の保有株の含み益拡大を期待した買いが集まっている。日本スキー場開発は、スキー場の運営を手掛けており、4月22日に新規上場する。「新規上場申請のための有価証券報告書」によると日駐は日本スキー場開発の332万株(持ち株比率84.3%)を保有する筆頭株主となっている。

 サイジニア<6031>=ストップ高。
ソフトバンク<9984>は18日取引終了後、同社の株式を3月13日付で取得したことを発表、取得株数は41万6813株で取得後の議決権所有割合は間接所有を含め33.21%となる。このソフトバンクによる追加出資を材料視した買いが集中した。同社はネット通販向け購買行動を分析する業務を手掛け、15年6月期営業損益は3期ぶりに9600万円の黒字化を見込んでいる。

 エクストリーム<6033>=一時ストップ高。
18日の取引終了後、従来、無配を予定していた15年3月期の期末配当について、普通配当20円と東証マザーズ上場記念配当10円の計30円にすると発表しており、これを好感した買いが入っている。同社にとっての初配となり、今後は将来の成長に向けた内部留保の確保に努めつつ、業績に応じた配当を実施することを基本方針とし、純利益の20%を配当性向のメドにするとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想