日経平均株価は“ほぼ十字足”を示現

著者:冨田康夫
投稿:2015/03/16 20:23

明日の東京株式市場見通し

 16日の東京株式市場は、売り買い交錯の展開となった。日経平均株価は前週末比小幅マイナスで着地した。前週後半の上昇を受けて、目先的な利益を確定する売りが上値を押さえ、日経平均株価終値は、前週末比8円19銭安の1万9246円06銭と4日ぶりの小幅反落となった。

 日経平均株価のきょうの始値は、1万9245円38銭、終値は1万9246円06銭と、“寄り引けほぼ同値”で、ほぼ十字足となった。

 十字足は、相場の転換点を示すサインとされている。とくに、上昇を続けてきた銘柄がこの状態になると、売りたい人が増えてきた証となるので、一般的には上昇から下落に転じる可能性が出てくるとされている。

 市場関係者からは「東証1部の売買高が19億7710万株と20億株を下回ったことからも、日経平均株価寄与率の高い値がさ株優位の流れが続いることが見て取れる。17日午後に内容が発表される日銀の金融政策決定会合や、現地17~18日に開催される(FOMC)を前に、上値の重い推移となりそうだ」との見方が出ていた。

16日の動意株

 京葉ガス<9539>=後場に入りストップ高。
同社は16日、2012年から14年までの経営効率化目標の達成状況を発表しており、これを好感した買いが入っているようだ。そのなかで人的体制にかかわるものとしては、社員1人あたりの顧客件数は基準とした11年実績の890件から14年末には943件に増加したとあり、効率化の進展による業績への貢献を期待した買いが入っているようだ。

 サンフロンティア不動産<8934>=続急伸。
前週来、不動産株セクターに出遅れ内需株物色の矛先が向かうなか、中小型で値動きの軽い同社株に投機資金の攻勢が強まっている。中古不動産の再生事業を主力に手掛け、首都圏を中心とする不動産市況の回復がフォローの風となっている。流動性が担保された材料株としての側面を持つが、ファンダメンタルズ面からのアプローチでもPERは10倍を切るなど割安。ROEが24%台と高い一方で、自己資本比率は50%を超え財務面も安定、年間配当は今期16円50銭と前期比3円増配を計画するなど評価材料が多い。

 城南進学研究社<4720>=後場急伸。
午後1時に15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の59億4200万円から61億2100万円(前期比8.7%増)へ、営業利益を同2億2100万円から2億8900万円(同49.0%増)へ、純利益を同2億1500万円から2億6400万円(同87.2%増)へ上方修正したことが好感されている。予備校部門、個別指導部門とも合宿や演習授業などの施策から生徒数や単価が想定を上回っているほか、子会社を含めた他部門も堅調に推移していることなどが要因としている。

 セキュアヴェイル<3042>=ストップ高。
最近では海外からの政府機関へのサイバー攻撃が際立っており、政府機関への脅威は6秒に1回の割合で発生している状況といわれている。来年に日本で予定されるサミットや2020年の東京五輪開催を控え、安全保障上、安倍政権にとって人材育成も含めセキュリティー対策が必須課題となっている。同社は24時間有人対応で特色を持ち、官公庁からのサイバー攻撃対策関連受注で実績が豊富。国策に乗って収益機会の恩恵を享受する可能性が高いとみられ、足もと短期資金の物色ターゲットとなっている。

 モルフォ<3653>=ストップ高。
前週末13日の取引終了後に発表した第1四半期(11~1月)連結決算で、売上高5億4900万円(前年同期比90.2%増)、営業利益2億3800万円(同5.5倍)、純利益1億7500万円(同5.3倍)と大幅増益となったことから、持ち前の急騰習性を発揮した格好となっている。海外スマートフォンメーカーや半導体メーカーへの営業活動を積極化させたことが奏功し、手ぶれ補正やノイズ除去などが堅調に推移し業績を牽引した。

 倉元製作所<5216>=ストップ高。
同社は、水で濡らすと発電し2週間以上発光し続けるマグネシウム電池を使ったスティックライト2種を開発したと一部メディアを通じて伝わり、官民を挙げて防災ニーズが高まりをみせるなかで、防災関連として注目を誘った。これを手掛かり材料に寄り付きから短期資金の買いが集中、9時9分に前日比23円高の183円で寄り付いた後、再度カイ気配を交え水準を切り上げ、時価は値幅制限上限で張り付いている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想