日経平均は一服商状に、新たな買い材料に乏しい

著者:冨田康夫
投稿:2015/03/02 20:53

明日の東京株式市場見通し

 3日の東京株式市場は、下値での買い意欲は引き続き旺盛と判断できるものの、上値を追うだけの新たな買い材料に乏しいことから、日経平均株価は一服商状となりそうだ。

 2日の東京株式市場は、欧州株高や外国為替市場での円安傾向を好感して買い優勢。ただ、上値は重く日経平均株価は一時、マイナス圏に沈む場面もあった。終値は前週末比28円94銭高の1万8826円88銭と3日続伸。ただ、東証1部の売買代金は2兆3340億円と、3兆円を超えた前週末に比べて、循環物色にやや一巡感も浮上しており、市場エネルギーの後退が目立った。

 市場関係者からは「朝方に一時、日経平均株価が1万8900円台に乗せて以降は、買いエネルギーが感じられる場面が見られなかった。欧米株式相場の堅調や、外国為替市場での1ドル=120円の接近など追い風は継続しているものの、それ以上の新たな買い支援材料に乏しいのが現状」との見方が出ていた。

2日の動意株

 ディップ<2379>=続急騰。
アルバイト関連サイトを運営し、企業の求人需要の高まりが同社にビジネスチャンスの拡大をもたらしている。3大都市圏を中心にアルバイト・パートの募集時平均時給は1月まで19カ月連続で前年同月を上回っており、これが同社に強力なフォローの風をもたらしている。求人情報サイトの「バイトル」を主力に積極的な広告宣伝投資が開花し、今15年2月期営業利益は既に3度にわたる上方修正を実施し前期比2.3倍の高変化率が光る。倍増は利益だけではない。配当も45円と前期比ほぼ倍増を計画、これが株価大幅高の原動力となっている。

 ネオス<3627>=後場急動意で一時、ストップ高。
同社はきょう、シャープ<6753>製携帯電話「AQUOS K」向けサービス「情報ライブ待受」を開始したと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。情報ライブ待受はシャープと共同で展開するもので、ニュースや天気、占いといった最新情報のほか、きせかえコンテンツを配信するサービス。

 クラウドワークス<3900>=急反発。
安倍政権が成長戦略の一環に掲げる女性や高齢者の活用と相まって、ネット上での人材マッチングサービスを手掛けるクラウドソーシング市場の成長余地が注目されている。そのなか同社はクライアントと直接契約し発注の進行管理を行う高収益のエンタープライズサービスで、全体市場を上回る成長余地が注目されている。きょうはリアルワールド<3691>が、有力ベンチャー企業のランサーズ(東京都渋谷区)とクラウドソーシング分野で提携するとの報道を受けストップ高に買われており、これも連想買いを誘っているもようだ。

 シンフォニアテクノロジー<6507>=大幅反発し昨年来高値を更新。
27日に近畿大学が、同社や三重大学と共同で、iPS細胞の品質を維持するための装置(自動光学式細胞除去装置)の開発に世界で初めて成功したと発表しており、これを好感した買いが集中して入っている。今回開発した装置は、iPS細胞の培養において、培養中にできる品質が劣った細胞を近赤外線レーザーで取り除き、良質の細胞を残すというもの。一部報道では、数年後をメドに研究機関などに販売するとしており、今後の業績への寄与も期待されている。

 木村化工機<6378>=急反騰。
2月27日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。100万株(発行済み株式数の4.85%)、5億円を上限としており、取得期間はきょう2日から24日まで。事前公表型の立会取引による買い付けを行うとしている。

 タカチホ<8225>=ストップ高。
長野県を地盤に土産品の卸や小売業など展開しており、14日に開通する北陸新幹線関連株として注目を集めているようだ。また、今年は7年に1度の善光寺御開帳の年であり、同社の土産品への需要増も期待されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想