1万9000円目指す展開、国内外の買い意欲健在

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/27 20:43

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、短期間での急激な上昇に対する反動から利益確定の売りが出やすい地合いが予想される。ただ、金融緩和マネーの増大を背景に、世界的な株価上昇の流れのなかで、来期の日本企業の業績改善を期待して国内外の投資家からの買いが持続することが予想され、全体相場は売りをこなしながら上値を目指す展開となりそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万8500~1万9200円とする。

 今週は、NYダウ平均株価を筆頭に、独DAX30指数、英FTSE100指数など世界の主要株式市場で代表的な指数が過去最高値を更新した。日経平均株価も15年ぶりの高値水準に達している。ただ、多くのテクニカル指標では過熱感が一段と強まっていることは事実。地政学的なリスクや、外国為替市場での変調などの外部要因がきっかけとなり、短期的な調整場面となる覚悟は必要だ。

27日の動意株

 フジトミ<8740>=ストップ高。
同社は26日の取引終了後、HIGH END(東京都千代田区)が実施する第三者割当増資を引き受け、関連会社化することを発表、これを好感する動き。HIGH END社の親会社であるBLUE EARTHは国内のスポーツ施設や商業施設向けに大型LED照明の販売実績があり、それらを含むLED照明に関する事業をHIGH END社に譲渡している。HIGH END社が取り扱うこの大型LED照明は従来の水銀灯に比べ節電効果が高い。2020年に水銀使用製品の製造が原則禁止される予定であることから、今後、スポーツ施設や商業施設などの大型施設で使用されている水銀灯からLED照明に置き換えが進むことが見込まれている。

 タケダ機械<6150>=大幅高。
鉄骨や鋼材製缶板金などの化工機を製造販売するが、業績は急拡大途上で、PER7倍台、200円台の値ごろ感と合わせて注目筋が増えているよう。株式需給面では信用買い残が枯れていることも上値の軽さを印象づける。名門アマダ<6113>と業務提携、丸鋸盤などOEM供給していることでその商品技術力も証明済みだ。営業利益は前14年3月期に前の期比4倍の3億5600万円と急回復、続く15年5月期も23.6%増の4億4000万円を会社側では予想するが、国土強靭化などの政策テーマを背景としたコンクリート構造物の骨組み鋼材加工などの需要増加が同社の収益機会を拡大させている。

 SOL Holdings<6636>=ストップ高。
同社はきょう、グループ会社のSOL ASIA HOLDINGSが地方自治体や電力事業者、バイオマス発電事業者向けに「スーパーソルガム ペレット」のサンプル出荷を開始すると発表。これが材料視されているようだ。なお、スーパーソルガムは、バイオマス・ペレットに最適なスーパーソルガムの品種を栽培・収穫し、粉砕、圧縮、成型した固形燃料。

 エンシュウ<6218>=急伸。
27日付の日本経済新聞が「ヤマハ発動機<7272>は2019年をメドに欧州で四輪車事業を始める」と報じたことを受けて、ヤマハ発関連として物色の矛先が向かったようだ。同社は主要株主としてヤマハ発が発行済み株式数の10.1%を所有しているほか、売上高に占めるヤマハ発向けも14年3月期で26.8%と高く、依存度が大きい。記事では、ヤマハ発は数百億円を投じて専用工場を建て、2人乗りの車を製造・販売するとしており、四輪車事業参入がエンシュウにとっても事業機会の拡大につながるとの見方が強まっているようだ。

 日本駐車場開発<2353>=急騰。
26日取引終了後に発表した15年7月期第2四半期(14年8月~15年1月)連結決算は、従来予想を上回って着地した。売上高は82億4000万円に対し83億3800万円(前年同期比11.7%増)、営業利益は12億7000万円に対し13億2700万円(同10.2%増)、最終利益は15億4000万円に対し17億8400万円(同2.1倍)だった。スキー場事業で、めいほうスキー場の運営を開始したことが寄与したほか、有価証券売却益や円安の進行により為替差益を計上したことも、利益の押し上げ要因に働いた。

 モジュレ<3043>=ストップ高。
26日の取引終了後、サーバー機器一式を11億6500万円(構築作業費用などを含む)で取得すると発表した。主要顧客と新たに契約期間9年、契約金額約20億円の長期大型サービス契約を締結したためで、ITサービス提供に必要な機器を取得するとしており、この長期大型サービスによる業績への寄与が期待されているようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想