週末控えて一服商状、需給支援材料は豊富

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/26 20:29

明日の東京株式市場見通し

 27日の東京株式市場は、2月半ば以降の急ピッチな上昇への警戒感に加え、週末を控えてのポジション調整の利益確定売りも想定されることから、日経平均株価は一服商状となりそうだ。ただ、良好な循環物色に裏付けられた先高期待感は根強いことから中期的な上昇トレンドは堅持されそうだ。

 市場関係者からは「上昇が加速しはじめた18日以降、日経平均株価は26日まで終値ベースで798円高と800円近い大幅な上昇をみせている。市場に極端な過熱感はないとの見方は多いものの、さすがに一呼吸入れたいタイミング」としている。

 あす、寄り付き前に発表される1月の鉱工業生産指数速報値・消費者物価指数の内容は株価に少なからず影響を与えることになりそうだ。ただ、国家公務員の年金資産を運用する国家公務員共済組合連合会が25日、資産構成の目安を見直して、国内株式の比率を3倍以上に増やすと発表するなど、需給面の買い支援材料が豊富なことが中期的な買い安心感を与えている。26日の東京株式市場は、後場に入って株価指数先物主導で買い優勢となり、日経平均株価終値は、前日比200円59銭高の1万8785円79銭と大幅反発となった。

26日の動意株

 エムティーアイ<9438>=後場上げ幅拡大。
午前11時ごろにスマートフォン向け高精度屋内測位システム「SONICNAUT(ソニックノート)」を手軽に試せる実験用パッケージ「SONICNAUTスターターキット」を、6月下旬に発売すると発表しており、これを好感した買いが入っているもよう。「ソニックノート」は、GPS電波の届かない屋内や地下などで、スマートフォンに内蔵したマイクを利用して非可聴域の音波を受信し、誤差わずか約30センチメートルの範囲で現在位置が分かる高精度測位システム。

 ウイルコホールディングス<7831>=ストップ高。
3月14日の北陸新幹線開業を控えて、値動きの軽い関連銘柄として短期資金を呼び込んでいるもよう。石川県に本社を置き、北陸3県に営業所を展開していることから、新幹線開業により北陸地域が活性化すれば同社のビジネスチャンス拡大につながるとの期待が強まっているようだ。

 アスラポート・ダイニング<3069>=後場急動意で一時ストップ高。
午後1時にメキシカン・ファーストフードを手掛ける米Taco Bell(タコベル)社とフランチャイズ契約を結んだと発表。業績への寄与などが期待されている。

 ヤマダ電機<9831>=急伸。
25日に公表された大量保有報告書で同社の山田昇社長が自社株を資産管理会社と合わせて発行済み株式数の9.04%を保有していることが明らかになった。直前の保有比率は7.62%で、今月に入り株式を買い増している。保有目的は、「経営安定のための長期保有」としている。直近では、旧村上ファンド関係者が設立したエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが13.16%の株式を保有し、大株主に浮上している。エフィッシモは“物言う株主”として知られ、セゾン情報システムズ<9640>に株式公開買い付け(TOB)を実施するなど、積極的な活動を行っている。今回、社長の保有株買い増しには、“防戦買い”の思惑があり、今後の展開が関心を集めている。

 大塚家具<8186>=ストップ高。
25日取引終了後、経営方針の見直しで公表を見送っていた15年12月期の単体業績予想を発表。売上高554億3000万円(前期比0.1%減)、営業利益1億1000万円(前期4億200万円の赤字)、最終利益9000万円(同81.0%減)と営業黒字転換を見込んでいる。あわせて12月期末一括配当を前回の40円から80円へ2倍に引き上げた。

 同社は、大塚勝久会長が長女の大塚久美子社長の解任を求める株主提案を提出。委任状争奪戦に向けて他の大株主の説得を始める方針を明らかにしており、あわせて発表した中期経営計画では、ビジネスモデルの変革と積極的な株主還元、開かれたガバナンスを基本方針に掲げている。

 ラクーン<3031>=一時ストップ高。
25日の取引終了後に自社株買いを発表し好感された。28万株(発行済み株式数の4.77%)、2億円を上限としており、取得期間は2月26日から4月30日まで。また、同時に発表した第3四半期累計(5~1月)連結決算で、売上高15億1800万円(前年同期比5.9%増)、営業利益2億5400万円(同38.3%増)、純利益1億5900万円(同50.2%増)と大幅増益となったことも好材料視されている。主力の「スーパーデリバリー」事業で新規出展企業を継続して堅調に獲得できていることに加えて、会員小売店からのニーズの高い出展企業の獲得も増加し、「スーパーデリバリー」流通額が前年同期比3.6%増となったことが業績を牽引した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想