物色意欲健在で反発、海外投資家の買い拡大

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/25 20:32

明日の東京株式市場見通し

 26日の東京株式市場は、引き続き循環物色に対する意欲が健在と予想されるため、日経平均株価は反発となりそうだ。

 市場関係者からは「外国証券6社ベースの寄り付き前の売買注文動向を見ると18日以降、きょうまで6営業日連続の買い越しで、日を追うごとに買い越し額が膨らむ傾向がみられる。欧米株式市場の堅調も支援材料となり、今後海外投資家の日本株への買い姿勢が強まることが予想される」との見方が出ていた。

 日銀の上場投資信託(ETF)買いや、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による主力株組み入れで、下値不安が限定されているなかでの外国人買いの増勢は注目に値する。

 25日の東京株式市場は、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言を受けて早期の米利上げはないとの見方が浮上。これを評価し評価して前日の欧米株式相場が上昇したのを好感し、買い優勢で始まったものの、前日までの5日続伸への警戒感もあり上値の重い展開となった。日経平均株価終値は前日比18円28銭安の1万8585円20銭と6日ぶりに小幅反落した。

25日の動意株

 日本コンベヤ<6375>=大幅高。
全般株式市場は利益確定売りに主力株の上値が重くなっているが、そのなかで遅れている材料株に物色の矛先が向かいやすくなっている。ここ大豊建設<1822>をはじめリニア中央新幹線関連に位置付けられる建設関連株が相次いで動意しており、同社株もその連想から短期資金が向かったようだ。リニア工事区間の大半を占めるトンネル工事で発生する大量の残土を運搬する大容量プラントコンベヤーで商機をとらえるとの思惑がある。

 日本カーボン<5302>=反発して昨年来高値を更新。
きょう付の日本経済新聞の特集記事で、同社の炭化ケイ素が紹介されており、関心が高まっているようだ。高効率の航空機エンジンを開発する米ゼネラル・エレクトリック(GE)が着目したことで、眠っていた技術に花が開いたと紹介されており、「炭化ケイ素連続繊維」の工場を富山市内に建て生産能力を高める計画を決めたことが紹介されている。

 インテリックス<8940>=後場一段高。
中古マンションを買い取って再生販売するリノベックスマンションが好調、15年5月期上期は先行投資負担で営業利益は前年同期比43%減の3億9900万円と落ち込んだが、リノベックスマンションの販売戸数自体は増加している。通期見通しについても会社側は前期比18.8%減の12億1500万円と2ケタ減益を見込んでいるが、株価面では既に織り込まれている。

 オリエンタルランド<4661>=大幅反発。
同社は24日の取引終了後、3月31日を基準日として1対4の株式分割を実施すると発表しており、これを好感した買いが入っている。投資単位当たりの金額を引き下げることで、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることを目的としており、効力発生日は4月1日。同時に、東京ディズニーリゾートの5周年ごとのアニバーサリーイヤーに株主用パスポートを配布する長期保有株主向け優待制度を導入すると発表しており、これも好材料視されているもよう。

 テラプローブ<6627>=ストップ高。
24日の取引終了後、顔認証ソフトウェア・ライブラリ「TeraFaces」を汎用のマイクロコントローラ(マイコン)に組み込んだ「TeraFacesモジュール」を開発し、顧客向け評価SDK(ソフトウエア開発キット)と同時に3月から販売を開始すると発表しており、これを好感した買いが集中しているようだ。同モジュールは、3センチ×3センチの基板にカメラやLCDパネルなどに接続するためのインターフェース機能を実現。画像処理用の専用ICやカスタムICを使用せずに実現した顔認証モジュールとしては世界最小となり、高度な認証性能を持つTeraFacesを小型の機器にも容易に搭載することが可能になったとしている。

 関東電化工業<4047>=8連騰。
きょうの高値までの上昇率は45%に達している。半導体や液晶向け特殊ガスを手掛け、スマートフォンの生産拡大を背景とした小型半導体チップの出荷急増で大口径ウエハーの需要が高まり、つれて特殊ガス需要も高水準となっている。15年3月期営業利益は従来予想の28億円から前期比2.7倍の41億円に大幅上方修正されたほか、3期ぶりに3円復配を果たすことも株価上昇を後押ししている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想