過熱警戒感から微調整、大勢波動には陰りなし

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/24 20:12

明日の東京株式市場見通し

 25日の東京株式市場は上昇一服となりそうだ。目先はテクニカル的に過熱領域に足を踏み入れており、東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は140%近辺、日経平均株価の25日線との上方カイ離も4.6%まで広がっている。日経平均は16日に1万8000円大台を回復した後、逡巡するも束の間、18日以降ノンストップで1万8600円台まで駆け上がっており、リズム的にも利食い圧力を押し目形成に反映させたい場面でもある。

 ただし今の大勢上昇トレンドに死角は見当たらず、これもおそらく小休止に過ぎないだろう。今年に入ってから2月第2週までに1兆1300億円程度売り越し、にわかに売り主体として頭角を現した外国人投資家も目先は売り物が枯れた感触。欧米株高を背景に仕切り直し、買い転換する兆しもみられる。

 日本時間今晩(深夜)に予定されるイエレンFRB議長の米上院での議会証言の結果が注目されているが、マイナスの方向性を生み出すことは考えにくい。今の東京市場には日銀のETF買いに対する圧倒的な信頼感も底流しており、押しても小幅にとどまりそうだ。

24日の動意株

 ベリテ<9904>=急騰。
前週来、中国の春節の大型連休にタイミングを合わせ訪日観光客の増加を手掛かりとしたインバウンド関連株が動意しているが、同社株やサダマツ<2736>など高額の宝飾品を扱う銘柄が集中物色のターゲットとなっている。同社は関東を中心に指輪やネックレスなどの宝飾品を展開するが、消費増税の影響もあって業績は厳しい環境を余儀なくされており、PERは100倍を超え無配継続と実態面からのアプローチでは買いの根拠に乏しい。しかし、機関投資家などが保有しておらず浮動株比率の低さから値動きの大きさに着目した投機資金が集結している。

 セーラー広告<2156>=ストップ高。
広告代理店で四国を本拠に岡山、広島にも展開、安倍政権が本腰を入れ始めた地方創生をテーマに有力関連株として物色資金が向かっている。高採算のネット広告分野での営業強化が奏功、15年3月期は本業の儲けを示す営業利益が前期比19.2%増の1億8000万円予想と好調だ。信用取引は買いのみの制度信用銘柄だが、買い残は枯れた状態にあり需給面で手垢のついていない点が強み。

 イーレックス<9517>=後場上げ幅拡大。
午後2時30分に、子会社イーレックスニューエナジー佐伯が、PKS(油ヤシの実の種の殻)を使用したバイオマス発電所である佐伯発電所の建設工事に着工したと発表しており、事業の進展を好感した買いが入っている。同発電所は、高知県高知市の土佐発電所に続いて、PKSを用いた同社グループの第2号発電所で、16年秋の運転開始を目標にしているという。

 ジーンズメイト<7448>=急反発。
23日の取引終了後に発表した2月度(1月21日~2月20日)の月次売上高速報で、既存店売上高が前年同月比2.2%増と2カ月ぶりに前年実績を上回ったことをきっかけに短期資金を集めているもよう。全店売上高は同0.1%増。布帛のシャツやアンダーウエア類は苦戦したが、カットソーを中心に春物商品群が順調に立ち上がったことが寄与した。なお、通期累計では、既存店売上高は前期比1.5%減、全店売上高は同1.3%減となった。

 T&Cホールディングス<3832>=一時ストップ高。
同社は23日、国際医療コーディネーターの経済産業省への登録が完了し、外国人が医療滞在ビザを申請する際に身元保証機関となることが認められたと発表。これにより日本で治療を希望している中国の富裕層などを手続き面でバックアップできるようになり、同社の業績に寄与することが期待されているようだ。同社は中国子会社を通じて、提携先の外苑東クリニックでの次世代検診サービスを中国の富裕層などに提案。現在、月に30人程度の中国人がこのクリニックを訪れている。

 戸田工業<4100>=大幅反発。
同社は23日の取引終了後、持ち分法適用関連会社のToda America社(米国ミシガン州、TAI)の株式50%とToda Advanced Materials(カナダオンタリオ州、TAM)の株式50%をLIBリソーシズ(東京都港区)から取得し、両社を完全子会社化することを発表した。北米でリチウムイオン電池正極材料事業を手掛ける2社を完全子会社化することで、リチウムイオン電池事業拡大が期待される。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想