買いエネルギー継続、外部要因に波乱要素

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/12 21:32

明日の東京株式市場見通し

 13日の東京株式市場は、きょうの大幅反発に対する利益確定や、週末を控えてのポジション調整の動きが当然想定される。ただ、外国為替市場での円安進行を背景とした買いのエネルギーが継続することが予想され、日経平均株価は続伸することになりそうだ。ただ、ギリシャ債務問題やウクライナ情勢は予断を許さない状態が続いており、こうした外部要因の行方しだいでは、波乱相場となる可能性もある。

 12日の東京株式市場は、外国為替市場での円安進行などを背景に買い気が強まり、後場に入って日経平均株価が一時、1万8000円台を回復する場面もあった。終値は、前営業日比327円高の1万7979円と急反発した。終値ベースでは、2007年7月24日以来、約7年7カ月ぶりの高値水準となった。東証1部の売買代金は3兆1600億円と3兆円を上回り、SQ算出日を除くと昨年11月12日以来3カ月ぶりの高水準。

 市場関係者からは「売買代金を伴って1万8000円にタッチしたことは、ボックス相場上放れの兆しとして素直に評価したい。ただ、この水準から上に大きく買い上がる有力材料が見当たらないのも事実。政策面での何らかの後押しが欲しいところ」との声も出ていた。

12日の動意株

 ヤマハ発動機<7272>=後場大幅高。
午後1時30分ごろ発表した連結本決算で、15年12月期業績予想について、売上高1兆7000億円(前期比11.8%増)、営業利益1200億円(同37.5%増)、純利益760億円(同11.0%増)と大幅増益を見込んでいることが好感されている。二輪車事業でグローバルモデルなどのラインアップ拡充と高価格商品のさらなる市場展開を図るほか、マリン事業や特機事業でもエンジンやROVなどの商品ラインアップの拡充を進め、全事業で増収増益を計画している。年間配当は44円(中間22円、期末22円)を予定。

 リンテック<7966>=大幅反発。
午後1時に、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の2100億円から2060億円(前期比1.4%増)へ下方修正した一方、営業利益を同160億円から170億円(同23.5%増)へ、純利益を同105億円から115億円(同35.3%増)へ上方修正しており、これを好感した買いも入っているようだ。スマートフォンやタブレット用の需要効果などを受けて、半導体関連粘着テープなど電子・光学関連が引き続き好調に推移していることが要因としている。

 日本ファルコム<3723>=後場急動意でストップ高。
同社はきょう午後2時に、15年9月期第2四半期累計(14年10月~15年3月)の単独業績予想修正を発表。経常損益は従来の8500万円の赤字予想から一転、3億5000万円の黒字(前年同期比2.5倍)に引き上げた。売上高見通しは2億7500万円から7億円(同48.9%増)に増額修正。「英雄伝説 閃の軌跡」などのゲームソフト販売が国内およびアジア地域で好調なほか、プレイステーションネットワークでのダウンロード販売も順調に伸びていることなどを受けて業績予想を修正した。

 山崎製パン<2212>=大幅高。
1月30日につけた昨年来高値1761円を上回った。同社は10日取引終了後に、15年12月期通期の連結業績予想を公表。売上高は1兆120億円(前期比1.7%増)と、初の1兆円台を見込んでいる。営業利益は260億円(同24.5%増)を予想。主力製品の品質向上や新製品の開発に引き続き取り組むほか、販売面では「厳選100品」を中心に高品質・高付加価値戦略を推進する。

 日本カーボン<5302>=続騰で、連日の昨年来高値更新。
同社は10日取引終了後、15年12月期の連結業績予想を発表。売上高314億円(前期比6.2%増)、営業利益22億円(同56.1%増)、最終利益11億円(同37.1%増)と大幅増益を見込んでいる。前期に続き主力の炭素製品が堅調に推移し、コスト対策の進展で売り上げ、利益とも拡大するとみている。

 ヨロズ<7294>=急騰。
同社は、10日の取引終了後、15年3月期連結業績予想の増額修正と増配を発表したことが好感された。売上高は1470億円から1500億円(前期比 8.4%増)へ見直したほか、営業利益は68億円から76億円(同5.3%減)、最終利益は42億円から56億8000万円(同10.5%増)へ上方修正した。円安による為替差益などの計上により収益は押し上げられる見通しだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想