アクションカメラ人気急上昇!日本勢、米メーカー追撃へ

著者:冨田康夫
投稿:2015/01/23 19:48

カメラ業界の新たな救世主の期待

 スマートフォン搭載の動画・カメラ機能の高性能化にともない、デジタルカメラやビデオ機器の販売が伸び悩んでいる。そのなかにあって「アクションカメラ」と呼ばれるジャンルの製品がにわかに注目を集めている。国内の大手メーカーも製品投入に意欲を見せており、低迷するカメラ業界にあって救世主になる可能性がある。

 この数年、スマートフォンの性能が急速に進化し、静止画、動画ともにカメラなど専用機の普及価格機と遜色ない撮影が可能となった。そのようななかで、通常のカメラでは撮影できないシーンでも気軽に撮影できるアクションカメラへのニーズが高まっている。

 このアクションカメラは、「ウエアラブルカメラ」や「スポーツカメラ」とも呼ばれており、通常のビデオカメラに比べて耐衝撃性能や防水性能などを強化、機器を小型化することで身体などへの装着を容易にしたもの。自転車やバイク、ダイビングや登山などのアウトドアスポーツを行う際に、通常の手持ちのビデオカメラでは撮影できないような場面で利用が可能になっている。従来、アクションカメラのような機器は、テレビ局でのスポーツ番組撮影などプロ向けでの利用が中心だった。しかし、米国の小型・防水・防塵ビデオカメラ「GoPro」の利用者が国内でも拡大、これが火付け役となり国内大手メーカーなどから相次ぎ製品が発売されている。

 「GoPro」は、専用アクセサリーで身体への装着を容易にしつつ、スポーツシーンなど過酷な状況でもフルハイビジョンの撮影を可能にしている。これを追うかたちの国内メーカーはアウトドア性能や高画質撮影機能を強化。プロ向けで高価なイメージが強かった「アクションカメラ」を、個人向けに値ごろ感ある価格に設定したことでアウトドアユーザーを中心に人気が高まっている。

 近年、ユーチューブなどの動画投稿サイトの利用者が増えるなか、プロ並みな動画をこの「アクションカメラ」を利用して投稿するケースも増加している。関連企業をピックアップした。

「アクションカメラ」関連企業

 ◎テクノホライゾン・ホールディングス<6629>
~傘下のエルモ社が「QBIC MS-1」を販売。スポーツ系アクションカメラの互換アタッチメントなどを利用して、さまざまなスタイルでの撮影ができる。また、専用アプリを使用することでスマホを利用した撮影なども可能にしている。

 ◎JVCケンウッド<6632>
~「ADIXXION(アディクション)」ブランドでスポーツカムを展開。最新機種の「GC-XA2」ではハイビジョン画質による1秒間120フレームのハイスピード撮影を実現。ハウジング不要で細かな傷を気にすることなくタフな使用を可能にし、専用アプリの利用でスマホに「GC-XA2」4台同時の動画表示なども実現している。

 ◎パナソニック<6752>
~「ウェアラブルカメラ」として「A500」と「A100」の2製品を展開している。「A500」では世界初の4K動画撮影を実現、カメラ部と本体部を分離した二体型スタイルの採用で、頭部にカメラを装着し手元で操作を可能にするなど幅広いシーンでの利用が可能。

 ◎ソニー<6758>
~「Action Cam(アクションカム)」のブランドで展開。新開発の画像処理エンジンやアクティブな撮影でもブレを抑える「電子式手ブレ補正」機能を搭載。振動が発生しやすい自転車やモーターバイクに取り付けて撮影する場合の走行時の細かなブレも強力に補正し、鮮明な動画撮影を実現。撮影した工程をシェアして楽しめるGPS「マルチビュー」も搭載。

 ◎シマノ<7309>
~「スポーツカメラ」のブランドで販売。86グラムの軽量設計ながら、フルハイビジョン撮影と水深10メートルの防水機能を装備。スマホで操作できるWi-Fⅰにも対応し、釣りシーンの撮影などに威力を発揮する。

 ◎リコー<7752>
~水中やアウトドアを楽しみながら、超広角で臨場感あふれる映像を高画質動画で撮影できる防水アクションカメラ「WG-M1」を昨年10月に発売している。専用の水中ハウジングを装着することなく、水深10メートルの防水性能と高さ2メートルからの耐落下衝撃性能、マイナス10度の耐寒性能を備えている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想