利益確定の動き優勢、13週線を絡め正念場に

著者:冨田康夫
投稿:2015/01/20 21:23

明日の東京株式市場見通し

 21日の東京株式市場は、週初からの大幅高の反動でいったん利益確定売りが優勢となりそうだ。

 原油市況安やギリシャの政局不安、さらに足もと小康を得ているとはいえ高値波乱含みの中国株と懸念材料は多い。22日に予定されるECB理事会での量的緩和観測が浮上しているものの、売り方の買い戻しという形で先に織り込んだ分、サプライズに乏しい結果だったケースも当然考慮しておく必要があろう。

 ただ、日経平均株価は急勾配の13週移動平均線に絡む攻防で、昨年10月下旬以降の反騰相場を継続中、正念場ではあるが弱気シナリオが蔓延する状況にはない。ここまで国内要因から株価を押し上げる手掛かり材料に乏しかった東京市場だが、今週から本格化している決算発表は久々にプラス方向に歯車を回す材料となりそうだ。為替の円安に加え、リスクオフの元凶となった原油価格下落も収益面では心強い味方となる。

 3月決算企業にとって第3四半期決算となるだけに、これまで以上に通期増額修正の動きが絡むほか、調査筋の来期業績へのアプローチも意識される時期だ。

20日の動意株

 ライト工業<1926>=急反発。
企業の第3四半期決算発表が本格化するなか、「業績上振れ期待から改めて買い直す動きが出ている」(中堅証券営業体)もよう。同社の決算発表は2月3日が予定されているが、案件の早期着工による施工効率改善が急で受注時採算の向上も利益を後押し、15年3月期通期業績は会社側計画の47億円(前期比28.6%減)を大きく上回る公算が大きいとみられている。

 菊水化学工業<7953>=後場ストップ高。
午後1時ごろに中国・北京交通運輸部公路院(RIOH)と共同で、広東省高速公路が管轄する広東深汕西高速公路長沙湾大橋の橋梁床板裏メンテナンスでの現場テスト施工を実施すると発表しており、これを好感した買いが入っている。広東深汕西高速公路長沙湾大橋は、全長14.1キロメートルの橋梁で、今回の工法および材料は、中国では初めての採用となるという。

 エン・ジャパン<4849>=後場上げ幅拡大。
午前中に同社が運営する派遣の仕事まとめサイト「エン派遣のお仕事情報」が「LINE」の公式アカウントを開設したと発表しており、これを好感した買いが入っている。「LINE」は20代の利用度が8割に達することから、この世代の認知度向上が業績拡大につながるとの期待が強まっているようだ。

 ニコン<7731>=大幅反発。
ドイツ証券は19日、同社の投資判断を「セル」から「ホールド」に引き上げた。目標株価は1490円から1500円に微修正した。同証券では、レンズ交換式カメラの底打ちを視野に入れており、「今後はFPD露光装置の回復が16年3月期の増益を牽引する点に焦点が移っていく」と指摘している。同証券では15年3月期の連結営業利益507億円に対し、16年3月期は615億円、17年3月期は696億円と予想している。

 システムインテグレータ<3826>=ストップ高。
同社は19日に、複数のECサイトと多店舗を統合管理するクラウドサービス「SI Omni Channel Services(SOCS:ソックス)」のサービスを開始したと発表。これが材料視されているようだ。SOCSは、ECサイトや店舗管理システムから受注や売り上げデータを受け取り、店舗別、商品別、顧客別、前年同月対比などさまざまな角度で集計・分析できることなどが主な特徴。最初の1年で30社2000万円、3年間で200社2億5000万円の販売を見込んでいる。

 ラオックス<8202>=大幅高。
同社はきょう、秋葉原本店と銀座本店が日本政府観光局(JNTO)認定外国人観光案内所になったと発表。これをきっかけに、さらなる免税品販売の拡大などが期待されているようだ。秋葉原本店と銀座本店は、コンシェルジュカウンターを設置しており、日本語や英語、中国語で対応することが可能。また、周辺や行きたい観光スポットまでのルート案内のほか、観光マップなども常備している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想