参加者限られ手控え、11月鉱工業生産を注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/25 20:20

明日の東京株式市場見通し

 26日の東京株式市場は、引き続き海外投資家のクリスマス休暇の影響が残ることが予想される。市場参加者が限定されるなかで、売り買いともに手控えムードが強まりそうだ。買い手掛かり材料の乏しいなか、週末ということもあり、利益確定の売りが優勢となり、日経平均株価は続落となりそうだ。

 あす寄り付き前に発表される11月の鉱工業生産指数速報の事前予想は小幅ながら3カ月連続の上昇が見込まれている。ただ、大幅上昇とならない限り市場は冷静な反応を示しそうだ。

 市場関係者からは「前日まで短期間に急騰をみせていただけに、日経平均株価が6日ぶりに小幅反落したことは想定の範囲内。ただ、売買代金が1兆3800億円と極端に減少したことと、1日の変動幅が58円と小幅で、市場エネルギーが低下していることは気掛かり」との見方が出ていた。

25日の動意株

 栄研化学<4549>=後場に入り上げ幅拡大。
前引け後に、フランス政府が実施する大腸がんの国家スクリーニング検査に関して、同社のOC-センサーを使用した「免疫学的便潜血検査による結腸直腸癌スクリーニング」が採用されたと発表しており、これを好感した買いが入っている。同検査は15年3月から開始される予定で、CERBA社(臨床検査センター)で同社のOC-センサーを使用した検査を実施する。なお、今期業績への影響は軽微としている。

 川上塗料<4616>=後場急伸。
午後1時30分に従来無配を予定していた14年11月期の期末配当について、2円の配当を実施すると発表しており、これを好感した買いが入っている。7期ぶりの復配となる1円の普通配当と、14年11月期が100期の節目に当たることから1円の記念配当の合計2円の配当を実施する。14年11月期は堅調な業績推移が見込まれることから復配に踏み切ったとしている。

 日本海洋掘削<1606>=後場大幅高。
この日、経済産業省が新潟県の上越沖、秋田・山形沖の調査海域において行っていた地質サンプル取得調査で、表層型メタンハイドレートを含む地質サンプルを取得したと発表。これを受けて関連銘柄に注目が集まっているようだ。メタンハイドレートは、メタンガスと水が結晶になった氷状の物質で、日本海側での地質サンプル採取は初となる。経済産業省では6月下旬からおよそ3週間かけて本格的な採掘調査を行っていた。

 東洋合成工業<4970>=ストップ高。
同社は24日取引終了後に、15年3月期通期の連結業績と配当予想を修正。営業損益を従来の2億6000万円の黒字から5億円の黒字(前期実績は4億4400万円の赤字)に増額したほか、2期ぶりの復配も発表した。通期の売上高予想も162億円から167億円(前期比11.8%増)に上方修正。電子材料関連の需要が堅調に推移していることや、円安の進行が業績を押し上げる。配当は期末に普通配当6円と創立60周年記念配6円の計12円を実施する。

 クラウドワークス<3900>=切り返し急。
前日からきょう朝方の下げを好機とみた大口の買いが10時半過ぎに流入、動きが一変している。今月12日にマザーズに上場した直近IPO銘柄で、ネット上での人材マッチングサービス(クラウドソーシング)を手掛けており業績成長に対する期待値が高い。クラウドソーシング市場は、安倍政権が掲げるビジネス分野での女性の活用など時流を味方につけ急拡大が見込まれている。

 ULSグループ<3798>=堅調。
午前11時ごろに、傘下のウルシステムズがT-MEDIAホールディングス(東京都目黒区) の運営するエンタメ&ライフスタイル総合情報サイト「T-SITE」において、統合認証基盤およびビッグデータ解析基盤を構築したと発表しており、これを好感した買いが入っている。T-MEDIAはTポイントが貯まるショッピングモール「T-MALL」や、ネット宅配レンタルサービス「TSUTAYA DISCAS」など複数のネットサービスを運営しており、国内最大級の会員数を有する企業。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想