外部環境改善で買い継続、黒田総裁の会見を注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/18 22:42

明日の東京株式市場見通し

 19日の東京株式は、飛び石連休を控えた週末ということもあり、利益確定の売りが想定されるものの、円高・ドル安傾向に一応の歯止めが掛かっていることや、欧米など海外株式市場の落ち着きを背景に買い意欲が継続し、日経平均株価は続伸することになりそうだ。

 市場関係者からは「きょうの大幅な戻りで、日経平均株価の12月SQ(特別清算指数)値1万7281円や、25日移動平均線(1万7404円=18日)が、回復すべき次のターゲットとして意識されはじめてきた。こうしたフシ目を上回ってくると、上昇相場への復帰が早まりそうだ」との見方が出ていた。

 18日の東京株式市場は、前日の米国株高や外国為替市場での円安進行を受け大幅上昇となった。日経平均株価終値は、前日比390円高の1万7210円と大幅続伸。前日の米国市場で、NYダウが今年最大の上げ幅を記録。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の記者会見が「今後の世界経済に配慮した内容」と受け止められ、日米の株式市場で買いが先行した。

18日の動意株

 オプティム<3694>=後場一段高。
この日、3年連続で国内シェアトップのMDM(モバイルデバイス管理)「Optimal Biz」を19日付でバージョンアップすると発表しており、さらなる需要の拡大に期待した買いが入っている。今回のバージョンアップでは、米アップルの「Mac OS X」機器の管理が可能になったのが特徴。国内MDMべンダーとして初めてMac OS Xの紛失対策に対応し、リモートロック・ワイプを可能にしたことで、Mac OS X機器をセキュアに利用できるようになるという。

 戸田工業<4100>=急伸。
同社は磁性粉末材料のトップメーカー。具体的にはプリンター向けのトナー材料やリチウム電池の正極材などを主力に展開する。15年3月期営業損益は前期の赤字から立ち直り、10億~15億円と大きく黒字化する見通し。正極材が急速に改善傾向を強めており、株価もそれを反映するかたちで10月下旬以降、水準を大きく切り上げている。独BASFとの合弁事業を来年2月にスタートするほか、スマートフォン向けではNFC部材(近距離無線通信のアンテナ関連)が拡大しており、来期以降の収益成長を後押しする見込みだ。

 アクセルマーク<3624>=後場急動意。
同社はきょう、グループのアクセルゲームスタジオが開発パートナーとして参加した新作ゲームアプリ「キングダム―英雄の系譜」について、ディー・エヌ・エー<2432>がiPhoneおよびアンドロイド端末向けに15年早春に配信を始めることを決定したと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。「キングダム―英雄の系譜」は、現在NHK総合テレビで第2シリーズが放送されている人気テレビアニメ「キングダム」の世界を再現したスマホ向けゲーム。

 三井住友建設<1821>=堅調。
同社は官公庁向けに強みを持ち、東京五輪に向けた首都圏インフラ整備の進捗や、全国的な橋梁補修需要の拡大で収益機会が広がっている。橋梁は“100年橋梁”の実用化にメドをつけていることから、国土強靭化の国策に乗る銘柄としても注目度が高い。株価は低位で商いをこなし全員参加型材料株としての素地を内包するが、個人投資家人気の裏返しで信用買い残が高水準に積み上がっていることが、やや株価面で重荷となっている。

 石塚硝子<5204>=ストップ高。
同社は17日の取引終了後、鳴海製陶(名古屋市緑区)を子会社化することを発表、これを好感している。鳴海製陶はボーンチャイナの量産化に国内で初めて成功した企業。伝統ある“NARUMI ”ブランドは“ナルミボーンチャイナ”を主力製品として、洋食器のトップブランドとして国内外で高い評価を得ている。今回の子会社化により、石塚硝子のガラス食器ブランドである“アデリアグラス”と“NARUMI ” ブランドの融合による販売力の強化などを図っていく方針。

 八洲電機<3153>=急伸。
同社は17日取引終了後、15年3月期通期の連結最終利益予想の修正を発表、固定資産売却により従来予想の9億7000万円から16億円(前期比2.1倍)に増額しており、これを評価する買いが集まった。同社は経営資源の有効活用および財務体質の向上を図るため、遊休資産である麻布別館(東京都港区南麻布)を売却、譲渡益8億8200万円を15年3月期第3四半期に特別利益として計上する見通し。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想