「辛抱」繋がりの2015年相場へ

著者:津田隆光
投稿:2014/12/18 21:29

「辛抱」から「攻め」に転ずるタイミング・・・?

本日未明に注目の米FOMCとその後のイエレンFRB議長による声明がなされ、キーワードであった『相当の期間』(considerable time)はその声明文には残ったものの、『辛抱強く』(patient)に機軸が移ったような形に。
「金融政策の運営姿勢の正常化開始において辛抱強くいられる(can be patient)」とは、利上げ開始時期まで“たゆまず”監視するという意味合いで、このことはFRBお得意の「ビハインド・ザ・カーブ」戦術(=金利を上げるタイミングを意図して遅らせる金融政策のこと) を改めてアナウンスしたものと捉えてよさそう。

また昨今の原油価格の下落については、『一時的な影響』(transitory effects)と表現し、フリーフォール状態となっている原油相場に対してFRBの立場として悲観的な見方はしていないとのメッセージを発信したことも、今後の原油相場にとって重要な基点となりそう。
ここ最近の“逆オイルショック”とも呼ばれる原油相場の急落は、一部ではロシアによる対米国・サウジアラビア包囲網では?との見方もあるものの、ロシアにとってはまさに“チキンレース”そのもの。
そのロシアは昨今の原油相場の下落と、西側諸国による経済制裁の影響で1400億ドル(GDPの6.7%に相当)以上の損失が発生しているとも言われており、原油収入が国家予算の60%を占めるロシアにとっては死活問題であることは確か。
1998年に発生したロシア財政危機を髣髴とさせるような状態とも言えますが、原油安が世界経済にもたらす影響はまさにトレードオフの関係。資源国にとっては財政状態の悪化をもたらす一因になるものの、先進国経済、特に消費主体の米国にとっては日本円換算で9兆円近くの減税効果になっている側面もあり、まさに功罪さまざま。
その米国が、半世紀以上も外交関係が断絶していたキューバとの国交正常化を開始するとのニュースも、対ロシア包囲網の一環と見られており、今後の政治情勢の成り行きとともに原油相場のゆくえにも耳目が集まります。

いずれにしても、現在のドル円を取り巻く環境に大きな変化は見当たらず、10月31日の日銀追加緩和が実施された日の安値109.17円と12月8日高値121.81円を結んだフィボナッチ・50.0%水準、いわゆる“半値押し”をしたこと、さらには日足・ボリンジャーバンドの売られ過ぎ基準である-2σにワンタッチしたことを総合すると目先の押し目は完了したのでは・・・?と考えます。
これからは“サンタクロース・ラリー”の相場展開も想定できることもあり、まさに本日未明の声明文にあった<辛抱>から、今後は<攻め>に転ずる時期と考えます。ちなみに来年の干支は未(ひつじ)で、「未(ひつじ)辛抱」の相場格言が有名。やや先の話ですが、来る2015年相場は<辛抱>繋がりの相場展開になるのでしょうか?
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想