大幅安の後遺症で続落、中期上昇トレンドは継続

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/10 20:09

明日の東京株式市場見通し

 11日の東京株式市場は、きょうの大幅下落の後遺症も予想されることから、売り物が出やすい地合いとなりそうだ。また、外国為替市場での円相場が短時間に大幅な変動をみせる波乱展開が続いていることから、日経平均株価もそれに振り回され、乱高下する可能性もある。

 10日の東京株式市場は後場一段安。日経平均株価終値は、前日比400円安の1万7412円と大幅続落し、約2週間ぶりの安値水準となった。今週末の株価指数先物・オプション12月物のSQ(特別清算値)算出を控え、外国為替動向にリンクさせた先物主導の売り仕掛けの動きが下落を加速させた面もある。

 市場関係者からは「11月末からほぼ一本調子で短期間に急上昇してきたことに対する当然のスピード調整。しばらくは、円相場の動きと連動して波乱も想定されるが、株式需給などの点から判断して中期上昇トレンドは継続することになる」との見方が出ていた。

10日の動意株

 CRI・ミドルウェア<3698>=ストップ高。
東証1部市場が軟調な展開となっていることから、最も直近のIPO銘柄であり、値動きの軽い同社に短期資金が流入しているようだ。11月27日に東証マザーズ市場に新規上場した同社は上場初日、2日目とカイ気配のまま値がつかず、上場3日目の12月1日にやっと、公開価格(2400円)の5.6倍に相当する1万3500円の初値を形成。2日には上場来高値2万320円をつけたが、その後は一貫して下落しており、自律反発狙いの買いも入っているようだ。

 モブキャスト<3664>=3日続伸。
この日は、12月3日にリリースしたスマートフォン向けネイティブゲームアプリ「ドラゴンスピンZ」(Android版)のダウンロード(DL)数が15万を突破したと発表しており、これを好感した買いが入っている。「ドラゴンスピンZ」はスロットのリールに育てたモンスターを投入する新感覚のスピンバトルシステムしたファンタジーRPG。コインをBETしてスロットを回すだけの簡単操作などから人気を集めている。

 学情<2301>=大幅反発。
同社は8日の取引終了後に、今15年10月期の単体業績予想を発表しており、営業利益で10億8200万円(前期比22.2%増)を見込んでいることから、好業績を見直す動きとなっている。就職情報専業の同社は合同企業説明会「就職博」の開催に加えて転職サイトの取り組みも強化しており、これに対する成長期待も高い。

 オンコセラピー・サイエンス<4564>=ストップ高。
同社はこの日、午前8時30分に新規抗がん剤(低分子化合物)を開発中のメチル化転移酵素SUV39H2に関して重要な働きが見つかり、共同研究者のシカゴ大学医学部の浜本隆二准教授と中村祐輔教授らによって論文が公表されたことを発表した。このメチル化転移酵素は、多くのがんにおいて発現が増加していること、がん細胞の増殖に不可欠であることがわかっていたが、今回、シカゴ大学グループは、この酵素がヒストンH2AX(遺伝子修復に大きな役割を果たしている分子)を活性化して、がん細胞を抗がん剤や放射線治療による損傷から守っていることを明らかにした。

 夢の街創造委員会<2484>=一時ストップ高。
同社は9日の取引終了後、ITホールディングス<3626>傘下のインテック(富山県富山市)と資本・業務提携契約を締結すると発表しており、これを好感した買いが入っている。夢の街では11月12日付で「出前館事業」の持続的成長や「通信販売事業」の体質強化とさらなる発展などを柱とする中期経営計画を発表したが、この達成のためには出前館システムのユーザビリティーの向上や、新たなサービス展開にあたっての迅速なウェブサイトやスマートフォンアプリケーションの構築がカギになると判断。

 クスリのアオキ<3398>=急伸。
同社は9日の取引終了後、15年5月期単独業績予想の増額修正を発表したことが好感されている。売上高は1330億円(前期比16.2%増)で据え置いたが、営業利益は54億9100万円から68億3000万円(同15.8%増)、純利益は38億8000万円から45億5000万円(同19.0%増)に増額した。日用品や生鮮食品などを中心とする食品部門が好調なほか、調剤部門は売上総利益率が改善、ドラッグ部門も販管費の低減などが利益の押し上げ要因に働いている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想