買い気強く1万8000円台固め、需給面の良さ下支えに

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/05 21:03

来週の株式相場見通し

 来週の東京株式市場は、今週末までの6日続伸の後だけに、依然として過熱感は強いものの、良好な需給関係を背景に旺盛な買い意欲が継続することになりそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万7700~1万8300円とする。

 週末5日の東京株式市場は、外国為替市場での1ドル=120円台への円安進行を支えに、後場に入って切り返す動きが鮮明で、地合いの強さを印象付けた。当然ながら来週も利益確定売りは予想されるものの、これを先高期待感が上回るかたちで1万8000円台に乗せる可能性が大きい。しかし、大台回復後は一本調子の上昇とはならず、売りをこなしながらの値固めが続きそうだ。ただ、日銀による上場投資信託(ETF)の買いなど需給面での安心感は根強い。

5日の動意株

 SUMCO<3436.T>=大幅続伸。米半導体業界の動向を示すフィラデルフィア半導体株指数は4日に前日比5.21ポイント高の700.49まで上昇し年初来高値を更新。日本の半導体関連株に見直し機運が膨らんでいる。特に、同社が扱う300ミリシリコンウエハーの需要はスマートフォンの伸びやパソコンの減少率鈍化などで拡大している。その一方、業界全体で生産能力は増えておらず、市場には2015年には需給は逼迫し16年には品不足になるとの見方も浮上。SUMCOには業績急拡大期待が出ている。

 リバーエレテック<6666>=ストップ高。
前日も値幅制限いっぱいまで買われており、人気に衰えはみられない。前日に「消費電流を従来品に比べ5分の1以下に抑え、温度特性にも優れたクロック用水晶発振器を開発した」と発表したことが引き続き材料視されているもよう。次世代スマートフォンなどのモバイル端末やウエアラブル機器、スマートメーターといった電子機器向けの需要が期待されているようで、会社側では既にサンプル出荷態勢を整えており、年内の量産開始を予定しているという。

 丸栄<8245>=急動意。
同社は名古屋の老舗百貨店だが、消費増税の影響を受け足もとの業績は厳しい。一方で材料性に富み、個人投資家など短期資金を中心にファンダメンタルズとは離れた需給相場を形成しやすい。昨年5月から7月にかけ特定資金の攻勢思惑を背に株価100円トビ台から373円の高値まで駆け上がり市場の注目を浴びた経緯がある。

 綜合臨床ホールディングス<2399>=ストップ高。
同社が4日取引終了後に発表した15年7月期の第1四半期(8~10月)連結決算は、売上高16億3000万円(前年同期比5.9%増)、営業利益2億9200万円(同51.7%増)、最終利益1億8400万円(同2.4倍)と増収大幅増益になった。製薬会社の開発領域ががんや中枢神経系などの難治性疾患分野へシフトするなか、より質の高い治験施設支援サービスを提供。企画提案型やプロジェクト管理体制を強化したほか、グループ間の連携を強化したことなどにより収益性が高まった。

 市光工業<7244>=大幅反発。
同社は4日の取引終了後、50%の持ち分を保有する中国の無錫光生科技(江蘇省無錫市)の残る50%持ち分を取得し、完全子会社にすることを発表した。無錫光生科技は、ドアミラーなどの自動車用部品の開発・製造・販売などを手掛けている。今回の完全子会社化により、ミラー事業における国内外の一体化とグローバルな事業基盤の強化を図っていく方針。

 古野電気<6814>=大幅続伸。
同社は魚群探知機など船舶用電子機器のトップメーカーで、造船市況の回復を追い風に15年2月期は業績急回復局面にある。ただ、通期の連結営業利益22億円(前期比47.4%増)と大幅増益見通しながら、従来予想の25億円から下方修正(10月15日)したことから発表後は売りの洗礼を浴びた経緯がある。その後は、PBRが0.8倍前後と解散価値を大きく下回ることもあって実態面を見直す買いが継続的に流入、時価は下方修正を売り材料に開けた大きなマドを埋め、急落前の水準を回復している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想