フシ抜けで先高に期待感、原油安が買い支援材料

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/01 22:23

2日の東京株式市場見通し

2日の東京株式市場は、衆院選の公示日に当たり、与野党の党首をはじめとした幹部が全国で“第一声”を挙げ、選挙ムードが一気に盛り上がることになりそうだ。株式市場も、政治家の発言や選挙情勢分析に関心を強めることになる。

 1日の東京株式市場は、外国為替市場での一時、1ドル=119円台という円安・ドル高を買い手掛かり材料に終日買い優勢の展開で、年初来高値を更新した。日経平均株価終値は、前週末比130円高の1万7590円と続伸。ただ、一方で騰落レシオ25日移動平均は142.16%(1日)と上昇をみせており、引き続き高値警戒感は根強いままだ。

 市場関係者からは、「日経平均株価が一時、1万7600円台に乗せるなど7年4カ月ぶりの高値水準まで買われ、心理的なフシ目とされていた1万7500円も大きく超えてきた。これまでの円安・ドル高進行に、原油安も加わったことで、株価上昇に弾みがついているようだ」との見方が出ていた。

1日の動意株

 桑山<7889>=一時ストップ高。
同社は11月28日取引終了後に、ベルギーのDaems社と資本業務提携すると発表。これが材料視されているようだ。Daems社は、欧米有力ブランドに対して最高品質の宝飾品や宝飾時計部品をOEM供給するメーカー。同社は提携により、Daems社を通じて欧米有力ブランドに製品を供給することが可能になる。なお、同社は今後Daems社の株式を2回に分けて取得し、3年以内に発行済み株式数の33.4%を取得する方針。

 日本化学工業<4092>=14連騰となった。
信用買い残の増加は個人のデイトレードなど短期筋の回転売買に拍車がかかっていることをうかがわせるが、押し目待ちに押し目なしの展開は、ファンド系資金など一貫した法人資金流入を示唆している。化学品事業の合理化努力が奏功し、15年3月期は従来予想から大きく上方修正され、営業利益段階で前期比51.2%増の13億円見通しと好調が際立つ一方で、PBRがまだ解散価値を下回る水準にあることも追随買いを促す。

 新コスモス電機<6824>=大幅続伸。
トヨタ自動車<7203>は世界に先駆けて今月15日に燃料電池車「ミライ」を市販する。燃料電池車の普及を積極的に後押しする国策の流れと相まって、東京株式市場では大きな相場テーマに発展する可能性が意識されており、水素ステーションなど関連銘柄を探る動きが徐々に熱気を帯びている。そのなか、同社は水素ステーション向けガス警報機や燃料電池車の車検時に不可欠な検知器などメンテナンス部門での需要増加が見込まれており、上値期待が醸成されている。

 マーベラス<7844>=急反発。
同社は11月28日に、カードゲームマシン「パズドラZ テイマーバトル」の後継機「パズドラZ テイマーバトル V2」が12月18日から稼働すると決定したと発表しており、これを好感した買いが入っている。「パズドラZ テイマーバトル V2」の詳細は近日公開ながら、「パズドラZ」の世界観を引き継ぎ、「パズドラZ テイマーバトル」を超絶進化させたもの。

 タムラ製作所<6768>=9日続伸。
高周波対策用リアクターがトヨタのハイブリッド車プリウスに採用されたほか、スマートフォン向けではフレキシブル配線板向け黒色レジスト材がアップル社向けに採用されるなど、オンリーワン商品として位置づけられる同社の製品群が好調だ。15年3月期営業利益は前期比66%増の40億円を会社側では見込むが、一段の増額が濃厚とみられているもようだ。証券系調査機関も同社株を強気フォローする動きが相次いでいる。

 JALUX<2729>=続急伸。
JAL系の航空系総合商社で、エンジン部品など取引が好調に推移、訪日外国人観光客の増加も同社の収益チャンス拡大につながっている。原油市況がNYで一時1バレル=65ドル台前半まで下落しており、燃料コストの低下を材料に空運株が連日業種別値上がりトップに買われており、これが刺激材料となっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想