総選挙表明で買い優勢、黒田日銀総裁会見を注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/18 20:00

19日の東京株式市場見通し

 19日の東京株式市場は、安倍晋三首相の解散・総選挙表明を受けて補正予算などを含む経済政策をはじめとして、各政党の選挙公約に関心が集まることになりそうだ。

 依然として、短期間に株価が大幅上昇したことによる高値警戒感は根強いものの、消費税率の引き上げ先送りと同時に、新たな経済対策を打ち出すことへの期待感から買い優勢となりそうだ。

 市場関係者からは「トヨタ自動車<7203>が18日午前に、新型燃料電池車の“MIRAI(ミライ)”を発表したことを評価して年初来高値を更新したことは、全体相場にとっても明るい兆し」との見方が出ていた。

 18日の東京株式市場は朝方から買い優勢。日経平均株価終値は、前日比370円高の1万7344円と急反発し、1万7000円台を回復した。前日のGDPショックの後遺症が残るなか、外国為替市場で1ドル=116円台半ばへと円安が進行したことなどが買い戻しを誘った。

18日の動意株

 サクサホールディングス<6675>=ストップ高。
法務省がこの日、出入国審査の効率化を目的に、8月から9月にかけて羽田・成田両空港で行った、旅行者の顔とパスポートの顔写真を自動的に照合する「顔認証」システムの実験結果を発表し、これを受けて上川陽子法務大臣がシステムの導入の準備を進める考えを示したと報じられていることを材料視。同実証実験には同社も参加していることから、物色の矛先が向かったようだ。

 マナック<4364>=ストップ高。
環境省が17日、東京都江東区で回収された野鳥のホシハジロの死骸を鳥インフルエンザウイルスの遺伝子検査をした結果、A型インフルエンザウイルスの陽性反応が確認されたと発表したことを受けて、新型インフルエンザにも有効で、長期間、物体に固定化できるエトキシシラン系の消毒薬成分「Etak」を広島大学大学院医歯薬学総合研究科・二川浩樹教授と共同開発した同社も関連銘柄として物色されているようだ。東京都によると、都内の野鳥から鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは初めてで、感染予防の観点から同社や、「クレベリン」を手掛ける大幸薬品<4574.T>などに買いが入っている。

 ディジタルメディアプロフェッショナル<3652>=ストップ高。
19日から21日まで「パシフィコ横浜」で開催される組込み総合技術展「Embedded Technology 2014/組込み総合技術展」のアルテラ社ブースに出展すると発表しており、これによる事業機会拡大などへの期待が高まっているもよう。アルテラ社FPGA(ユーザーが自由にプログラミングできるLSI)を活用したグラフィックスIPコアのデモを行うとしており、関心を集めそうだ。

 モルフォ<3653>=ストップ高。
同社は17日の取引終了後、14年10月期連結業績予想の増額修正を発表したことが好感されている。売上高は13億5000万円から14億1600万円(前期比35.0%増)に見直したほか、営業利益は2億5000万円から3億500万円(同5.9倍)に増額した。スマートフォン市場の拡大により海外スマホメーカーからのロイヤルティー収入が増加したほか、円安の進行も収益を押し上げた。また、繰延税金資産として法人税など調整額6900万円を計上している。

 アクトコール<6064>=ストップ高。
同社は17日取引終了後に、子会社を通じて賃貸仲介業務などを手掛けるイーガイア(東京都千代田区)の第三者割当増資を引き受けると発表。これを受け、相乗効果などが期待されているようだ。同社子会社のPLUS-Aは、イーガイアが実施する第三者割当増資(普通株式71株、引き受け価額は約3400万円)を引き受け、発行済み株式総数の33.65%を保有する。この資本提携で、PLUS-Aはイーガイアが培った賃貸仲介業務のノウハウを共有することができ、サービス提供範囲の拡大や高品質のサービス提供などが可能になる。

 マルマン<7834>=一時ストップ高。
同社は17日取引終了後に、15年9月期通期の連結業績予想を公表。営業損益見通しを2億7500万円の黒字(前期は4億6000万円の赤字)としたことが好感されているようだ。売上高は70億円(前期比15.4%増)を見込む。ゴルフ関連事業では新商品「マジェスティロイヤルブラック」を主力ブランドとして拡販を図るほか、健康食品関連事業では機能性食品や衛生用品などをコンビニエンスストアでの展開やネット販売の構築を通じて販路拡大を行っていくとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想