出尽くし感で短期調整、外国人の買い姿勢を注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/14 21:12

来週の株式相場見通し

 17日発表される7~9月期の国内総生産(GDP)速報値の内容を踏まえ、安倍晋三首相は15年10月から実施を予定していた10%への消費税率の引き上げ延期を決断。それを大義名分として、週内にも衆院解散に踏み切る見通しだ。14日の日経平均株価終値と25日移動平均線(1万5896円=14日)とのカイ離率がプラス10.03%と過熱感が増すなか、解散が現実となることで、いったん材料出尽くし感からの売りによる短期間の調整が予想される。日経平均株価の想定レンジは1万7100~1万7800円を予想する。

 今週は、解散・総選挙観測が日増しに強まるなか、消費増税先送りで、想定されていた国内景気の落ち込みが緩和されるとの期待感が高まった。これを背景に、外国人投資家が株価指数先物主導で買い姿勢を強めたことで、日経平均株価は4日連続で年初来高値を更新し、14日終値で1万7490円と約7年4カ月ぶりの高値水準に上昇した。

14日の動意株

 ハナテン<9870>=急反発。
昼休み時間中に、15年9月期の連結業績予想を発表した。売上高507億9800万円、営業利益24億9400万円、最終利益15億5100万円を見込んだ。前期に決算期を変更したため、比較はないが実質で利益が急回復する。整備工場の新設や新規出店により、消費税増税の影響で落ち込んだ中古車成約率が回復するとみている。

 アルメディオ<7859>=後場急伸。
同社はきょう、システム・プランニング(神奈川県海老名市)と業務提携契約を結ぶことを決めたと発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。システム・プランニングは、建築業界での竣工図書デジタル化や保管・管理業務などを手掛けている企業。同社は提携を通じて、これらの受託ビジネスに参入する考え。

 サンコーテクノ<3435>=続伸。
きょう午後2時ごろに、12月31日を基準日として1対2株の株式分割を行うと発表しており、これを好感した買いが入っている。投資単位当たりの金額を引き下げて株式の流動性を高めることで、より投資しやすい環境を整え、投資家層のさらなる拡大を図るのが目的という。また、同時に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算が、売上高84億3300万円(前年同期比8.4%増)、営業利益7億1000万円(同25.9%増)、純利益4億4300万円(同42.5%増)と大幅増益となったことも好材料視されている。

 三菱化工機<6331>=大幅高。
きょうは寄り付きから大口の買いが流入し、久々に急動意の様相となった。「水素社会」へのエネルギーシフトをテーマに安倍政権は今後5年間で燃料電池や燃料電池車の普及を促進させるための産業インフラ作りを加速させる方針で、2020年の東京五輪では水素社会の未来像を広く世界へ発信することを掲げている。燃料電池車普及には、新たな社会基盤として水素ステーションの増設が必須課題となっており、そのなか同社は水蒸気改質型水素製造装置などを手掛け、水素ステーションのエンジニアリングで強みを持つことから有力関連株として注目度が高い。

 日本ヒューム<5262>=急反発。
同社は13日午後2時に、15年3月期通期の連結経常利益予想を従来の23億5000万円から34億5000万円(前期比19.9%増)に増額修正すると発表。前日は株価の反応が鈍かったものの、改めて見直す動きとなっているようだ。売上高見通しも370億円から375億円(同5.2%増)に引き上げた。国内外で工事売上高の増加を見込んでいるほか、経常利益は持ち分法投資利益の計上が押し上げ要因になる。

 共英製鋼<5440>=8日続伸。
新日鉄住金系の電炉メーカーで鉄筋用棒鋼を主力とする。スクラップ価格の下落から採算が改善、15年3月期営業利益は従来予想の72億円から87億円(前期比3.0倍)に大幅上方修するなど業績は好調が際立つ。販価引き上げ効果に加えて「スクラップ価格は足もとも会社側想定を下回る水準で推移している」(業界アナリスト)ことから、これを追い風に根強い買いが続いている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想