急ピッチな上昇を警戒、沖縄県知事選前に手控え

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/13 19:33

明日の東京株式市場見通し

 14日の東京株式市場は、最近の急ピッチな上昇への警戒感に加え、週末特有のポジション調整の動きもあいまって、日経平均株価は一服商状となりそうだ。解散・総選挙の実施について、株式市場では既に規定路線との見方が強まり、株価への織り込みも進んでいる。また、このところの日経平均株価は、外国為替市場での円安・ドル高の進行と相乗的な動きをみせており、これが一服した場合の調整への警戒感もある。

 さらに、16日の沖縄県知事選挙など複数の有力地方首長選挙の投開票を前にして、買い手控えムードが広がることも予想される。

 13日の東京株式市場は、日経平均株価終値が前日比195円高の1万7392円と3日続伸し、新値追い。前日の米国株市場ではNYダウが後半下げ渋ったものの7日ぶりの小幅反落となり、東京市場も最近の上昇ピッチの速さを警戒して上値の重いスタートとなった。後場に入ると自民党要人の発言を受け、年内解散総選挙と消費税率再引き上げ延期の思惑が強まり、上昇に拍車が掛かった。

13日の動意株

 トランスジェニック<2342.T>=後場一時ストップ高。午後1時20分ごろ、膵がんマーカーに関する特許が米国で成立したと発表しており、これを好感した買いが入っている。今回成立した特許は、国立がん研究センター研究所創薬臨床研究分野の尾野雅哉ユニット長や山田哲司上席副所長らが発見した膵臓がんの診断に有望な新規腫瘍マーカーに対する抗体を同社独自技術のGANPマウス技術を用いて作製したもの。

 楽天<4755.T>=上げ足加速。「楽天市場」を中心にネット通販事業が大きく収益に貢献しており、14年1~9月期の連結決算は売上高が前年同期比14.7%増の4242億1600万円、最終利益が同16.5%増の423億2300万円と好調。特に、今12月期第3四半期にあたる7~9月期の好調が顕著で、「上期は営業利益段階で減益だったものの、同期間では前年同期比増益に転換、しかも2割強の高い伸びを示している」(国内証券アナリスト)状況だ。

 巴コーポレーション<1921.T>=後場上げ幅拡大。12時30分ごろに15年3月期の連結業績見通しについて、売上高は従来予想の220億円(前期比0.9%増)を据え置きつつ、営業利益を同9億円から12億円(同3.9%増)へ、純利益を同6億円から8億円(同19.5%増)へ上方修正したことが好感されている。上期利益が計画を上回って着地したことが要因という。

 ノザワ<5237>=急反発。
きょう11時に15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の195億円から205億円(前期比1.5%増)へ、営業利益を同20億7000万円から24億2000万円(同10.3%増)へ、純利益を同12億8000万円から16億1000万円(同87.4%増)へ上方修正したことが好感されている。上期に主力の押出成形セメント製品の増販で売上高が計画を上回ったことが要因。また、増産効果に加えて生産性の向上や全社的なコストダウンを強力に推進したことも寄与するという。

 ニチイ学館<9792>=大幅高。
12日の取引終了後に自社株買いを発表しており、これを好感した買いが入っている。850万株(発行済み株式数の12.16%)、60億円を上限としており、取得期間は11月13日から来年5月31日まで。

 オンコセラピー・サイエンス<4564>=ストップ高。
きょう朝方、同社が知的財産権を保有し製薬企業に独占的実施権を許諾している3種類のがん特異的ペプチドワクチンの臨床研究(医師主導第2相臨床研究)の結果に関して、がん細胞を殺す機能のあるT細胞の反応を著明に増強させ、患者の生存期間延長効果のあることが明らかになったとの研究成果を発表しており、これを好感した買いが入っている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想