日経平均はスピード調整へ、先物主導に警戒感も

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/12 21:06

明日の東京株式市場見通し

 13日の東京株式市場は、株価指数先物主導での急ピッチな上昇に対する警戒感が強まり、日経平均株価はスピード調整となりそうだ。

 12日の東京株式市場では、年内の衆院解散・総選挙観測や消費税率引き上げの判断先送り報道を手掛かり材料に、株価指数先物主導で買い進まれ、一時前日比319円高の1万7443円まで買い進まれた。ただ、後場に入ると急速に伸び悩み、終値は同72円高の1万7197円となった。

 特徴的だったのは、日経平均が続伸したにもかかわらず、東証1部の値下がり銘柄数が1190と、値上がりの555銘柄の倍以上に達している点だ。一方、売買代金は3兆2703億円に達した。

 市場関係者からは「海外投資家からの買いとみられる先物主導の上昇で、過熱感が強まっている。ただ、多くの個人投資家は、解散・総選挙や消費増税問題に結論が出て、それに対する株価の反応を見極めてから買い出動しても遅くないとの判断で見送り姿勢にあるようだ」との見方が出ていた。

12日の同意株

 菊池製作所<3444>=急騰。
同社と東京理科大学が共同出資するイノフィス(東京都葛飾区)が「マッスルスーツ」の本格的な販売やレンタルを開始したと発表。これを好感した買いが入っている。「マッスルスーツ」は、圧縮空気で伸縮するゴムチューブを使い、人や荷物を中腰で持ち上げる作業を補助する装着具。介護福祉分野をはじめ、物流分野や工場内での諸作業などで試験販売やサンプル出荷を行い多くの反応を得ることができたことから販売するもので、販売価格は60万円。当面は法人向けに販売するという。

 アルバック<6728>=大幅続伸。
同社が11日の取引終了後に発表した第1四半期(7~9月)連結決算は、売上高392億4500万円(前年同期比8.4%減)、営業利益20億3200万円(同40.6%減)、純利益13億6000万円(同59.3%減)と大幅減益に終わったが、8月の15年6月期業績見通し発表以降の下落で株価に織り込み済みとの見方が強く、悪材料出尽くし感が強まっている。半導体および電子部品製造装置事業は受注・売上高ともに伸長したが、FPDおよびPV製造装置は大型液晶ディスプレー製造装置の投資が前年下期に増加した反動で受注・売上高が減少した。

 コメ兵<2780>=新値追い。
中古ブランド品や宝飾品を中心に販売が好調、訪日観光客増加が免税売り上げを通じ、国内の高額商品の売り上げ拡大につながっている。免税販売は来期以降も収益の牽引役として期待されるほか、ここ急速に進む円安も国内の個人からの買い取り主体である同社にとってコスト増に結びつかない強みを持っている。一方、財務面ではROE12%台と株主資本効率の高さも評価材料となっている。

 セイノーホールディングス<9076>=大幅高。
同社は11日取引終了後に、600万株(自己株式を除く発行済み株式数の3.02%)、50億円を上限とする自社株取得枠を設定したと発表。また、流動性の向上などを目的に15年3月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更することも明らかにしており、需給面での好影響などが期待されているようだ。

 イナリサーチ<2176>=ストップ高。
同社はこの日、午前9時5分に信州大学医学部循環器内科学教室(池田宇一教授)の柴祐司講師の研究チームとの共同研究により、MHC統御カニクイザルを用いたiPS細胞の心臓への移植試験を行うことを発表、これを好感している。カニクイザルの心臓への施術法、今年導入した3DマイクロCTスキャン装置の測定条件設定といった手法開発が整ったことで、MHC統御カニクイザルを使用した再生医療技術開発のための試験が柴研究チームによりイナリサーチのレンタルラボで開始される。

 トミタ<8147>=ストップ高。
午前11時に第2四半期累計(4~9月)連結業績について上方修正を発表。売上高を従来予想の99億円から103億7900万円(前年同期比2.5%減)へ、経常利益を同4億円から5億1600万円(同10.7%減)へ増額したことが好感されている。北米を中心とした海外部門の売り上げが好調だったことに加えて、円安による為替差益の発生などが要因としている。また、15年3月期通期業績予想についても、売上高を従来予想の205億円から207億円(前期比1.0%増)へ、経常利益を同8億円から8億5000万円(同9.7%減)へ上方修正している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想