主力株手控えられ続落、中小型銘柄に買い姿勢

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/10 20:23

11日の東京株式市場見通し

 11日の東京株式市場は、主力銘柄への買い手控えムード持続が予想されることから、日経平均株価は続落となりそうだ。ただ、好業績の中小型株を中心に買い意欲は旺盛で、全面安の展開は避けられそうだ。

 10日の東京株式市場は、後場に入って外国為替市場で一時、1ドル=113円台へと円が上昇、これを受けて株価は全般下落幅を広げる場面もあったが、大引けにかけては下げ渋った。日経225種採用など主力銘柄に安いものが多く、売買代金は減少した。日経平均株価終値は、前週末比99円安の1万6780円と反落した。

 市場関係者からは「日経平均はマイナスとなったものの、マザーズ指数、ジャスダック指数、東証2部指数、東証1部小型株指数はいずれも前週末比プラスで引けた。さらに、東証1部の値上がり銘柄数は939で、値下がり銘柄数の781を上回った」との声が上がっており、地合い自体は堅調との見方をしているようだ。

10日の動意株

 フェヴリナホールディングス<3726>=ストップ高。
7日の取引終了後、集計中の14年9月期連結業績について、売上高を13億円から12億7300万円(前の期比30.9%減)に下方修正した一方、営業損益を同収支均衡から5100万円の黒字(前の期5000万円の赤字)へ、純利益を2億2300万円から2億9600万円(同4億1100万円の赤字)へ上方修正したことが好感されている。業務の効率化・合理化策が奏功したほか、繰延税金資産などの計上が寄与した。

 ダイヤモンド電機<6895>=急伸。
この日午前11時に発表した15年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結決算は、計画を上回り大幅増収増益になった。売上高は前回予想の250億円に対して281億9200万円(前年同期比15.5%増)、営業利益7億円に対して8億9700万円(同76.7%増)、純利益2億8000万円に対して6億4600万円(前年同期15億7600万円の赤字)を達成。海外市場の好調と円安による増収効果で予想を上振れた。

 東京製綱<5981>=後場に入り大幅高。
午後1時30分、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高、営業利益は従来予想の750億円(前期比5.8%増)、37億円(同9.2%増)を据え置きつつ、純利益を同26億円から37億円(同22.0%減)へ上方修正したことが好感されている。上期に投資有価証券売却益を計上したことや、有利子負債圧縮による金利削減効果などを加味したという。

 サンゲツ<8130>=ストップ高。
同社は7日取引終了後に、株主還元の強化策を発表。16年度までの3年間の連結総還元性向を平均100%以上とすることなどを掲げており、これが買い手掛かりとなってい。今後3~5年間で自己資本金額を14年3月期末に比べ100億~200億円の圧縮を目指す一方、機動的に自己株式の取得や増配を検討・実行するとしている。また、この方針に沿い、110万株(自己株式を除く発行済み株式数の2.88%)、30億円を上限とする自己株式の取得枠設定と、12月12日付で208万9000株(自己株式を除く消却前発行済み株式数の5.48%)の自己株式を消却すると発表した。

 マルマエ<6264>=一時ストップ高。
同社は8日に、10月度の月次受注残高が2億9200万円になったと発表。前年同月比80.7%増、前月比84.4%増と大きく伸びたことが好感されているようだ。 半導体分野の受注が順調だったほか、FPD分野の受注も持ち直し。また、光学分野でユニット受注があったことも受注残の大幅な伸びにつながった。

 日本電子材料<6855>=大幅続伸。
同社は7日の取引終了後、今15年3月期通期業績予想を修正。連結売上高で従来予想の104億円から108億9000万円(前期比11.1%増)へ、営業利益で2億8000万円から6億6000万円(同3.6倍)へ上方修正、これを好感している。アドバンストプローブカードの販売が堅調に推移したことに加えてDRAM向けの受注を開始したことも寄与、工場の稼働率向上や原価低減活動の取り組みも寄与している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想