持ち高解消の流れ続く

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/17 19:51

ただしテクニカル面は底入れ示唆

 来週の東京株式市場は引き続き海外要因に振り回される波乱展開が予想される。日経平均株価の想定レンジは、1万4200~1万4800円とする。欧州に端を発した経済減速傾向が、米国にも悪影響を与えるという懸念が増幅し、世界の主要市場で売りが売りを呼ぶ展開が続いている。

 17日の東京株式市場では、大手自動車やメガバンクなど「TOPIXコア30」採用の主力大型株にまとまった売りが出たことから、海外機関投資家が持ち高を解消する動きに出たとの見方が聞かれた。

 一方で東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)が69.4%と売られ過ぎの目安とされる70%を割り込むなど、テクニカル面では底入れの接近を示唆している。ただ、少なくとも来週前半は、持ち高解消の圧力が押し目買いを上回ることになりそうだ。

17日の動意株

 北川鉄工所<6317>=後場上げ幅拡大。この日前場取引終了後に15年3月期の連結業績予想を上方修正したことを受け、買い気が強まった。従来予想の売上高470億円を492億円(前期比10.8%増)、経常利益23億円を29億円(同34.0%増)へ修正、2ケタ増収で大幅増益を見込んだ。自動車関連部品やIT関連の設備投資向け製品、建設関連製品が好調に推移、円安効果も加わって、第2四半期(4~9月)は売り上げ、利益とも計画を大きく上回り、通期予想を見直した。

 ビジネス・ブレークスルー<2464>=後場急伸。同社はこの日、午後1時に15年3月期第2四半期累計(4~9月)業績予想を修正。連結売上高で従来予想の17億9400万円から18億3100万円(前年同期比32.1%増)へ、営業利益で9600万円から1億7600万円(同7.3%増)へ上方修正した。法人受注が堅調に推移し、新規法人案件を前倒して受注できたことが要因。

 SUMCO<3436>=8日ぶり反発。目先は海外株安や為替のドル安・円高の流れを受けて急な調整を余儀なくされてきたが、9月末高値からの下落率は前日安値までで24%を超えており、目先突っ込み警戒感からの買い戻しを誘っている。同社が強みを発揮する300ミリシリコンウエハーの需要は、高価格帯商品に需要シフトの続く中国スマートフォン向けなどを中心に数量増効果を享受している。

 日本コンベヤ<6375>=大幅高。同社は大容量プラントコンベヤーを手掛けており、2027年に品川~名古屋間での開業を目指すリニア中央新幹線ではトンネル工事で発生する残土運搬で商機が訪れるとの見方が強い。「太田国交相がきょうリニアの着工を許可したことが伝わり、これを手掛かりに同社株をはじめ建設株の一角に投機性の強い個人投資家資金が流入している」(中堅証券)という。

 タダノ<6395>=反発。前日取引終了後に今15年3月期の連結業績予想を上方修正。前回予想の売上高1920億円を1980億円(前期比8.9%増)、営業利益230億円を258億円(同22.0%増)、経常利益225億円を255億円(同17.8%増)へ引き上げた。国内外で売り上げが増加、円安も追い風で、集計中の第2四半期は計画を上回り、売上高、利益ともに過去最高を更新したもよう。

 ユーグレナ<2931>=大幅反発。同社は16日に、武田薬品工業<4502>とユーグレナ(和名:ミドリムシ)を配合する新たな製品の開発可能性を共同で検討する包括的提携契約を結んだと発表。同時に、武田薬がユーグレナ含有の健康補助食品「緑の習慣」を発売したことも明らかにしており、さらなる商品展開が期待されているようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想