目先買い戻しに反動高・米国株の方向性を注視

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/14 23:20

15日の株式市場見通し

15日の東京株式市場は目先突っ込み警戒感が働き、いったんリバウンドに転じそうだ。

 日経平均株価はきょうまでで5日続落となり、心理的フシ目となる1万5000円の大台を割り込んだ。この間の下げ幅は954円、率にして6%に達している。25日移動平均線との下方カイ離も約6%に達し、東証1部の騰落レシオは売られ過ぎとされる80%を下回った。外部環境は予断を許さないが、相場の自律神経が壊れていないことを前提に、遅かれ早かれこの修復に動く公算が大きい。

 東京市場の先高期待を支えていた米株高と円安という2つの上昇エンジンが“故障”をきたしているものの、株価形成のベースとなるのは、あくまで企業業績だ。円高修正が一服したとはいえ、依然として企業の想定レートよりは大幅な円安水準にある。上期実績が好調で通期増額期待が根強い銘柄も多いなか、実態面では、見直される要素を多分に含んでいる。ただ相場のトレンド自体は変化している可能性も否定できず、これについては、今後の米国株の動きに委ねられる部分が大きい。

14日の動意株

 日本アビオニクス<6946>=ストップ高。
西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱は米国内でも感染者を出すなど世界的な感染拡大への懸念も高まりつつある。そのなか同社は赤外線サーモグラフィー装置を空港などに納入、同装置は発熱者を早期発見して水際での感染者隔離で有効とみられており、短期資金の流入が加速している。

 ディジタルメディアプロフェッショナル<3652>=急反発。
午前中に、任天堂<7974>が11日に発売した「Newニンテンドー3DS」に、DMPの独自技術である「MAESTRO」をベースとしたGPUコアが採用されていると発表しており、これを好感した買いが入った。同社ではこれまでにも「ニンテンドー3DS」向けなどに、3Dグラフィックス対応のGPUコアを提供してきたが、それに続く採用となる。ゲームコンテンツの描画機能などに使用されるもので、これによる業績への貢献などが期待されている。

 森下仁丹<4524>=後場急動意。
同社は午後1時、長瀬産業<8012>とともに、合成高分子樹脂を皮膜とする独自のシームレスカプセル技術を用いて、さまざまな環境汚染物質を選択的に分解可能な新規バイオカプセルを開発、その成果を特許出願したと発表した。 環境浄化機能を持つ微生物をカプセルに包むことにより、有機物から重金属までさまざまな汚染に対応した環境浄化事業の世界的展開を目指していく方針。

 ミマキエンジニアリング<6638>=大幅反発。
前週末10日の取引終了後、第2四半期累計(4~9月)連結業績について、売上高を従来予想の211億6300万円から222億5000万円(前年同期比17.3%増)へ、営業利益を同15億2700万円から26億5000万円(同79.5%増)へ、純利益を同7億2700万円から16億円(前期1億3800万円)へそれぞれ上方修正したことが好感されている。欧州やアジアでの販売が好調だったことに加えて、実勢為替レートが想定よりも円安で推移したことが要因としている。

 ムゲンエステート<3299>=5日ぶり急反発。
前週末10日の取引終了後、14年12月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の250億3100万円から290億円(前期比39.2%増)へ、営業利益を同26億1300万円から30億円(同33.1%増)へ、純利益を同12億7000万円から15億5000万円(同37.5%増)へそれぞれ上方修正したことが好感されている。国内や東南アジアを中心とする個人富裕層の1棟賃貸マンションや1棟賃貸アパートなどの投資用不動産への投資が活発化していることを背景に、多様な投資用不動産の在庫形成を整え、他社との差別化を図ったことが奏功したという。

 ラクーン<3031>=一時ストップ高。
同社はこの日、午前11時にSquare(東京都港区)と業務提携することを発表した。今回の提携は、ラクーンが提供するサービス、ファッション・雑貨の小売店向け仕入れサイト「スーパーデリバリー」とクラウド受発注ツール「COREC」がそれぞれ、Squareが提供するスマートフォンやタブレット端末で利用するクレジットカード決済対応のPOSレジ「Square レジ」とデータ連携するもの。連携利用することで、ラクーンがターゲットとする中小規模の小売店は商品仕入れ・発注から売上分析をはじめとする店舗運営までの業務が効率化し、利便性が向上する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想