自律反発に期待感も、1万5100円フシ目攻防

著者:冨田康夫
投稿:2014/08/06 21:19

7日の株式相場見通し

 7日の東京株式市場は、日経平均株価がきょうまでの5日連続安で、486円の大幅な下落となっており、値ごろ感からの買いも予想され、自律反発の展開が予想される。

 ただ、日経平均株価は、1万5100円という重要なフシ目に差しかかっていることも事実。7月の調整局面では、11日、18日の2回とも1万5100円を抵抗ラインとして出直り、上昇基調を維持した経緯がある。もし、この水準を大きく割り込むと、ある程度の期間、調整が長引く覚悟が必要となりそうだ。

 6日の東京株式市場は、前日の米国株安を受けて売り優勢の展開。日経平均株価終値は前日比160円安の1万5159円と5日続落となった。東証1部の売買代金は2兆357億円と、2兆円台に乗せたものの、ソフトバンク<9984>ダイキン工業<6367>など日経平均株価への寄与率の高い銘柄の下げが全般の下落幅を拡大させた。

6日の動意株(大引け)

 青木あすなろ建設<1865>=続伸。
国策を背景とした旺盛な建設需要が業界に強力な追い風をもたらせている。一方で現場の人手不足の問題や資材価格の高騰で建設コストも上昇しているが、同社は労務費や資材費上昇の転嫁が順調に進んでおり、完成工事総利益率改善が顕著だ。案件も官公庁向けへのシフトなどで選別受注効果が発現。同社の14年4~6月期の連結決算営業利益は前年同期比5.7倍となる3億2800万円と高水準の変化をみせており、既に第1四半期で中間期計画3億円を超過していることもあって、好業績を評価する買いが続いている。

 蛇の目ミシン工業<6445>=出来高急増で大幅高。
家庭用ミシンのトップメーカーだが、輸出が主力。ロシアや欧州など海外で予想以上に好調な売り上げをみせている。また、国内では政策支援による「ものづくり補助金」や機械設備の更新需要を背景とした企業の設備投資マインドの回復が、産業機器部門に追い風となっている。14年4~6月期業績は営業利益段階で前年同期比4.2倍の6億9300万円と好調だ。

 トリドール<3397>=後場一段高。
一時、前日比68円高の982円まで買われる場面があった。同社は5日に、7月度の月次売上高を発表。既存店売上高は前年同月比1.4%減となったものの、6月(6.7%減)から改善したことが評価材料となっているようだ。全店ベースの売上高は前年同月比3.3%増と、2カ月ぶりのプラス。

 クボタ<6326>=6日ぶり急反発。
同社は5日取引終了後に、15年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表。営業利益は524億3200万円(前年同期比11.3%増)となり、上半期計画950億円に対する進捗率は55.2%に達した。第1四半期の連結売上高は3607億2500万円(前年同期比0.3%減)で着地。国内向けの機械および水・環境部門が減収となったものの、為替の改善や海外での増販などが増益につながった。

 バンダイナムコホールディングス<7832>=急騰。
同社は5日の取引終了後、15年3月期第2四半期累計(4~9月)業績を修正。連結売上高を従来予想の2350億円から2550億円(前年同期比11.6%増)へ、営業利益を200億円から250億円(同5.3%減)へ増額し、これを好感している。コンテンツ事業で国内のネットワークコンテンツと映像音楽コンテンツに加え、欧米のゲームソフトが好調に推移。また、国内のトイホビー事業でも定番IP(キャラクターなどの知的財産)商品や新規IP商品が好調に推移している。

 日本電子材料<6855>=ストップ高。
同社は5日取引終了後に、15年3月期第1四半期(4~6月)の連結決算を発表。営業利益は1億6500万円(前年同期比4.8倍)となり、すでに上半期計画1億4000万円を超過した。第1四半期の連結売上高は25億800万円(前年同期比16.0%増)で着地。NAND型フラッシュメモリー向けの半導体検査用部品の拡販が進んだほか、利益面では工場稼働率向上や原価低減に注力したことが功を奏した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想