警戒感やや薄らぎ続伸、金融政策決定会合の影響軽微

著者:冨田康夫
投稿:2014/07/14 21:25

あす(15日)の株式相場見通し

明日の東京株式市場は、きょう日経平均株価が6営業日ぶりに反発したことで、調整期入りへの警戒感がやや薄らいだことから、続伸となりそうだ。あす、結果が発表される日銀の金融政策決定会合は、「現状維持」との見方が多く、4月30日にまとめた「展望リポート」の中間評価も、物価上昇や消費増税後の景況感がほぼ日銀の想定通りとみられるため、従来予想に大きな変更はない見通しで、株価への影響は限定的となりそうだ。
 14日の東京株式市場は、前週末の米国株高を受けて買い戻しが優勢。先物主導の裁定買いで、後場に入り日経平均株価は水準を切り上げた。終値は、前週末比132円高の1万5296円と6日ぶりに反発した。低位の個別材料株物色が目立ったが、一方でトヨタ自動車<7203>、ソフトバンク<9984>など主力株の一角も堅調な推移となった。
 
 日程面では、スマートフォンおよびタブレット端末など向けのネイティブアプリサービスを提供するイグニス<3689>が東証マザーズに新規上場。このほかに、自民党の西川TPP対策委員長が米通商代表部のフロマン代表と会談、黒田日銀総裁が記者会見、6月の工作機械受注に注目。
海外では、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米議会上院で金融政策報告、米6月の小売売上高が焦点となる。

<動意株>=兼松日産、東京計器、FUJIKOなど

兼松日産農林<7961>=急動意。
同社株は1996年の相場で仕手集団の買いで5210円の高値まで駆け上がった経緯がある。時価は低位で値ごろ感があるうえ、株価トレンド的にも出遅れ感が顕著だ。一方、テーマ買いの材料としては監視カメラなどセキュリティー機器事業が収益に寄与しており、防犯ニーズの高まりを背景に見直し余地が指摘されている。

 東京計器<7721>=大幅続伸。
政府は13日、北朝鮮が韓国に近い南西部の開城(ケソン)付近から弾道ミサイル2発を北東方向に向けて2発発射したと発表した。いずれも500キロメートル程度飛んで日本海に落下したとみられており、北朝鮮に対する地政学的リスクが市場でも意識されている。そのなか、同社は防衛省向けに航海・航空計器の納入実績が豊富であり、防衛関連株の一角として思惑買いが集まりやすい。

 FUJIKOH<2405>=後場上げ幅を拡大。
前引け後に発表した6月度の月次売上高が2億1400万円(前年同月比7.6%増、計画比10.9%増)となったことを好感。前年実績、計画値とも上回っており、業績上振れへの期待も強い。

 芦森工業<3526>=続急伸。
同社株は一連の特定資金の仕掛け的な買いがウワサされるなかで前週末に50円高のストップ高で230円まで上値を伸ばし年初来高値を更新。買いの背景にあるのは、「台風などの自然災害への対策関連としての切り口」(国内投資顧問)といわれている。袋詰め脱水処理工法用の袋体や泥土・泥水の脱水減容化に用いる再使用可能な袋体、地山の集水・排水に用いるフレキシブルな保形ホース、地山補強アンカーに用いる異径ジャケットなどジオの製品を手がけており、これからの台風の季節に折に触れて存在感を高めそうだ。

 三協立山<5932>=急反発。
11日取引終了後に発表した前14年5月期の連結決算は、売上高2952億3600万円(前の期比8.6%増)、営業利益166億1300万円(同37.6%増)と増収大幅増益で着地。主力の建材が売り上げを伸ばし、利益を拡大したほか、マテリアルや商業施設事業もそろって好調だった。15年5月期は売上高3000億円(前期比1.6%増)、営業利益150億円(同9.7%減)と増収減益を予想した。消費税率引き上げによる反動減や、円安による輸入原材料価格の上昇などを想定している。

 虹技<5603>=異彩高。
自動車用を主力に鉄鋼向け鋳型を展開するが、電線共同溝用鉄蓋などの鋳物を手掛けていることから、政府が推進する電線地中化で恩恵を受ける関連穴株として注目度が高まり、投機資金の攻勢が加速した。一連の材料株物色人気には共通項として、「かつて名を馳せた往年の仕手集団が手掛けたと噂された銘柄が多い」(市場関係者)といわれている。同社もそのリバイバル銘柄のひとつであり、短期資金の追随買いを誘う背景にあるようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想