日本の年金基金は世界一の規模~その運用が変わる可能性

著者:木村佳子
投稿:2014/04/23 11:52

世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )の運用委員会の運営委員長に米澤康博早大教授

日本の年金基金が運用する金額は約129兆円で世界一の規模。この世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )の運用委員会にこのたび、委員7名が任命され、その運営委員長に米澤康博早稲田大学大学院・ファイナンス研究科教授が選ばれ、ご就任されることになりました。

現在、私は早稲田大学大学院で米澤先生の授業を取っているのですが、これで日本の年金運用はいい方向に改革が促進されると非常にうれしく思いました。
というのも、米澤先生は「業績を伸ばし続けようと努力する会社を正当に評価する指標が必要」とかねがね指摘されておられるからです。
いくら有名企業でも努力不足で業績が低迷してしまえば、「投資」という観点から評価対象として不適格です。しかし、タイムラグが多少あっても、また復活してくれば、 きちんと評価され直される、そういうしくみが必要なのは自明です。
そして、そういう努力が報われることが元気な社会やマーケットの活力になるべきだということをおりおりの授業でも提唱されておられます。

ご存じのように年金は手堅い国債に偏った運用になっています。それは年金の性質上、やむを得ない面があるにしても、あまりにも国債一辺倒では硬直化してしまいますし、アベノミクスと日銀の異次元金融緩和で年率2%のインフレを目指している今ではやや、懸念も感じられます。
年金は私たちの老後生活には欠かせない社会資源なので、リスクを減じながらも、社会に活力を与える運用も必要といえます。その意味で、頑張る企業を正当に評価する仕組みとしての投資を提唱されている米澤康博教授が運営委員長に就任されたのは誠に時節を得ており、海外からも日本株を見直す大きな力強いインパクトになると思います。

東大式物価指数ではすでに現状の物価水準はインフレ率2%を超えているというデータもある中、日銀の追加的金融緩和はそう期待できるものではないと思います。
しかしながら、年金運用でインパクトのある人材登用によって、129兆円の運営が社会構造の改革に寄与すれば、アベノミクスが目指す「成長する日本を取り戻す」というミッションには強力な効果が期待できるのではないでしょうか。

今回の布陣は先般の財務省・麻生大臣の日本のマーケットに対するメッセージと同様の効果があると感じられます。
結構、大きなニュースだと思いますのでコラムにしました。

配信元: 達人の予想

著者のおすすめ