雇用統計を終えて政治相場へ移行

著者:菊川弘之
投稿:2014/04/07 14:31

TPP交渉大詰め

 3月雇用統計を受けて、ドル円は104円台前半で節目を付け反落となっている。4月はGANNのアニバーサリー・デイトも多く集中するように、過去、ドル円の節目となるケースが多い。雇用統計発表直前に付けた高値が節目となるのか否かが注目だ。ドルとの逆相関を続けているNY金は、週末に再び200日移動平均線を上抜いており、目先はドルの下値を試しそうな雰囲気だ。
 雇用統計と言うビッグイベントを終え、マーケットの関心は、マクロ経済指標よりも環太平洋経済連携協定(TPP)交渉交渉絡みの政治ファクターに移行するかもしれない。ウクライナ問題や中国のシャドーバンキングが一服している中、日米両政府は7日、TPP交渉の実務者協議を再開。大江博・首席交渉官代理と米通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代行が、コメや牛・豚肉など農産品の「重要5項目」の関税の扱いを中心に協議する。米側は今月下旬のオバマ大統領来日までに、コメなど農産物重要5項目の関税協議に決着のめどを付けたい考えで、日本側に譲歩を迫る姿勢を強めている。
 ドル円も、TPP交渉の手段として政治的な値動きが出てくる可能性には注意したい。日本に妥協の姿勢が見えないと、米財務省半期為替報告書での円安牽制などの政治的な動きも予想され、株安・円高に振れやすくなるだろう。7─8日に予定されている日銀金融政決定会合で、(事前予想通りではあるが)金融政策の現状維持が決まれば、株安・円高となる可能性もある。日銀が報道解禁のタイミングを「会見終了後」から「会見開始と同時」に変更すると発表した事もあり、今回の会見からはヘッドラインに左右される慌ただしい動きとなる事も予想され注意したい。ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事は、欧州中央銀行と日本銀行に対して追加緩和策を要請しており、G-20財務相・中央銀行総裁会議などを通して、追加緩和催促を強める展開も想定しておきたい。
 一方、オバマ大統領訪日に合わせてTPP交渉での日本の妥協が決まるようなら、そこからは日本株買い・円売り再開の号砲が聞こえるかもしれない。いずれにしろ、新興国リスクの急浮上がなければ、当面は政治相場となる可能性に注意したい。 
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想