「アベノミクスはどこ吹く風、危機はスロベニアへ」
本日の日経平均は61.95円高の12397.91円で取引を終了した。キプロス問題の収束から買い先行となったものの、その後は徐々に上昇幅を縮小させる展開。それでも引けにかけてはドレッシング買いへの期待などから、再び強含む動きとなった。ただ、今晩の欧米市場がグッドフライデーで休場となることから、全般的には手控えムードが強かった。
日経平均の日足チャートでは、下影陰線が出現。押し目買い意欲の強さを示唆しており、安値圏では根強い買いが入っていた。12280円付近にちょっとしたテクニカルの壁(需給の壁)が存在している可能性があり、これがストッパー役として機能しているようだ。
ただ、すでに上方にはファンダメンタルズの壁(割高の壁)が存在しており、株価の方向性は明らかに下向き。軸は下方向に傾いており、株価はいずれ下方の窓に吸い寄せられるだろう。外部環境に劇的な変化がない限り、この動きが止まることはなく、株価は下方の2つの窓(11933.82円―11946.01円、11779.42円―11803.09円)を連鎖的に埋めることになりそうだ。
株価の上値は急速に重くなっている。その要因は外国人投資家の投資姿勢の変化だ。先週の対内株式投資、投資主体別売買動向では、海外投資家がそれぞれ19週ぶりに日本株を売り越し。これまでとは様相が一変している。それに対して個人投資家は買い越しに転じ、また信用買い残を積み上げている。典型的なワナに嵌まった格好であり、結果的に外国人が売り逃げ、個人投資家が高値づかみをするパターンであると言えよう。今は急落する銘柄がREITなどに限定されているが、割高になりすぎた銘柄から順番にダイブすることになりそうだ。株価が企業業績の改善を織り込みすぎているのであり、そのギャップが大量売りへとつながりそうなのだ。
それは経済指標を見ていれば分かる。本日発表の2月の鉱工業生産指数は前月比0.1%の低下の89.0。市場予想では前月比2.6%上昇が予想されていたものの、結局は期待外れに終わった。
また、消費者物価指数(コアCPI)も前年比0.3%の低下。薄型テレビやエアコンなどの家電製品が下がり、4カ月連続のマイナスとなった。円安・原油高の影響を完全に相殺しており、「アベノミクスはどこ吹く風?」となっているのだ。
そもそも円安・原油高で物価が上昇したとしても、それに何の意味があるのか。本来ならば需要主導型の物価上昇が望ましいのだが、輸入物価上昇によるインフレでは本末転倒である。すでに国際競争で敗れている日本の製造業が仮に円安で回復しても、その間に生活必需品の価格がバンバン上昇しては意味がないのだ。次第に庶民の生活が苦しくなり、「アベノミクスのマヤカシがそろそろ正体を現してきた」といった感じだ。
そして収束すると見られていた欧州債務問題も、今度はスロベニアに飛び火しそうである。2年物の国債利回りが6%台に急上昇しており、危険水域の7%に急接近しているからだ。市場では「キプロスの次はスロベニア」と言われており、我々はまた欧州の小国の知識が増えることになる。
もちろんこのような危機は、ユーロ結束のための処方箋みたいなもの。魔女狩りのごとく新たな危機を煽ることで、ユーロ諸国の絆は強まっていくのだ。将来的なユーロ合衆国への布石であり、投資家は決して「ユーロが消滅する」なんて思わない方が良い。これは完全に出来レースであるからだ。
それでも危機が勃発すれば、市場はそれなりに反応する。キプロスの続きがあるとなれば、「その次はどこ?」という話になってくるからだ。いずれこの話は欧州の大国スペインやイタリアに伝播することになり、ここで再び大きな再編が行われる。最終的には政治的な統合が必要となり、「通貨だけではなく、財政も統合しなければならない」という議論に行きつくのだ。筋書きのあるドラマ「水戸黄門」を観ているようなものである。後半に由美かおるが出てきて、エンディングで必ず印籠が出てくるのだ。
そして投資家はもう一つのリスクにも気を配らなければならない。それは北朝鮮のデブの動向だ。若さゆえに発言も過激であり、本日はロケット部隊に発射準備命令を出していた。これまでの金正日総書記とはちょっと違う雰囲気が漂っており、米国の自作自演テロを含めた“開戦”には注意が必要だ。北朝鮮のミサイル一発で、株式市場の景色がガラリと変わる。そういった危機意識を持つことが、極めて重要となっている。(本日の夕刊で黒岩の眼の無料公開は終了です)
日経平均の日足チャートでは、下影陰線が出現。押し目買い意欲の強さを示唆しており、安値圏では根強い買いが入っていた。12280円付近にちょっとしたテクニカルの壁(需給の壁)が存在している可能性があり、これがストッパー役として機能しているようだ。
ただ、すでに上方にはファンダメンタルズの壁(割高の壁)が存在しており、株価の方向性は明らかに下向き。軸は下方向に傾いており、株価はいずれ下方の窓に吸い寄せられるだろう。外部環境に劇的な変化がない限り、この動きが止まることはなく、株価は下方の2つの窓(11933.82円―11946.01円、11779.42円―11803.09円)を連鎖的に埋めることになりそうだ。
株価の上値は急速に重くなっている。その要因は外国人投資家の投資姿勢の変化だ。先週の対内株式投資、投資主体別売買動向では、海外投資家がそれぞれ19週ぶりに日本株を売り越し。これまでとは様相が一変している。それに対して個人投資家は買い越しに転じ、また信用買い残を積み上げている。典型的なワナに嵌まった格好であり、結果的に外国人が売り逃げ、個人投資家が高値づかみをするパターンであると言えよう。今は急落する銘柄がREITなどに限定されているが、割高になりすぎた銘柄から順番にダイブすることになりそうだ。株価が企業業績の改善を織り込みすぎているのであり、そのギャップが大量売りへとつながりそうなのだ。
それは経済指標を見ていれば分かる。本日発表の2月の鉱工業生産指数は前月比0.1%の低下の89.0。市場予想では前月比2.6%上昇が予想されていたものの、結局は期待外れに終わった。
また、消費者物価指数(コアCPI)も前年比0.3%の低下。薄型テレビやエアコンなどの家電製品が下がり、4カ月連続のマイナスとなった。円安・原油高の影響を完全に相殺しており、「アベノミクスはどこ吹く風?」となっているのだ。
そもそも円安・原油高で物価が上昇したとしても、それに何の意味があるのか。本来ならば需要主導型の物価上昇が望ましいのだが、輸入物価上昇によるインフレでは本末転倒である。すでに国際競争で敗れている日本の製造業が仮に円安で回復しても、その間に生活必需品の価格がバンバン上昇しては意味がないのだ。次第に庶民の生活が苦しくなり、「アベノミクスのマヤカシがそろそろ正体を現してきた」といった感じだ。
そして収束すると見られていた欧州債務問題も、今度はスロベニアに飛び火しそうである。2年物の国債利回りが6%台に急上昇しており、危険水域の7%に急接近しているからだ。市場では「キプロスの次はスロベニア」と言われており、我々はまた欧州の小国の知識が増えることになる。
もちろんこのような危機は、ユーロ結束のための処方箋みたいなもの。魔女狩りのごとく新たな危機を煽ることで、ユーロ諸国の絆は強まっていくのだ。将来的なユーロ合衆国への布石であり、投資家は決して「ユーロが消滅する」なんて思わない方が良い。これは完全に出来レースであるからだ。
それでも危機が勃発すれば、市場はそれなりに反応する。キプロスの続きがあるとなれば、「その次はどこ?」という話になってくるからだ。いずれこの話は欧州の大国スペインやイタリアに伝播することになり、ここで再び大きな再編が行われる。最終的には政治的な統合が必要となり、「通貨だけではなく、財政も統合しなければならない」という議論に行きつくのだ。筋書きのあるドラマ「水戸黄門」を観ているようなものである。後半に由美かおるが出てきて、エンディングで必ず印籠が出てくるのだ。
そして投資家はもう一つのリスクにも気を配らなければならない。それは北朝鮮のデブの動向だ。若さゆえに発言も過激であり、本日はロケット部隊に発射準備命令を出していた。これまでの金正日総書記とはちょっと違う雰囲気が漂っており、米国の自作自演テロを含めた“開戦”には注意が必要だ。北朝鮮のミサイル一発で、株式市場の景色がガラリと変わる。そういった危機意識を持つことが、極めて重要となっている。(本日の夕刊で黒岩の眼の無料公開は終了です)