「着実に上値を切り上げる、軸は上向き」
本日の日経平均は3.54円高の9014.25円で取引を終了した。朝方は米株高、円安を受けて買い先行となったが、買い一巡後は上値の重い展開。円安という材料だけで買い上がるのには難しく、徐々に売り圧力が強まった。
ただ、9000円を割り込む場面では、押し目買いが優勢。相変わらず月末の日銀金融緩和への期待は根強く、一方的に下落幅が拡大することはなかった。
日経平均の日足チャートでは、下影陰線が出現。上値の重さを示唆しているものの、下値もそれなりに堅い。ローソク足の下ひげがそれを示唆しており、軸は相変わらず上向きなのだろう。
だが、寄り付きで空けた窓の下限(9031.54円)を明確に下回ったのは、軸上向きにとってマイナス材料だ。この点からも軸の傾きは緩やかであることが分かる。従って、強烈な踏み上げ相場には至らないだろう。着実に上値を切り上げるジリ高相場が予想され、買い方はヤキモキするだろう。売り方は真綿で首を絞められるような相場となり、確実にポジションは縮小していかなければならない。シャープ(6753)のような特定の銘柄を除き、需給好転を条件に手仕舞うべきである。
そして今晩は米国でアップルの新製品(恐らくiPadmini)の発表がある。アップル株の動向に注目であり、場合によっては「材料出尽くし」になるかもしれない。再びアップル株が下落歩調を強めれば、「ナスダップル」と揶揄されるナスダック総合指数は軟調推移となる。NYダウにも悪影響を及ぼす形となり、全体相場に売り圧力が強まるだろう。
そして、米国では本日からFOMCが開催される。2日間の日程であることから、明日にも結果が発表されることになる。
前回のFOMCでは「無期限の量的緩和」が発表され、今はその成果を見極める段階にある。金融政策は「現状維持」とみられ、今回は無風のFOMCとなるだろう。日本株には何のインパクトも与えないと思われる。
それより気になるのは、やはり欧州の動向だ。マーケットでは「すでにスペイン危機は去った」というような雰囲気になっており、ユーロが買い戻されている(1ユーロ=104円台)。しかし、そんなに安心して良いのだろうか。
基本的に欧州問題は何も解決していない。難産ののち生まれたESM(欧州安定化メカニズム)だって、ぶっちゃけて言えば「カラ箱」である。これから日本などが債券を購入し、実際に資金を流し込んでいくのだ。そんな「カラの乳母車」で安心しているのだから、チャンチャラおかしい話である。「ESMによるスペイン銀行に対する資本注入は2014年まで実施されない」というECB総裁のコメントも飛び出しており、まだまだ紆余曲折がありそうなのだ。また、ドイツの民間の財団は、「ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアが財政破綻し、ユーロ圏から離脱した場合には、日本など主要国が1700兆円を上回る損失が発生する」と発表している。実際には寸前のところでECBが救済することになるのだろうが、そういった危機意識がマーケットには欠如しているのだ。ユーロは一方的に買い戻され、弛緩した雰囲気が漂っているのである。そのユーロ安を背景に日本株が上昇しているのだから、危なかっしいったらありゃしない。
だから、投資家はこの脳天気上昇相場を咎めるポジションを構築しなければならない。麻雀で言えば、愚形の嵌張リーチに、三面張で追っかけリーチをかけるようなものである。もちろん相手の当たり牌を絞ってから追撃するのが条件となる。軸が下向きに転換した瞬間、売りポジションを一気に積み上げ、大暴落相場を狙うのである。日経平均が9000円台を回復したということは、それだけ位置エネルギーが大きくなったということ。売り妙味が格段に増しているのだ。
「だが、銘柄選択が難しい」という貴兄には、オプションという選択肢もあるだろう。始めは同じ権利行使価格のコールとプットを同枚数だけ買い建てた「ストラドルの買い」でスタート。その後、株価が上昇するたびにアットザマネーのプットを買い増すのである。これだとリスク限定で「大儲け」できるチャンスが生まれ、大暴落すると一攫千金となる。
本来、投資はリスクとリターンが背中合わせだが、これをうまくやるとリターンが格段にアップする。時間と価格をうまく組み合わせた戦略だが、相場観のない投資家には最適である。相場観ほどアテにならないものはない。相場に自信がある投資家ほど深みに嵌りやすいのだ。分相応の投資戦略が必要ということであり、決して背伸びをしてはいけない。背伸びをしないで「一発」を狙う方法もあるということを知っておいてほしい。(黒岩の眼、夕刊より)
ただ、9000円を割り込む場面では、押し目買いが優勢。相変わらず月末の日銀金融緩和への期待は根強く、一方的に下落幅が拡大することはなかった。
日経平均の日足チャートでは、下影陰線が出現。上値の重さを示唆しているものの、下値もそれなりに堅い。ローソク足の下ひげがそれを示唆しており、軸は相変わらず上向きなのだろう。
だが、寄り付きで空けた窓の下限(9031.54円)を明確に下回ったのは、軸上向きにとってマイナス材料だ。この点からも軸の傾きは緩やかであることが分かる。従って、強烈な踏み上げ相場には至らないだろう。着実に上値を切り上げるジリ高相場が予想され、買い方はヤキモキするだろう。売り方は真綿で首を絞められるような相場となり、確実にポジションは縮小していかなければならない。シャープ(6753)のような特定の銘柄を除き、需給好転を条件に手仕舞うべきである。
そして今晩は米国でアップルの新製品(恐らくiPadmini)の発表がある。アップル株の動向に注目であり、場合によっては「材料出尽くし」になるかもしれない。再びアップル株が下落歩調を強めれば、「ナスダップル」と揶揄されるナスダック総合指数は軟調推移となる。NYダウにも悪影響を及ぼす形となり、全体相場に売り圧力が強まるだろう。
そして、米国では本日からFOMCが開催される。2日間の日程であることから、明日にも結果が発表されることになる。
前回のFOMCでは「無期限の量的緩和」が発表され、今はその成果を見極める段階にある。金融政策は「現状維持」とみられ、今回は無風のFOMCとなるだろう。日本株には何のインパクトも与えないと思われる。
それより気になるのは、やはり欧州の動向だ。マーケットでは「すでにスペイン危機は去った」というような雰囲気になっており、ユーロが買い戻されている(1ユーロ=104円台)。しかし、そんなに安心して良いのだろうか。
基本的に欧州問題は何も解決していない。難産ののち生まれたESM(欧州安定化メカニズム)だって、ぶっちゃけて言えば「カラ箱」である。これから日本などが債券を購入し、実際に資金を流し込んでいくのだ。そんな「カラの乳母車」で安心しているのだから、チャンチャラおかしい話である。「ESMによるスペイン銀行に対する資本注入は2014年まで実施されない」というECB総裁のコメントも飛び出しており、まだまだ紆余曲折がありそうなのだ。また、ドイツの民間の財団は、「ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアが財政破綻し、ユーロ圏から離脱した場合には、日本など主要国が1700兆円を上回る損失が発生する」と発表している。実際には寸前のところでECBが救済することになるのだろうが、そういった危機意識がマーケットには欠如しているのだ。ユーロは一方的に買い戻され、弛緩した雰囲気が漂っているのである。そのユーロ安を背景に日本株が上昇しているのだから、危なかっしいったらありゃしない。
だから、投資家はこの脳天気上昇相場を咎めるポジションを構築しなければならない。麻雀で言えば、愚形の嵌張リーチに、三面張で追っかけリーチをかけるようなものである。もちろん相手の当たり牌を絞ってから追撃するのが条件となる。軸が下向きに転換した瞬間、売りポジションを一気に積み上げ、大暴落相場を狙うのである。日経平均が9000円台を回復したということは、それだけ位置エネルギーが大きくなったということ。売り妙味が格段に増しているのだ。
「だが、銘柄選択が難しい」という貴兄には、オプションという選択肢もあるだろう。始めは同じ権利行使価格のコールとプットを同枚数だけ買い建てた「ストラドルの買い」でスタート。その後、株価が上昇するたびにアットザマネーのプットを買い増すのである。これだとリスク限定で「大儲け」できるチャンスが生まれ、大暴落すると一攫千金となる。
本来、投資はリスクとリターンが背中合わせだが、これをうまくやるとリターンが格段にアップする。時間と価格をうまく組み合わせた戦略だが、相場観のない投資家には最適である。相場観ほどアテにならないものはない。相場に自信がある投資家ほど深みに嵌りやすいのだ。分相応の投資戦略が必要ということであり、決して背伸びをしてはいけない。背伸びをしないで「一発」を狙う方法もあるということを知っておいてほしい。(黒岩の眼、夕刊より)