「楽観すぎるQE3期待、閻魔様の怒りに触れる」

著者:黒岩泰
投稿:2012/09/03 08:52

「楽観すぎるQE3期待、閻魔様の怒りに触れる」

 先週末の米国株式相場は反発。ダウ工業株30種平均は90.13ドル高の13090.84、ナスダック総合指数は18.25ポイント高の3066.96となった。注目のバーナンキ講演は、市場は「QE3(量的緩和第3弾)の可能性を含む内容」と判断。主要株価は上昇し、ドルは対円でやや下落した。また、シカゴ日経平均先物(円建て)は8890円。大証終値と比べて70円高の水準で取引を終了している。したがって本日の東京株式相場は買い先行の展開を想定。いったん上値を試すものと思われる。

 週末のバーナンキ講演は、ほぼ想定通りの内容であった。次回FOMCでの追加金融緩和を含む内容であり、それ自体にサプライズはなかった。

 しかし、マーケットがバーナンキ発言を“前向き”に評価し、QE3実施への期待を高めていった。「9/7の米雇用統計で雇用の改善がなければ、米FRBは追加の金融緩和を実施する」と、勝手に思い込んでいるのだ。ここまで楽観すぎると、さすがに閻魔様の怒りに触れるだろう。

 要するに「窓・壁・軸理論」では軸が大きく傾くのが、ちょっと延期された格好だ。だから、一時的に上方の窓(8933.99円―8960.24円)を埋めることはあり得る。しかし、軸は依然として下向きであり、いずれは下方の3つの窓を埋めてしまうだろう。
 そしてマーケットでは重要イベントが目白押しとなっている。ひとつは9/6のECB理事会であり、ここで南欧諸国の国債買い取りが決定するのかどうかが決まる。そして、9/7には米雇用統計。これをみて、FRBが追加の金融緩和に踏み込むかどうかが決まるとされている。さらに、9/12のドイツ憲法裁判所での判断。まさか「ESMが違憲」とはならないだろうが、これがリスク要因として意識されている。軸が大きく下向きに傾くイベント満載であり、下方の3つの窓はかなり埋めやすい。本日はいったんリバウンドするが、いずれ下方向に振らされると考えなければならない。急激な株価変動には注意が必要というわけだ。

 なお、統一教会の創始者である文鮮明氏が亡くなった。朝鮮半島経由のジャパンハンドラー(日本操り班)の重要人物がなくなったことで、米国から指揮・命令系統に変化が生じる可能性がある。今後の展開を注視したい。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想