ドル円は141円台に再び下落 下げ渋るも依然上値は重い=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/09/13 05:50
ドル円は141円台に再び下落 下げ渋るも依然上値は重い=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル売りが勇勢となり、ドル円は141円台に再び下落した。途中で142円台半ばまで戻す場面が見られたものの、終盤に失速した。下げ渋ってはいるものの依然として上値は重いようだ。本日は8月の米生産者物価指数(PPI)が発表になっていたが、反応は限定的だった。

 前日の米消費者物価指数(CPI)と本日のPPIを経て、来週のFOMCでは0.25%ポイントの通常利下げに留まるとの見方で市場のコンセンサスは固まったようだ。FRBの今後の利下げペースに関しても緩やかなものになるのではとの見方も出ている。ただ、ペースについては今後の米経済指標を待つ必要がありそうだ。

 前日は米株式市場が急落から切り返したことで、市場のムードが上がり、ドル円も買戻しが活発化した。本日の東京市場でドル円は143円付近まで買い戻されていたが、やはり上値では戻り待ちの売りが多そうだ。

 FRBのスタンス変更をきっかけにドル円は7月中旬以降下向きの流れが形成されているが、そのトレンドに変化はなさそうだ。前日は8月初旬の混乱時に付けた141.70円を下回り、140円台まで一気に下落していたが、その流れは継続していそうだ。目先は141.70円を再び試しに行くか注目される。

 ユーロドルはNY時間に入って買い戻しが優勢になり、1.10ドル台後半まで買い戻された。前日まで戻り売りが続いていたユーロドルだが、心理的節目の1.10ドルは維持している状況。本日はECB理事会が開催され、予想通りに0.25%ポイントの利下げを実施し、今後の金利についても特定の道筋にコミットすることなかった。こちらも予想通り。今回はECBスタッフ見通しも公表され、成長見通しを下方修正していた。ラガルド総裁もユーロ圏経済の下振れリスクを指摘し、特にドイツ経済の減速に言及していた。

 ただ、市場からは今回のECB理事会は決してハト派な印象はないとの指摘も出ている。インフレ見通しは据え置かれており、ECBは依然としてインフレ圧力は高いと見ているという。「政策金利は必要な限り十分に景気抑制的な状態に維持される」という言い回しも、特段ハト派な見通しは示していないとしている。ハト派姿勢を期待していた投資家には今回の理事会は期待外れだった可能性があるとも付け加えた。

 ポンドドルはユーロドルと伴に買い戻しが出て、1.31ドル台に戻した。ポンドドルは今月に入って戻り売りが続いており21日線を下抜けていたが、節目の1.30ドルは維持され、本日はその水準を回復していた。春以降の上昇トレンドは継続している。

 英成長が鈍化する中で、英中銀は年末に向けて利下げサイクルを加速させる可能性があり、それに伴ってポンドも下落の可能性があるとの見方が出ている。年前半に予想外の力強い成長を見せた英経済は、下半期に勢いを失いつつあるという。前日の7月の月次GDPが2カ月連続で横ばいになった点を理由に挙げている。

 来週の英中銀の金融政策委員会(MPC)は据え置きを見込んでいるが、11月と12月に連続利下げを実施する可能性が高まっており、それが春以降のポンド上昇トレンドの反転の引き金になる可能性があるという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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