明日の株式相場に向けて=グロース市場に大還流するマネーを追う
週明け26日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比254円安の3万8110円と3日ぶり反落。ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演は予想されたとはいえかなりハト派寄りで、米国株のリスクオンを引き継ぎたいところだったが、足もとの円高に阻まれる形となった。今の売買代金では3万8000円台の潜在的な売り圧力をこなすには時間がかかる。ただ一方で、鳴き止んでいた炭鉱のカナリアの方が目を覚ました。
繰り返しになるが「株は需給がすべての材料に優先する」という。今のグロース市場の戻り足はその黄金セオリーを如実に体現している。プライム市場の大型株が活況となるのを横目に、グロース市場は長い期間にわたり低迷を強いられてきた。旧マザーズ指数を引き継いだグロース250指数は、コロナ禍の反動で急上昇に転じた2020年の10月に1365の高値を形成したが、21年以降は鳴かず飛ばず、とりわけ22年は出足から大きく崩れ、年央にはそれまでの上昇分を全部吐き出す形で売り叩かれた。その後は1年以上も安値圏もみ合いが続いたのだが、信用買いの総投げ状態に陥るようなことは一度もなかった。
外資系証券経由の貸株市場で調達した空売りが下げを助長し、追い証が発生するかどうかというタイミングで売り方の買い戻しによって持ち直す、という繰り返し。表現は悪いが生殺し状態にあった。グロース市場は復活のシナリオが見えないというような辛口コメントも聞かれるようになったが、投資家にすれば今更ロスカットできず、信用買い残を悶々と抱えたままの状態が続いた。ところが、8月初旬の歴史的な暴落によって、そのグロース市場で遂に投げ売りに引火した。市場関係者によれば「コロナ禍以降の相場では初めてのこと。日本株暴落後の8月上旬時点で信用買い残高は7月上旬に比べ約30%も減少する、あまり過去に例がなかった超スピードで整理が進捗した」(ネット証券アナリスト)という。
グロース市場の弾丸リバウンドは、ファンダメンタルズ面から劇的に評価が変わったというわけではない。それどころか、業績面の評価は変わらないに等しい状態で株価のみ劇的に上昇する、これが株の難しいところだ。株式市場は「経済を映す鏡」というようなアカデミックな形容をされることが多いが、実際に投資家の立ち位置で相場と至近距離で対峙すれば、もっとドロドロとした人間心理が錯綜するジャングルのイメージが強い。プライム市場の箱庭的な存在ながらグロース市場はまさにそれに該当し、戻り売りニーズの大半が解消されたジャングルに目ざとく投資マネーが還流してきたのは、今の環境では道理にかなう。そして、グロース市場の戻り相場の現在地はまだ6合目あたりで、時間軸的にも今はまだ“確変状態”にあるといってよさそうだ。空売りを仕掛けたファンド筋は、信用買い残の急減で貸株調達がままならず、撤退・買い戻しを余儀なくされる事態に陥っている。
グロース市場の復権とイコールではないものの、そのひとつの象徴となるのがバイオ関連株の人気再燃だ。前週22日に取り上げたキャンバス<4575.T>は23日と週を跨いだきょう26日の取引で連続ストップ高に買われた。きょうは材料も出たことから、大口の買い注文がなだれ込み値幅制限上限にカイ気配で張り付く人気となった。同じく22日に紹介した免疫生物研究所<4570.T>とDNAチップ研究所<2397.T>(※こちらはスタンダード上場)は、両銘柄ともキャンバスと比べ相対的におとなしい値動きとはいえ上値指向は強い。基本的に短期割り切りスタンスが前提だが、佳境入りはこれからといえる。グロース市場に上場するバイオセクターの他の銘柄ではティムス<4891.T>、坪田ラボ<4890.T>、トランスジェニック<2342.T>、ラクオリア創薬<4579.T>などに目を配っておきたい。
このほか、バイオ関連以外でAIやネット周辺にも爆発力を内在させた銘柄は多い。直近派手な値動きを見せているものではビリングシステム<3623.T>、シェアリングテクノロジー<3989.T>などがある。このほか、ファーストアカウンティング<5588.T>やコムチュア<3844.T>の仕切り直し相場にも期待がかかる。
あすのスケジュールでは、7月の企業向けサービス価格指数、基調的なインフレ率を捕捉するための指標などが発表される。海外では1~7月の中国工業企業利益が発表され、ハンガリー中銀による政策金利も発表される。また、米国では6月のFHFA全米住宅価格指数、6月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、8月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード調査)などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
繰り返しになるが「株は需給がすべての材料に優先する」という。今のグロース市場の戻り足はその黄金セオリーを如実に体現している。プライム市場の大型株が活況となるのを横目に、グロース市場は長い期間にわたり低迷を強いられてきた。旧マザーズ指数を引き継いだグロース250指数は、コロナ禍の反動で急上昇に転じた2020年の10月に1365の高値を形成したが、21年以降は鳴かず飛ばず、とりわけ22年は出足から大きく崩れ、年央にはそれまでの上昇分を全部吐き出す形で売り叩かれた。その後は1年以上も安値圏もみ合いが続いたのだが、信用買いの総投げ状態に陥るようなことは一度もなかった。
外資系証券経由の貸株市場で調達した空売りが下げを助長し、追い証が発生するかどうかというタイミングで売り方の買い戻しによって持ち直す、という繰り返し。表現は悪いが生殺し状態にあった。グロース市場は復活のシナリオが見えないというような辛口コメントも聞かれるようになったが、投資家にすれば今更ロスカットできず、信用買い残を悶々と抱えたままの状態が続いた。ところが、8月初旬の歴史的な暴落によって、そのグロース市場で遂に投げ売りに引火した。市場関係者によれば「コロナ禍以降の相場では初めてのこと。日本株暴落後の8月上旬時点で信用買い残高は7月上旬に比べ約30%も減少する、あまり過去に例がなかった超スピードで整理が進捗した」(ネット証券アナリスト)という。
グロース市場の弾丸リバウンドは、ファンダメンタルズ面から劇的に評価が変わったというわけではない。それどころか、業績面の評価は変わらないに等しい状態で株価のみ劇的に上昇する、これが株の難しいところだ。株式市場は「経済を映す鏡」というようなアカデミックな形容をされることが多いが、実際に投資家の立ち位置で相場と至近距離で対峙すれば、もっとドロドロとした人間心理が錯綜するジャングルのイメージが強い。プライム市場の箱庭的な存在ながらグロース市場はまさにそれに該当し、戻り売りニーズの大半が解消されたジャングルに目ざとく投資マネーが還流してきたのは、今の環境では道理にかなう。そして、グロース市場の戻り相場の現在地はまだ6合目あたりで、時間軸的にも今はまだ“確変状態”にあるといってよさそうだ。空売りを仕掛けたファンド筋は、信用買い残の急減で貸株調達がままならず、撤退・買い戻しを余儀なくされる事態に陥っている。
グロース市場の復権とイコールではないものの、そのひとつの象徴となるのがバイオ関連株の人気再燃だ。前週22日に取り上げたキャンバス<4575.T>は23日と週を跨いだきょう26日の取引で連続ストップ高に買われた。きょうは材料も出たことから、大口の買い注文がなだれ込み値幅制限上限にカイ気配で張り付く人気となった。同じく22日に紹介した免疫生物研究所<4570.T>とDNAチップ研究所<2397.T>(※こちらはスタンダード上場)は、両銘柄ともキャンバスと比べ相対的におとなしい値動きとはいえ上値指向は強い。基本的に短期割り切りスタンスが前提だが、佳境入りはこれからといえる。グロース市場に上場するバイオセクターの他の銘柄ではティムス<4891.T>、坪田ラボ<4890.T>、トランスジェニック<2342.T>、ラクオリア創薬<4579.T>などに目を配っておきたい。
このほか、バイオ関連以外でAIやネット周辺にも爆発力を内在させた銘柄は多い。直近派手な値動きを見せているものではビリングシステム<3623.T>、シェアリングテクノロジー<3989.T>などがある。このほか、ファーストアカウンティング<5588.T>やコムチュア<3844.T>の仕切り直し相場にも期待がかかる。
あすのスケジュールでは、7月の企業向けサービス価格指数、基調的なインフレ率を捕捉するための指標などが発表される。海外では1~7月の中国工業企業利益が発表され、ハンガリー中銀による政策金利も発表される。また、米国では6月のFHFA全米住宅価格指数、6月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、8月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード調査)などにマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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