タキロンCI Research Memo(5):攻めへの転換に向け、単年度経営計画で一定の成果

配信元:フィスコ
投稿:2024/07/18 15:05
*15:05JST タキロンCI Research Memo(5):攻めへの転換に向け、単年度経営計画で一定の成果 ■中期経営計画

1. 前中期経営計画「CX2023」と単年度経営計画
タキロンシーアイ<4215>は2021年3月に前中期経営計画である「CX2023」を策定し、全グループの一体感を醸成しつつ企業価値向上を目指す「変革とチャレンジ」によって、2024年3月期売上高1,570億円、営業利益110億円を目標値とした。しかし、コロナ禍や世界経済情勢、原材料価格高騰、それらによる土木工事の減少や中断といった外部環境変化により収益力が低下し、中期経営計画の進行が遅れることとなった。このため収益改善に向けた事業構造改革が急務となり、最終年度となる2024年3月期初に前中期経営計画「CX2023」を中止し、2024年3月期については単年度経営計画に切り替えることとなった。

計画必達に向けては次のような施策を講じた。
1) 厳しい市場動向を注視しつつ、内製化や輸入拡大などによる戦略的購買を継続して原材料価格を改善する。
2) 原材料価格やユーティリティ価格上昇に伴う製品値上げを継続して販売金額を改善する。
3) 工場の生産効率改善や合理化の推進により原価及び経費を削減する。
4) 業績不振の事業会社を「重要モニタリング会社」と位置付け、経営改善の進捗をマネジメント層が直接管理して赤字企業数、赤字金額を削減する。
5) 今後成長が見込まれる北米市場へ経営資源を集中するためBLAから撤退する。
6) BLXは北米での販売強化や歩留まり改善、製造現場のマネジメント強化などにより収益を改善、BACは現地販売強化、管理人員削減、製造人員最適化、原料コストダウンなどにより早期黒字化と来年度のV字回復につなげるなど、海外グループ2社をターンアラウンドさせる。

しかし、新設住宅着工戸数の低迷や半導体市況の回復の遅れなど期中の国内市況低迷により販売が芳しくなく、また、金融引き締めの継続等による影響で家具市場の冷え込みが長期化した影響を受けたBLX、流通在庫調整の長期化や市場環境の変容により販売不振が継続したBAC、市況低迷と価格競争激化により販売が低迷したBLAの海外グループ3社の収益が悪化したことで、同社は2024年3月期第2四半期の決算発表とともに単年度経営計画を修正した。修正後の計画は、売上高146,000百万円、営業利益6,200百万円、経常利益6,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,000百万円であり、売上高、営業利益、経常利益についてそれぞれ下方修正したが、いずれも2023年3月期実績を上回る数値とした。当期純利益については、前年比2,500百万円増益の当初公表どおりのままとした。そのような状況下、引き続き上記施策を推し進め、最終的には赤字企業の削減(足もと赤字企業は9社から3社に減少)や米国の収益改善(2024年2月〜3月に単月黒字化)など一定の成果につなげることができた。この結果、後述するように2024年3月期業績は売上高137,581百万円(前期比5.6%減)、営業利益6,228百万円(同7.5%増)と、修正後単年度経営計画に対して売上高は未達となったが、営業利益は若干なりとも上回り、新中期経営計画に向けて弾みをつけることができた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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