サイバートラスト Research Memo(3):認証・セキュリティサービス、Linux/OSSサービス等を展開(1)

配信元:フィスコ
投稿:2024/07/11 16:23
*16:23JST サイバートラスト Research Memo(3):認証・セキュリティサービス、Linux/OSSサービス等を展開(1) ■事業概要

1. 事業概要
サイバートラスト<4498>は、2017年10月の企業合併を通じ、DXの時代に必須のトラストサービスとして、認証・セキュリティサービス(旧サイバートラスト)とLinux/OSSサービス(旧ミラクル・リナックス)を主力に、これらの技術を融合した独自のIoTサービスという3つのサービスを展開している。「国内最長の電子認証局運用実績」と「国内唯一のLinux OSディストリビューター」として培った技術力と高品質サービスを強みとしている。

取引形態は、ライセンス(Linux/OSS製品など自社製品のライセンス販売)、プロフェッショナルサービス(製品カスタマイズ・導入支援、セキュリティコンサルティング、受託開発など)、リカーリングサービス(電子証明書サービスや自社製品サポートサービスなど契約が更新されることで継続した収益が見込まれるもの)としている。成長戦略として、全サービスにおけるリカーリングサービス売上の拡大とリカーリングサービス売上比率の上昇を推進し、リカーリングサービスの機能拡充やサービス品質向上などによる付加価値向上、パートナー経由のサービス拡大、カスタマーサービス・更新案件管理の徹底などに取り組んでいる。

過去5期(2020年3月期~2024年3月期)のサービス別・取引形態別売上高の推移は、サービス別売上高で見ると、Linux/OSSサービス及びIoTサービスが2024年3月期にやや伸び悩む形となったが、各サービスともおおむね右肩上がりの拡大トレンドとなっている。売上高構成比で見るとおおむね認証・セキュリティサービスが6割前後、Linux/OSSサービスが2割強、IoTサービスが2割弱での推移となっている。また取引形態別売上高で見ると、安定収益源となるリカーリングサービス売上高が拡大基調である。2024年3月期の全社ベースのリカーリングサービス売上高は4,229百万円で過去最高となった。リカーリングサービス売上比率も2024年3月期には65.4%まで上昇した。安定収益が積み上がるリカーリングサービス型のビジネスモデルであることも特徴としている。なお各サービスにおけるリカーリングサービス売上比率は、認証・セキュリティサービスでは8割前後、Linux/OSSサービスでは6~7割、IoTサービスでは1割弱となっている。同社は高収益のリカーリングサービス売上高の拡大に注力しており、今後はIoTサービスにおいてもリカーリングサービス売上高の拡大を推進する方針だ。

2. 認証・セキュリティサービス
認証・セキュリティサービスは、デジタル社会の身分証である電子証明書※1、及び電子的本人確認・電子署名※2のトラストサービスを提供している。同社は、国内初で国内最長の運用実績を持つ商用電子認証局(申請者の本人確認、電子証明書の発行、発行済証明書の管理などを行う信頼できる第三者機関)として、かつ国際的な監査規格に合格した電子認証局として、20年以上にわたってSSL/TLSサーバー証明書やクライアント証明書などを発行している。

※1 Webサイト運営者の実在性を証明するサーバー証明書、業務利用許可端末を認証して社内ネットワークへのアクセス権を制御するデバイス証明書、従業員・会員などを認証するユーザー証明書などがある。
※2 電子取引の信頼性を担保するiTrustサービスなどがある。


主要サービスとしては、パブリック証明書サービスではSSL/TLSサーバー証明書のSureServer、電子認証局サービスでは端末認証証明書発行管理サービスのサイバートラスト デバイスID、認証局アウトソーシングサービスのサイバートラスト マネージドPKI、トラストサービスでは電子取引の信頼性を担保するiTrust(iTrust本人確認サービス、iTrust電子署名用証明書、iTrustリモート署名サービスなど)、プロフェッショナルサービスでは情報セキュリティコンサルティングサービス、脆弱性診断サービスなどがある。

2023年9月には、同社のiTrustリモート署名サービスと(株)スカイコムのSkyPDF(R)がサービス連携した。iTrustリモート署名サービスによるクラウド上での安全なeシール付与とスカイコムのPDFに関する技術力により、企業や組織が発行する各種電子文書の真正性確保、発行元証明、改ざん防止を実現する。また、同社のiTrust電子署名用証明書とiTrustリモート署名サービスが、Contrea(株)のMediOS(メディオス)電子同意書に採用された。医療分野における安心・安全なDX推進を支援する。

2023年11月には、同社のiTrustリモート署名サービスのタイムスタンプ機能が、米国Claris International Inc.のClaris ConnectとAPI連携した。改正電子帳簿保存法の要件であるデータの真実性の確保への対応を支援する。また、同社のiTrust本人確認サービスがジャスミー(株)のJasmy Personal Data Locker(パーソナルデータロッカー)とサービス連携した。地域通貨やポイントサービスなどのアカウント作成時に、オンラインでの厳格な本人確認を実現する。さらに同社のiTrust本人確認サービスが、キヤノンマーケティングジャパン(株)の金融機関向け個人認証カードリーダーID-MY(2024年4月に発売開始)に採用されたと発表した。

2024年2月には、同社のiTrust電子署名用証明書とiTrustリモート署名サービスが、(一財)日本品質保証機構が発行する校正証明書のデジタル化に採用された。2024年3月には日本電気<6701>(以下、NEC)との協業強化を発表した。これまでのIoT分野での協業に加え、ビジネスプロセスでのDXにおいて求められるデジタルトラスト領域での協業を強化する。第1弾として同社のiTrust eシール用証明書が、NECのeDocサービス及びeDocCenterに採用されeシール付与機能を実装した。eシールに係る認証局の登録基準を満たした(一財)日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)のJIPDECトラステッド・サービス登録(認証局)を取得したeシール用証明書を用いたサービスとして、国内で初めての事例となる。

2024年4月には同社のサイバートラストデバイスIDが、キヤノンITソリューションズのクラウド型統合ID管理サービスであるID Entranceと連携した。この連携により、端末固有情報に紐づけてクライアント証明書の発行が可能となり、管理者が許可した端末だけにインストールできるため、厳格な端末のアクセス制御と多要素認証を可能にする。

2024年5月には、シンプレクス(株)がDMM.com証券のDMM FX向けに開発した本人確認システムに、同社のiTrust本人確認サービスが活用された。マイナンバーカードを活用したオンライン完結の厳格な本人確認を実現する。また同社のiTrust本人確認サービスが、(株)ポケットチェンジのオリジナル電子マネー発行プラットフォームPokepay(ポケペイ)とサービス連携した。地方公共団体における電子地域通貨や電子マネーにおいて、オンライン完結可能な公的個人認証を用いた本人確認を支援する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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