*15:41JST フェローテク Research Memo(1):2024年3月期は半導体業界の踊り場で営業減益も、積極的な設備投資継続
■要約
フェローテックホールディングス<6890>の主力事業は、真空シール・金属加工、石英製品、セラミックス、CVD-SiC(化学蒸着法炭化ケイ素)、磁性流体、サーモモジュール、パワー半導体基板など様々な製品、装置、部品、素材等を製造・販売することだが、半導体製造装置メーカーやデバイスメーカー向けに各種部品等の洗浄や受託加工・組立サービスなどの事業も行っている。
1. 2024年3月期業績(実績)
2024年3月期の業績は、売上高が前期比5.5%増の222,430百万円、営業利益が同29.0%減の24,872百万円、経常利益が同37.5%減の26,537百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同49.0%減の15,154百万円となった。世界的に半導体市況が一服となる状況で、主要顧客である半導体製造装置メーカーやデバイスメーカーからの需要が減少し、売上高は微増に止まった。セグメント別の売上高は、半導体等装置関連が同1.6%減、電子デバイスが同27.5%増、その他が同3.3%減となった。営業外収益で為替差益が1,383百万円(前期は差益5,495百万円)と減少したこと、営業外費用で持分法による投資損失が3,742百万円(前期610百万円の損失)となったことなどから経常利益の減益幅が大きくなった。特別利益では、持分変動利益が増加したが段階取得に係る差益が減少、特別損失では、投資有価証券評価損515百万円の計上などがあった。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益の減益率は経常利益に比べて大きくなった。投資額は78,599百万円(前期実績62,660百万円)と高水準であり、減価償却費は16,398百万円(同12,618百万円)となった。なお2023年6月にユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2028年満期、社債総額250億円、転換価額4,020円)を発行した。
2. 2025年3月期業績(予想)
2025年3月期の業績は、売上高235,000百万円(前期比5.7%増)、営業利益26,000百万円(同4.5%増)、経常利益26,000百万円(同2.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,000百万円(同5.6%増)を見込んでいる。世界的に半導体市場が踊り場を迎えている状況で、先行きも不透明であることから主力の半導体等装置関連は同6.2%増を見込んでいる。一方で、注力しているパワー半導体基板は引き続き増加が見込まれるため電子デバイスは同7.1%増の予想。その他は同1.4%減を見込んでいる。その結果、営業利益はわずかに増益予想となっているが、為替差益やその他の特殊要因を見込んでいないことから、経常利益は減益予想。投資額は63,000百万円と減速予想だが、減価償却費は20,000百万円を見込んでいる。
3. 新中期経営計画
同社は、2021年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。その後、世界的な半導体市場の状況を考慮して何度か上方及び下方修正をしたが、最終的に営業利益は、当初策定の250億円に近い形で着地した。現在は、2027年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表済みで、定量的な最終目標は売上高3,800億円、営業利益600億円、同率15.8%、ROE15%を掲げている。またこの間の設備投資総額(累計)は1,400億円を計画している。引き続き成長ドライバーとして、半導体マテリアル(石英製品、セラミックス、シリコンパーツ等)、半導体サービス(部品洗浄、石英坩堝、再生ウエーハ等)、半導体金属・装置(金属加工、蒸着装置等)、電子デバイス(サーモモジュール、パワー半導体基板等)を挙げており、この方針は前回計画と変わっていない。同社では「2024年3月期と2025年3月期は、世界の半導体市場と当社にとって転換期になる見込みで、本格的な回復・成長は2026年3月期以降になるだろう」と述べている。
■Key Points
・石英製品、セラミックス等の無機系製品の大手メーカー。半導体業界向けが多い
・半導体業界の一服で2024年3月期は営業減益、2025年3月期は回復見込むが小幅
・新中期経営計画を発表済みだが、再度成長路線入りは2026年3月期以降の見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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フェローテックホールディングス<6890>の主力事業は、真空シール・金属加工、石英製品、セラミックス、CVD-SiC(化学蒸着法炭化ケイ素)、磁性流体、サーモモジュール、パワー半導体基板など様々な製品、装置、部品、素材等を製造・販売することだが、半導体製造装置メーカーやデバイスメーカー向けに各種部品等の洗浄や受託加工・組立サービスなどの事業も行っている。
1. 2024年3月期業績(実績)
2024年3月期の業績は、売上高が前期比5.5%増の222,430百万円、営業利益が同29.0%減の24,872百万円、経常利益が同37.5%減の26,537百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同49.0%減の15,154百万円となった。世界的に半導体市況が一服となる状況で、主要顧客である半導体製造装置メーカーやデバイスメーカーからの需要が減少し、売上高は微増に止まった。セグメント別の売上高は、半導体等装置関連が同1.6%減、電子デバイスが同27.5%増、その他が同3.3%減となった。営業外収益で為替差益が1,383百万円(前期は差益5,495百万円)と減少したこと、営業外費用で持分法による投資損失が3,742百万円(前期610百万円の損失)となったことなどから経常利益の減益幅が大きくなった。特別利益では、持分変動利益が増加したが段階取得に係る差益が減少、特別損失では、投資有価証券評価損515百万円の計上などがあった。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益の減益率は経常利益に比べて大きくなった。投資額は78,599百万円(前期実績62,660百万円)と高水準であり、減価償却費は16,398百万円(同12,618百万円)となった。なお2023年6月にユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(2028年満期、社債総額250億円、転換価額4,020円)を発行した。
2. 2025年3月期業績(予想)
2025年3月期の業績は、売上高235,000百万円(前期比5.7%増)、営業利益26,000百万円(同4.5%増)、経常利益26,000百万円(同2.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は16,000百万円(同5.6%増)を見込んでいる。世界的に半導体市場が踊り場を迎えている状況で、先行きも不透明であることから主力の半導体等装置関連は同6.2%増を見込んでいる。一方で、注力しているパワー半導体基板は引き続き増加が見込まれるため電子デバイスは同7.1%増の予想。その他は同1.4%減を見込んでいる。その結果、営業利益はわずかに増益予想となっているが、為替差益やその他の特殊要因を見込んでいないことから、経常利益は減益予想。投資額は63,000百万円と減速予想だが、減価償却費は20,000百万円を見込んでいる。
3. 新中期経営計画
同社は、2021年5月に2024年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表した。その後、世界的な半導体市場の状況を考慮して何度か上方及び下方修正をしたが、最終的に営業利益は、当初策定の250億円に近い形で着地した。現在は、2027年3月期を最終年度とする新中期経営計画を発表済みで、定量的な最終目標は売上高3,800億円、営業利益600億円、同率15.8%、ROE15%を掲げている。またこの間の設備投資総額(累計)は1,400億円を計画している。引き続き成長ドライバーとして、半導体マテリアル(石英製品、セラミックス、シリコンパーツ等)、半導体サービス(部品洗浄、石英坩堝、再生ウエーハ等)、半導体金属・装置(金属加工、蒸着装置等)、電子デバイス(サーモモジュール、パワー半導体基板等)を挙げており、この方針は前回計画と変わっていない。同社では「2024年3月期と2025年3月期は、世界の半導体市場と当社にとって転換期になる見込みで、本格的な回復・成長は2026年3月期以降になるだろう」と述べている。
■Key Points
・石英製品、セラミックス等の無機系製品の大手メーカー。半導体業界向けが多い
・半導体業界の一服で2024年3月期は営業減益、2025年3月期は回復見込むが小幅
・新中期経営計画を発表済みだが、再度成長路線入りは2026年3月期以降の見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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