【QAあり】タナベコンサルティンググループ、今期は過去最高の売上高・営業利益を見込む 各業界・職種の実務経験者の採用に意欲

投稿:2024/06/19 15:00

INDEX

若松孝彦氏(以下、若松):みなさま、こんにちは。タナベコンサルティンググループ代表取締役社長の若松です。本日はお忙しい中、弊社の決算説明会をご視聴いただきありがとうございます。

本日のアジェンダとして、事業概要・強み、2024年3月期の決算概要、2025年3月期の決算見通し、成長戦略、株主還元についてお話しします。

創業の原点・経営理念

まず、事業概要・強みについてご説明します。弊社は1957年に創業し、今年で67年目を迎えます。創業者である田辺昇一は自分の勤めていた会社が倒産した経験から、この国にも企業を救う仕事が必要だと考えました。

そこで日本で初めて企業を救う医者である経営コンサルタントを「ビジネスドクター」と命名し、スライド右に示した「企業を愛し、企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する」という経営理念を掲げて創業したことが弊社の始まりです。

創業当時から経営コンサルティングファームであったことが、弊社が「日本の経営コンサルティングのパイオニア」と呼ばれるゆえんでもあります。

パーパス(貢献価値)& バリュー(私たちの価値観)

弊社のパーパス(貢献価値)とバリュー(私たちの価値観)です。経営理念を基底に、「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」というパーパスと、スライド中央のステートメント、スライド下部の「Teamwork is Power」という6つのバリューを掲げており、これらを胸に経営を進めています。

タナベコンサルティンググループ概要

弊社の経営体制です。タナベコンサルティンググループは、経営コンサルティングの多角化戦略を推進しており、純粋持株会社であるタナベコンサルティンググループ、事業会社のタナベコンサルティング、リーディング・ソリューション、グローウィン・パートナーズ、ジェイスリー、カーツメディアワークスの6社体制でグループ経営を推進しています。

なお、TCGには後ほどご説明するストラテジー&ドメイン、デジタル・DX、HR、ファイナンス・M&A、ブランド&PRの5つの経営コンサルティング領域を展開しています。

経営コンサルティングモデル チームコンサルティング3つのメソッド

弊社では経営コンサルティングモデルをチームコンサルティングと呼んでいます。ここではその3つのメソッドについてご説明します。

弊社では戦略課題・業種・地域特性を熟知した専門コンサルタントでチームを組成し、顧客企業の経営層(トップマネジメント)が抱える固有の経営課題の解決を一気通貫で支援するビジネスモデルを構築しています。

経営コンサルティングモデル 【①トップマネジメントアプローチ】

経営コンサルティングモデルの1つ目は、トップマネジメントアプローチです。経営層の固有の経営課題に対し、ストラテジー&ドメインではビジネスモデルの革新やビジョンの構築、デジタル・DXではDXビジョンの構築とDX実装、HRでは人事制度や人的資本、教育も含めて支援しています。

ファイナンス・M&Aでは、コーポレートファイナンス・M&Aの実行まで、ブランド&PRでは、ブランド戦略の構築からマーケティング施策、PR戦略までを一気通貫で支援しています。

弊社はこの5つの経営コンサルティング領域をトップマネジメントの経営課題と定義し、全方位から解決する体制・組織をとっていることが、強みの1つとなっています。

経営コンサルティングモデル【②戦略課題×業種×地域】

経営コンサルティングモデルの2つ目は、「戦略課題×業種×地域」です。戦略課題の大きなテーマとして、ストラテジー&ドメイン、デジタル・DX、HR、ファイナンス・M&A、ブランド&PRがあります。

それぞれにスライドに記載したようなコンサルティングメニューを有しており、それを業種という専門性に掘り下げることで、建設、インフラ、物流、医薬品、教育機関に加え、行政/公共サービスなどの領域にも参入しています。

また、地域についても、北海道から沖縄まで、国内の主要都市10地域に事業所を展開しています。最近では、海外進出によるグローバルも加わり、専門性をさらに深く追求しています。その一方で、ストラテジー&ドメインからブランド&PRまで、戦略課題の幅を広げていくことで、専門性と総合性を同時に追求しています。

経営コンサルティングモデル【②戦略課題×業種×地域】

弊社が展開している地域についてご説明します。北海道から沖縄まで、国内の主要都市10地域に経営コンサルタントが常駐し、オフィス数は14ヶ所に上ります。全国津々浦々でコンサルティングを展開しており、この体制は弊社独自の強みとなっています。

どの地域においても、40年、50年にわたって経営コンサルタントが常駐し、地域に密着したコンサルティングを展開しています。

また、海外拠点のネットワークも有しており、「Global PR Wire」という海外向けプレスリリース配信サービスを提供しています。さらに、「M&A WORLDWIDE」への加盟により、幅広いネットワークを構築しています。

経営コンサルティングモデル 【③一気通貫の支援モデル】

経営コンサルティングモデルの3つ目は、「一気通貫の支援モデル」です。まず、ストラテジー&ドメインからブランド&PRまでの上流工程の戦略策定から、DXを含めた下流工程の実装・実行まで、それぞれの領域での支援を行うことができます。

弊社はさらにクライアントに対して、各領域の専門コンサルタントがチームとなってコンサルティングを提供できる体制をとっています。このような一気通貫の支援モデルにより、高い契約継続率を実現しています。

業界におけるポジショニング

以上を踏まえ、付随する弊社の強みをご紹介します。1つは業界におけるポジショニングです。大企業から中堅企業に加え、中規模企業(売上高3,000億円から30億円規模)までをカバーしています。

先般、経済産業省が中堅企業を新たに定義しましたが、弊社は50年以上前から中堅企業を定義し、経営ノウハウやメソッドを提供してきました。その提供価値は唯一無二だと自負しています。このような領域で、上流工程から下流工程まで一気通貫で支援し、確実にシェアを高めていきます。

スライドでは、縦軸を企業規模、横軸を経営コンサルティングにおける戦略策定から実装・実行までのバリューチェーンとして示しています。グレーの部分は、弊社の分析ではありますが、コンサルティングを提供しているライバル各社のポジショニングを表しています。

大企業に対して上流工程の支援を行う外資系のファームと、地域実装型で小規模企業にサービスを提供する士業を両端に位置付けています。それ以外にも、さまざまな企業のポジションを想定してマップを作成しています。また、現在は地域密着の体制を活かし、行政/公共向けの課題解決にも取り組んでいます。

マーケティングモデルの全体像

もう1つの強みは、弊社が独自のマーケティングモデルを構築していることです。北海道から沖縄まで、地域密着でコンサルタントが常勤していることにより、リアルなマーケティングを展開しています。

それに加え、顧客創造として経営コンサルティングの領域別専門Webサイトを構築し、デジタルマーケティングを実施しています。有料セミナーや研究会には、年間で1万名以上の方々にご参加いただいており、顧客からのご紹介もございます。さらに、360社を超える金融機関等との提携や、プレスリリース、Web広告なども積極的に行っています。

顧客育成に関しては、戦略総合研究所という部署の中で、MAツールの活用や、CRMやERP統合データベースとの連携によって顧客に価値を提供しながらナーチャリングを行っています。

高い契約継続率(LTV)を実現

弊社が独自のマーケティングモデルを構築していることは、LTV(Life Time Value)として高い顧客継続率を維持している背景にもなっています。

弊社は顧客企業以上に顧客企業を知る存在でありたいと考えており、それによって現在70パーセント以上の高い契約継続率を実現しています。顧客企業の中には、20年、30年、40年と契約を続けていただいている会社も多数あります。

現在のクライアントとの契約継続率は、5年以上の契約で45パーセント、1年以上の契約で75パーセントという実績です。

長期契約チームコンサルティング事例(業界No.1メーカーA社)

弊社がどのように長期契約を実現しているのかについて、スライドにはチームコンサルティングの事例として、何十年もご契約いただいている業界No.1メーカーA社の例を示しています。

企業の中長期ビジョンについて、第1次、第2次、第3次、第4次と継続してお取り引きする中で、さまざまな課題が出てきます。そこで重要なのは、それらの課題にそれぞれの領域のプロフェッショナルであるコンサルタントが対応していくことです。

例えば、HRやファイナンスのテーマに加えてホールディングス化した後のグループ企業に対するブランディング等は、ブランド&PRメンバーが加わってコンサルティングを行います。

その会社に必要な課題に対し、ビジョンや中期経営計画の中で展開しながら継続しているため、顧客以上に顧客を知るビジネスモデルとして、これからも長期契約のチームコンサルティングモデルを増やしていきたいと考えています。

2024年3月期 決算サマリー

続いて、2024年3月期決算概要についてご説明します。まず、決算サマリーです。売上高は過去最高売上高で増収となり、前期比で9億7,900万円増の127億3,900万円、営業利益は前期比で1億4,200万円の減益で10億900万円となっています。増減要因については後ほどご説明します。

2024年3月期 決算概要(経営コンサルティング領域別)

経営コンサルティングの領域別の決算概要です。スライドには各領域の売上高について前年比と計画比を掲載しています。前期比では、ストラテジー&ドメインからブランド&PRまで全領域において増収を達成しました。

計画比では、ファイナンス・M&Aが都市部では好調だったものの、地域におけるファイナンシャルアドバイザリー契約が想定を下回りました。

また、ブランド&PRでは2023年2月にグループインしたカーツメディアワークス社の業績の上振れに加え、リアルの展示会やイベント、そしてWebやSNSなどのデジタルのコミュニケーションニーズが増加しました。

経営コンサルティング領域別の事業概況

経営コンサルティング領域別の事業概況をご紹介します。スライドの円グラフは売上高構成比を示しており、5つの領域がほぼ均等であることがお分かりいただけると思います。

その中でストラテジー&ドメインは引き続き長期ビジョンや中長期経営計画の策定・推進が好調に推移しました。コロナ禍の収束や円安の影響もあり、新しくスタートしたグローバル戦略の策定・推進に対して、海外から日本市場、日本市場から海外へといったご依頼も増えています。

また、地域活性化戦略としての行政/公共との連携や、ESG・サステナビリティ対応も増加しています。

デジタル・DXでは、DXビジョンの中でもマネジメントDXとしてERP導入のご相談が非常に増加し、適宜実装段階に入っています。デジタルマーケティングやブランディングDXも引き続き好調でした。

経営コンサルティング領域別の事業概況

HRでは、2024年3月期は特に人的資本が非常に注目され、各社の人事制度の抜本的な見直しやM&A後のPMI、人事制度、企業内大学設立等の人材教育などが非常に好調でした。

直近では、特に経営者人材育成などのコーポレートガバナンス・コードに付随するニーズが非常に高まっています。

ファイナンス・M&Aでは、企業価値ビジョンや上場企業のPBRの指標を含めた企業価値向上施策のご相談、コーポレートガバナンス・コードへの対応などを行っています。

ホールディングス化・グループ経営は引き続き好調で、特に中堅企業に対するこの領域ではタナベコンサルティンググループは日本一だと思います。大変多くの中堅企業に対するホールディングス化やグループ経営を支援しています。加えて、成長M&A・事業承継のM&Aなども増えてきています。

ブランド&PRでは、ブランド構築の戦略部分と、「Global PR Wire」などの海外向けメディアを使ったPRを含むグローバル戦略支援と連動したご依頼が増えています。

2024年3月期 決算概要(前期比・計画比)

2024年3月期の決算概要です。売上高は127億3,900万円、営業利益は10億900万円、経常利益は10億1,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は6億4,100万円となりました。前期比や計画比については、スライドに記載のとおりです。

営業利益の増減要因分析(前期比)

営業利益の増減要因分析についてご説明します。まず、前期比の分析です。スライドには売上高から営業利益まで掲載しています。前期比プラス8.3パーセントの増収により、売上総利益は2億6,200万円の増加となりました。

一方で、人材採用等の人的資本投資は6億8,800万円に増加し、加えて、新規事業開発やデジタル等への積極的な先行投資により、営業利益はマイナス12.3パーセントの減益となっています。増減分析の内訳については、グラフと数字で示しているとおりです。

営業利益の増減要因分析(計画比)

こちらのスライドは計画比での営業利益の増減要因分析です。

戦略投資について

戦略投資としての人的資本投資は58億2,300万円となりました。2024年3月期は既存従業員の昇給率を上げ、全体的な給与水準の引き上げを行いました。加えて、各業界・業種における実務経験者も積極的に採用しました。我々の「人が競争力」という考えのもと、健康経営やD&I推進といった取り組みに対しても積極的に投資してきました。

もう1つはデジタル投資です。働く環境をより良くすることは定着率に直接関わってきます。プロフェッショナルDXサービスの開発、そしてChatGPTを含むAIへのさまざまな取り組みなど、デジタル投資も積極的に進めています。

また、新規事業への投資として、グローバル戦略コンサルティングと行政/公共コンサルティングの機能強化として、人材採用も含めた投資を行っています。

2024年3月期 バランスシートの状況

バランスシートの詳細については資料をご覧ください。配当や自己株式取得など積極的な株主還元を行っており、現預金と純資産が減少していますが、自己資本比率は77.1パーセントと高い水準を維持しています。

2024年3月期 キャッシュ・フローの状況

スライドはキャッシュ・フローの状況です。

主要KPI① (チームコンサルティング指数)

主要KPIの1つ目はチームコンサルティング指数です。売上高、件数、社数のすべてのKPIにおいて2023年3月期を上回り、過去最高の結果となりました。

主要KPI②(ベース売上高)

主要KPIの2つ目はベース売上高です。弊社ではチームコンサルティングを含め、6ヶ月以上の長期契約サービスで構成される売上高をベース売上高と呼んでいます。これを安定的に成長させていくことは、持続的成長にもつながるため、主要KPIとして掲げています。こちらも前年同期を上回り、過去最高の結果となりました。

従業員数の推移

従業員の推移については、目標640名としていたところ、2024年3月期は600名に留まり、目標に対して40名未達となりました。

2024年3月期はM&Aによるグループの拡大がなかったこともあり、開示している採用計画には届きませんでした。しかし、既存の経営コンサルティング領域では予定どおりの採用が行えており、結果として前期比で34名増となりました。

また、人的資本投資として報酬処遇や働く環境等をより良くすることは、従業員のエンゲージメント向上につながります。人材の流動性が高まる中、退職を防ぐ対応が必要だと考え、人的資本投資を実施しました。

新たな取り組み(トピックス)①

2024年3月期の新たな取り組みとして4つのトピックスをご紹介します。

1つ目は、海外プレスリリース×戦略PRの支援として「Global PR Wire」の提供を進めています。海外進出や海外販売の入口として、海外にどのようにプレスリリースしていくかは大変重要です。

会員数は2023年3月期末の900社から2024年3月期末は1,543社となり、1年で643社増加と、順調に推移しています。配信先としても全世界をカバーできるよう、業界に特化する世界のジャーナリストに直接リリースを届ける唯一のサービスとして、引き続き強化していきます。

2つ目は、サービス業向けERPシステムの導入支援です。日本オラクルの「NetSuite」をメインに据え、連携することでERPシステムを実装する段階に入っています。特に地方で遅れているDXを社会課題と捉え、タナベコンサルティングとグローウィン・パートナーズとの連携により、社会に貢献していきたいと考えています。

新たな取り組み(トピックス)②

3つ目は「MIRAI承継」の提供です。昨年10月にM&A仲介にも本格参入したことから、サポートできる範囲が広がりました。しかし、M&A仲介においては後発となりますので、「MIRAI承継」とブランディングをし、事業承継サポートと合わせて、タナベコンサルティングらしくM&A仲介を進めていこうと考えています。

4つ目は、行政/公共コンサルティングの提供です。引き続き、地域密着の強みを生かし、入札を行っており、昨年も数多く手がけることができました。地域創生、サステナビリティのほか、最近ではDXの進め方に関する支援も行っています。

2025年3月期通期 業績見通し

2025年3月期の業績見通しです。中期経営計画で掲げている売上高と営業利益の目標値を達成し、過去最高を更新する計画を発表しています。売上高135億円、営業利益14億8,500万円、経常利益も同額の14億8,500万円、そして親会社株主に帰属する当期純利益は7億8,500万円です。前期比はスライドに記載のとおりです。

営業利益の増減要因①(採用計画)

営業利益の達成に向けた増減要因として、1つには採用計画の見直しがあります。2025年3月期は、既存人員の生産性向上と報酬処遇をより良くすることに注力し、採用計画を一部見直しました。中期経営計画では当初、採用人数を720名としましたが、2024年3月期比では60名増の660名に変更しました。

弊社は全国に展開している強みを活かして、コンサルタントの経験者よりも実務経験者の採用に力を入れているという強みもあります。また、M&Aによる人員増も見込んでおりますので、2026年3月期の目標800名は継続して掲げています。

営業利益の増減要因②(増益計画)

営業利益の増益計画としては、増員の採用計画とデジタル投資について見直しを行います。原価および販売費の増加を売上高の増加で吸収することに加え、売上総利益を改善することで、営業利益の増益を実現します。これにより、中期経営計画で掲げる売上高と営業利益を達成する計画です。

中期経営計画(2021~2025) 数値目標

以上の計画を踏まえ、成長戦略について中期経営計画に基づいて説明します。中期経営計画最終年度の1年前にあたることから、2025年3月期は連結売上高135億円、連結営業利益14億8,500万円を目指して経営しています。

収益力を一層高めながら、中期経営計画では2021年3月期の売上高92億1,300万円を発射台とし、オーガニック成長で売上高130億円、M&Aの推進によって売上高20億円を上乗せした売上高150億円を目指します。

プロフェッショナルDXサービスモデルの強化

「プロフェッショナルDXサービス」に関しては、引き続きM&Aにより拡大し、中期経営計画最終年度の2026年3月期までに一気通貫の経営コンサルティングモデルを完成させる方針です。

中期経営計画(2021~2025) 経営コンサルティング領域別売上高計画

中期経営計画において、2026年3月期の売上高150億円という計画は変更していませんが、経営コンサルティング領域別の売上高計画については変更しています。

組織変更により、全国の事業所を経営コンサルティング領域別の組織に細分化したことに伴い、売上高も新組織単位での集計となったことから、各領域の売上高計画を修正しました。

また、デジタル・DX支援による売上高の一部を各経営コンサルティング領域で計上する方針ヘと変更し、2026年3月期計画ではデジタル・DXの計画を50億円から40億円に修正しています。

これは、各経営コンサルティング領域でもデジタルの実装が増えており、そのデジタル実装の売上を切り出して、デジタル・DXの売上に集約することが少し不自然な動きとなるためです。

それに伴い、各領域の計画も変更しています。ストラテジー&ドメインが26億円、デジタル・DXが40億円、HRが28億円、ファイナンス・M&Aが21億円、ブランド&PRが28億円、その他が7億円という内訳です。強化領域についてはスライドの表に記載のとおりです。

プライム市場上場維持基準への適合

プライム市場上場維持基準についても、課題であった流通株式時価総額と1日平均売買代金の基準をクリアしました。

資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

資本コストや株価を意識した経営実現に向けた対応として、中期経営計画ではROE10パーセント、時価総額250億円以上を掲げています。

また、中期経営計画を達成する当期純利益の拡大、株主還元方針の変更・実施、そして時価総額に係る部分として株価を高める施策については、引き続き進めていきます。

サステナビリティ戦略(ESG)

サステナビリティ戦略について集中的に議論するため、サステナビリティ委員会を設置しました。また、マテリアリティも特定し、気候変動対応やコーポレート・ガバナンスを強化していきます。

サステナビリティ戦略(ESG)(S) 人的資本マネジメント(採用・育成・活躍・定着)

その中でも特に重要なものは人的資本マネジメントです。経営コンサルティングファームの場合、継続して向き合っていく必要があります。引き続き、積極的かつ計画的に実務経験者を採用していきます。

これまで約8年間で構築に注力してきた企業内大学「TCGアカデミー」では、14学部1,400講座となり、独自の育成モデルが完成しつつあります。これをしっかりと活用し、現有の人材の生産性をさらに高めていきます。

株主還元方針

株主還元についてです。株主還元方針として、連結総還元性向100パーセントを目安とし、DOE(株主資本配当率)は6パーセント以上とすること、また、機動的な自己株式取得を引き続き掲げています。これらの方針を2026年3月期までの中期経営計画最終年度までしっかりと実施していきます。

株主還元(自己株式の取得)

還元を機動的に行う一環として、先日、自己株式取得の決定を発表しました。株式取得の総数は50万株で、取得価額の総額は3億円です。取得期間は今年10月31日までとしています。

株主還元(配当金)

2025年3月期の配当については、年間配当金は前期比プラス2円となる46円、配当性向97.8パーセント、総還元性向134.3パーセントを計画し、株主のみなさまのご期待に沿えるように経営を進めていきます。

質疑応答:ファイナンス・M&Aが想定を下回った背景について

司会者:「経営コンサルティング領域別の売上高について、ファイナンス・M&Aが想定より伸び悩んだ理由として、地域での売上が伸び悩んだことを挙げられていましたが、これは一時的な要因でしょうか、それとも今後も続く要因なのでしょうか。背景も含めて教えてください」というご質問です。

若松:2024年3月期において、都市部では特に企業価値ビジョンやホールディングス化・グループ経営に関する相談が増加しました。企業価値ビジョンは、上場会社向けのサービスであり、またホールディングス化・グループ経営においても、中堅規模以上の企業からの相談が多く、その結果として、人的資本の配分が都市部に集中する形となりました。

地域に関しては、2023年10月以降、M&A仲介への本格参入を含む人的資本の強化を行っており、実際に地域でのニーズも高まってきております。2024年3月期では都市部へのウエイトが少し増えましたが、2025年3月期にはファイナンス・M&Aに関するニーズが地域で増加する傾向にあると考えており、一過性であると認識しております。

また、ファイナンス・M&Aに対するニーズの高さを踏まえ、今後もその強化を継続していきたいと考えております。

質疑応答:2025年3月期計画における利益改善の背景と施策について

司会者:2025年3月期の計画では、2024年3月期から営業利益が47パーセント増加し、利益率も大幅に改善する予定ですが、その要因について教えてください。また、1人当たりの生産性向上の取り組みや考え方についても教えてください」というご質問です。

若松:弊社は、グループ企業を含めて上流工程の戦略策定から、中流~下流工程の実装・実行までを一貫して支援しています。特に、実装・実行支援の強化を図るために、M&Aによりグループ企業を増やしています。

今後も、M&Aは推進してまいりますが、実装・実行支援のウエイトが増えることで利益率が若干低下する傾向にあります。2024年3月期においては、人材補強も経営コンサルティング領域ごとに整ってきており、人材流動を防ぐための報酬処遇もより良くしています。今後の利益率変化の背景として、上流工程である戦略策定のウエイトをさらに増やしてまいります。

この部分のウエイトが高まることで、各経営コンサルティング領域での商品構成の変化以上に上流工程に重点が置かれることになり、利益率が変化していきます。また、昨年10月よりM&A仲介にも本格的に参入しており、この部分でクライアントへの課題解決を支援できれば、利益率の向上が期待できます。

新たにグループに参入する会社は、実装・実行型が多い傾向にあります。これらの企業が加わると、上流工程への志向が高まります。これらの取り組みは2025年3月期に向けての重要なテーマとして捉えています。以上の点から、売上構成や商品構成の変化とともに、利益率が変動する背景をご理解いただければ幸いです。

質疑応答:事業承継やDXに対する強みの活かし方について

司会者:「現在、特に地域において、後継者不足を含めた事業承継やDXが進んでいない点において、今後さらに進展が予想されます。そのような場合、支援する貴社の強みをどのように活かせるか、教えてください」というご質問です。

若松:北海道から沖縄まで、国内の主要都市10地域に事業所を展開し、長年にわたり地域密着で支援しており、クライアントの多くは社長や経営陣です。

事業承継やDXが進まず社会課題となっている背景には、地域の社長や経営陣の理解不足があります。「事業承継はまだ先の話だ」「我が社には関係ない」といった認識があり、DXについても「DXをして何が得られるのか」という疑問が存在します。

これは、弊社も努力不足であると自覚しており、社長や経営陣の皆様に向けて、これらのテーマにおける経営課題の優先度を高めていただくために、セミナーや研究会、フォーラムの開催等により一層、注力してまいります。そして、先述の弊社強みを活かしてまいります。

質疑応答:転職希望者から選ばれる理由について

司会者:「採用も計画の部分は順調だということでしたが、どの業界でも人材不足であり、やはり採用も難しくなっている一方で、御社が転職希望者から選ばれている要因について教えてください」というご質問です。

若松:弊社はコンサルティング経験者ではなく、業界に精通した「実務経験者」を積極的に採用しています。コンサルティング経験のない方は、入社後「本当にコンサルティングができるのだろうか」と不安に思われることが多いですが、企業内大学というインフラを活用し、専門性の高いコンサルタントへと育成しています。

採用ホームページや説明会資料等で、この内容を詳細に説明しています。経営コンサルティングファームとして、顧客企業に対して人材育成も提供しているため、「紺屋の白袴」「医者の不養生」にならないよう、プロフェッショナル人材の育成には非常に力を入れています。約8年前に立ち上げた企業内大学という独自の教育システムを評価して入社いただく方が多いです。

また、弊社は5つの経営コンサルティング領域を展開しており、それぞれ専門領域に分かれています。例えば、中期経営計画を担当するのは経営企画出身者、デザインやクリエイティブではデザイナーが入社してくるなど、多様な受け皿を設けています。さらに、北海道から沖縄まで地域に密着していますが、地域には多くの優秀な人材が埋もれています。コロナ禍以降、地域に貢献したいという方が増えており、Iターン・Uターン採用も積極的に行っています。そのため、同業他社と比べても人材の不足を感じていません。

パーパス「その決断を、愛でささえる、世界を変える。」や経営理念、価値観を対外的に可視化しており、採用時にはこれらの動画や資料等を必ずご覧いただいています。創業以来、「何のためにビジネスドクターになるのか」を大切にしており、この価値観に共感できない方は、優秀な方であっても採用しません。パーパス等を通じて、弊社の想いや価値観を伝えられていると考えています。

質疑応答:適正な営業利益率およびM&Aの対象規模について

司会者:「中期経営計画の残りの2年間で、2025年3月期の営業利益率が11パーセント、2026年3月期の営業利益率が12パーセントになる目標が掲げられています。若松社長が考えている先行投資などもある中で、タナベコンサルティンググループの営業利益率はどの程度が適正だとお考えでしょうか。また、中期経営計画の期間中、M&Aによって20億円分を上乗せしていくというご説明がありました。御社に持ち込まれるM&A案件数や企業規模などに変化はないのでしょうか」というご質問です。

若松:2026年3月期の売上高150億円、営業利益18億円という目標は、本来達成すべき数字であり、私自身もその重要性を認識し、強く自覚しています。

中期経営計画においては、「裾野を広げてトップラインを拡大する」ことを前半で実現してきました。私が社長に就任した時点での売上高は約70億円でしたが、2024年3月期には約127億円に増加し、企業規模および社員数も拡大しています。

また、今後もトップマネジメントアプローチによる付加価値の向上に引き続き注力していく必要があると考えています。ビジネスモデルにおいては、中流ないし下流工程である実装・実行段階のご支援は上流工程への引き上げを図り、その上流工程との組み合わせによって付加価値を増大させることを目指しています。

さらに、M&Aによる付加価値の向上も極めて重要です。2024年3月期における地域強化の取り組みと合わせて、ファイナンスチームと協力し、M&Aを通じて収益を強化する計画を進めています。

また、HR領域である経営者人材の育成にも積極的に取り組み、2025年3月期、2026年3月期とさらなる付加価値の創出を目指してまいります。重要なのは、常にトップマネジメント視点で経営課題を的確に把握し、解決していくことです。

また、経済産業省の統計によると中堅企業は約1万社存在します。弊社は、66年前から中堅企業に関する研究書籍を多数発行し、この分野での強みを築いています。中堅企業の特有の経営課題に対して価値ある提案を行い、付加価値を高めてまいります。

M&Aの対象規模に関しては、やはり弊社の3分の1や4分の1といった規模感の会社が多いです。常に経営コンサルティング価値と連動する戦略をデザインし、ビジネスモデルやバリューチェーンに反映させることを重視しています。

グループインした会社は、すべて過去最高の売上高を達成しています。トレンドに即した成長を維持しつつ、引き続きグループの拡大を推進していきたいと考えています。

配信元: ログミーファイナンス

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