東洋テック、営業利益と経常利益が2桁成長 今後も万博の警備受注や警備会社M&Aによる増収増益基調を維持する見通し
発表者 プロフィール
池田博之氏:東洋テック株式会社社長の池田です。本日はお忙しい中、当社の2024年3月期決算・会社説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。短い時間ではありますが、どうぞよろしくお願いします。
私のプロフィールはスライドに記載のとおりです。お手すきの際にご一読いただければと思います。
目次
本日ご説明する項目です。はじめに当社の会社概要、続いて5月9日に発表した2024年3月期の決算概要、最後に対処すべき課題と今後の取り組みについてご説明し、「大阪・関西万博」についても触れたいと思います。
会社概要 ~東洋テックとは~
当社は、警備とビル管理の会社です。今から58年前の1966年1月に、福徳相互銀行を設立母体とし、東洋警備保障株式会社という金融機関向けの機械警備会社としてスタートしました。全国には約1万500社の警備会社さまがありますが、関西では当社が唯一の上場企業となっています。
会社概要
会社概要です。ご説明は省略します。
沿革
当社の沿革です。こちらもご説明は省略します。
会社の株式に関する事項
株式に関する資料です。詳細のご説明は省略しますが、近年、政策保有株式の売却により流通株式数が増加し、個人株主の方が増加しています。
2024年3月末時点での当社の総株主数および個人株主数は過去最大となっている点が特徴です。
業務概要
業務概要です。当社本体を含めた東洋テックグループは、2024年3月末時点では計6社で構成されており、スライドに記載のとおり、各社が警備、ビル管理、不動産の各業務を担っています。
売上比率は、警備事業が約3分の2を占めており、次いでビル管理事業が約3分の1程度、残りが不動産事業となっています。
業務概要~警備事業~
警備事業の売上の内訳です。機械警備が約4割を占めています。この機械警備は主に、建物にセンサーやカメラを設置し、そのセンターが異常を感知した場合、当社のパトロール隊員が駆けつけるという警備スタイルです。
次に売上が多いのは常駐警備です。こちらは、オフィスビルや集客施設などの建物に警備員を常駐させる警備スタイルです。
他には、金融機関の貴重品類を輸送する輸送警備、ATMの資金管理などを行うATM管理なども行っています。
業務概要~ビル管理事業~
ビル管理事業についてです。当社は大規模修繕をはじめ、消防、エレベーター、給水等の建物設備の管理業務、フロアの日常清掃や貯水槽などの定期清掃など、建物に関するあらゆる業務をフルサポートしています。
業務概要~不動産事業~
不動産事業では、主に賃貸業務と仲介業務を行っています。賃貸業務においては、現在、収益不動産投資を計7件実施しており、安定的な賃貸収入を得ています。
当社が不動産事業に参入している理由は、賃貸収入や仲介手数料を得ることはもちろんですが、不動産情報を早期に取得し、他社に先駆けてビル管理を一括して受託するためのアプローチを行うことも大きな目的としています。
例えば、ビルオーナーの交代やビルの建替えなどの不動産情報を早期に取得した場合、常駐警備、受付業務、機械警備、ビル管理業務、清掃業務など、ビル全体をワンストップで受託するためのアプローチを行うことができます。
このように、川上でいち早く情報収集することで、シナジー効果を発揮しています。
警備・ビル管理を一括で請負う
当社の特徴と強みについてご説明します。当社の強みの1つ目は、ビル1棟の管理を丸ごと請け負える総合ビル管理の会社であることです。一般的にビルの管理は、設備管理はA社、清掃はB社、警備はC社というように、業務ごとに受託会社が異なることが多く、業者とのやりとりが煩雑になる傾向があります。
一方、東洋テックグループでは、ビル管理に関わるすべてをワンストップで行えるため、お客さまのご要望に合わせてビル1棟を丸ごと請け負うことが可能です。
業務効率化やコスト削減の観点で見直しを行う企業さまが増えており、今後もこのような強みを活かした総合ビル管理を提案していきます。
業績の安定性
当社の強みの2つ目は、業績の安定性です。当社は創業以来、営業利益・経常利益は黒字を確保しており、スライドのグラフのとおり、売上高も13期連続増収となっています。
警備業務や清掃業務はストックビジネスであるため、毎月コンスタントに収入が得られるものです。リーマン・ショックや新型コロナウイルスなどでも業績が大きく下振れることなく、比較的安定した業績を維持することができました。
安定配当の実施
当社の強みの3つ目は、安定配当の実施です。業績が順調に伸長しているため、配当性向50パーセントを目処とすることを方針とし、安定配当を維持しつつ、増配も積極的に行っています。
2025年3月期については、業績推移を踏まえて年間40円への増配を予定しています。こちらの詳細は後ほどご説明します。
株主優待制度の新設
株主のみなさまへの還元策として、配当に加え、2024年3月末より新たに株主優待制度を新設することとしました。
以前より、このような説明会において投資家のみなさまから、株主優待の導入に関するご意見をたくさんいただいていました。そこで今回、株主のみなさまの日頃のご支援に対する感謝とともに、当社株式の投資魅力を高め、より多くの方々に当社株式を保有していただくことを目的とし、株主優待制度を新設することとしました。
株主優待の対象者は、500株以上保有されている方です。当社の株は、売買高が少なく流動性が低いという点で、株式投資を行う魅力に欠けていることが課題だと認識しています。そのため、株主優待の導入にあたっては、出来高の向上につながることと一定株数の保有を促進できることを目的に設計しました。
2024年3月期の概要
2024年3月期決算の概要についてご説明します。2024年3月期は、物価上昇や最低賃金の引き上げ、かつてないほどの人員ひっ迫など、大変厳しい環境となりました。
しかし、値上げへの取り組み強化、当社の営業・業務部門の組織改正、ビル管理事業会社の再編などの組織体制整備が完了し、前期比で売上高は増収、営業利益・経常利益は増益となりました。なお、親会社に帰属する当期純利益は、有価証券売却益の減少により減益となっています。
また、売上高は期末にかけて公表計画近くまで追い上げたものの、ビル管理事業の収益性改善の遅れや、不動産事業において大口案件の決済が翌期にずれ込んだことにより、利益は計画未達となりました。
セグメント別売上高及びセグメント利益の概要
セグメント別売上高とセグメント利益の概要です。警備事業については、当社および関連各社ともに堅調に推移しました。機械警備や常駐警備の値上げ効果で収益性が改善し、新規受注も好調に推移したことにより、増収増益となっています。
ビル管理事業は、当社との協働により増収増益となったものの、最低賃金の引き上げに対する値上げが後手に回ったことや、内製化・工事粗利改善の遅れにより利益面は伸び悩みました。
不動産事業については、既存物件の稼働率低下や新規物件取得による一時費用の増加により、賃貸事業の収支状況が悪化しました。また、テック不動産における大口案件の期ずれにより、前期比で大幅な減収減益となりました。
業績の推移(連結)グラフ
スライドには業績の推移グラフを掲載しています。後ほどご参照ください。
経営指標の推移
経営指標の推移です。自己資本比率は59.6パーセントと高水準を維持しています。PBRは0.62倍と依然1倍を割り込んでいますが、株主優待制度の導入や大阪・関西万博の受注などの好材料に反応して株価が上昇し、前年度より改善しました。
引き続き、企業価値を向上することでPBRの向上を図っていきたいと考えています。
中期経営計画
2022年4月に発表した中期経営計画の進捗状況についてご説明します。スライドは、2023年3月期から2025年3月期までの3年間における中期経営計画の概要です。
「社会的要請に応え、成長・発展し続ける企業グループ」を目指し、「構造改革への挑戦」をスローガンに掲げています。
数値目標は、2025年3月期に連結売上高350億円、営業利益17億5,000万円、経常利益19億円としています。こちらは、2030年度の売上高500億円に向けた第1段階として掲げたものです。
具体的な成長戦略についてですが、警備事業ではデジタル化を推進しつつ、サービスラインナップの拡充により、お客さまニーズへの対応をしっかりと行います。そしてビル管理事業では、総合ビル管理事業者としての元請力を高め、事業規模の拡大とともに収益力の強化を目指しています。
2025年3月期 業績見込み
このような計画のもと取り組んできましたが、中期経営計画の最終年度である2025年3月期は当初計画を下回り、売上高345億円、営業利益13億5,000万円、経常利益14億円を見込んでいます。
売上高は、戦略投資などがおおむね順調に推移し、ほぼ計画水準に達するものの、2025年3月期は収益重視の運営を加速させます。既存領域、特にビル管理事業においては取引解消も辞さない方針をもって、厳しい環境の中、確保した人材をより採算の高い事業に投入すべく、ストックの組み替えを推し進めます。そのため、当初計画を若干ながら下回る見込みとしています。
収益は、増益トレンドにはあるものの、計画策定時の想定をはるかに上回る賃上げの動向やビル管理事業の収益構造改革の遅延などがあります。したがって、残念ながら当初計画の実現は困難な状況で、当初計画を下回る見込みとなっています。
2025年3月期 業績見込み
2025年3月期の業績見込みは当初計画には未達となりますが、増収増益基調は維持できる見通しであり、引き続き企業価値の向上を図っていきます。
また、5月に警備会社のM&Aを実施しました。さらに、2025年の大阪・関西万博の警備も受注が決定しており、2026年3月期も増収増益基調は維持していくことができる見通しです。
このような業績見通しにもとづき、2025年3月期の配当は配当性向50パーセントを目処に、株主資本配当率(DOE)の要素も考慮した配当政策を検討し、年間配当は40円を目指していきたいと考えています。
成長戦略投資
対処すべき課題と今後の取り組み事項です。成長戦略投資の取り組みについて、第12次中期経営計画における戦略投資額は、3年計画で70億円としており、この中でM&Aや不動産の取得などを行っています。
M&Aについては、スライドに記載の警備会社3グループに加え、6月にもうひとつのグループのM&Aを実施し、主力事業の継続拡大による収益力の向上を図ります。また、不動産投資拡大などの資産ポートフォリオの見直しによる収益率の向上も図っていきます。
PBR向上に向けた取り組み
PBR向上に向けた取り組みです。2023年10月、自社の資本コストや資本収益性についての現状分析・評価を行い、改善に向けた方針を公表しました。
ROEを重要指標として認識し、成長戦略の実行、株主還元・資本政策の推進、IR活動の拡充などにより、エクイティスプレッドを改善するとともに、PBRの向上を図ることを方針としています。
先ほどご説明した、株主資本配当率の要素を意識した配当政策の具体的な内容については、今年度中に公表予定の次期第13次中期経営計画において明示する予定です。
大阪・関西万博への取組み
2025年4月に大阪で開催予定の大阪・関西万博への取り組みについてです。
日本国際博覧会協会発注の警備業務について、当社を幹事会社とする共同企業体での受注が決定しています。「共同企業体で受注とはどのようなことでしょうか?」というご質問をよくいただくため、ご説明します。
当社を幹事会社とし、セコム、シンテイ警備の3社で共同企業体を組成し、ゲート警備業務、会場警備業務を受注しました。この共同企業体での売上計上方法は調整中です。共同企業体の組織体制強化のため、2月に「2025大阪・関西万博推進部」を新設しており、業務の円滑な完遂に向け、東洋テックグループ全社一丸となって対応していきます。
また、会場警備の他に、会場の工事中の警備、パビリオンの警備に加え、会期中は公共交通機関での警備の需要が増えることが予想されます。当社では、そのような警備の受注に向けた動きをさらに強化するとともに、ビル管理においても積極的にアプローチを行っています。
清掃業務については、万博会場エリアにおける清掃業務を、東洋テックビルサービスが構成企業となっている共同事業体が落札しました。そちらも、共同事業体の一翼として全力で取り組んでいます。
大阪・関西万博への取組み
警備保障タイムズの掲載記事です。こちらもぜひご参照ください。
人的資本に関する取り組み
人的資本に関する取り組みについてです。現在、どの業種においても人材不足が深刻な経営課題となっており、特に労働集約型の警備・ビル管理事業を主業とする当社では、人材の確保に大変力を入れています。
スライド右上のグラフは、当社の新卒採用人数の推移を示したものです。2013年以降、積極的に新卒採用を行っており、コンスタントに50名程度を採用することを目指しています。
昨今の売り手市場に当社も大変苦労していますが、新卒採用の他にも、中途採用や社員の家族や知人への紹介制度であるリファラル採用制度を導入するなど、人材確保に向けて注力している状況です。
採用活動に加え、離職防止への対策も大変重要だと認識しており、メンター制度の導入や若手交流会などの実施により、人材育成および社員の定着率向上を図っています。
人的資本に関する取り組み
その他にも、社員エンゲージメント向上施策として、育児休暇制度の充実を積極的に図っています。健康経営優良法人や大阪市による女性活躍リーディングカンパニーに認定されています。
人的資本に関する取り組み
当社が提供するサービスの質は、すなわち人の質であるため、人材育成にも大変力を入れており、自社独自の教育機関、テックアカデミーではさまざまな研修を行っています。
また、研修の他にも「東洋テックグループS1グランプリ」という実技大会も開催しています。グループ全体の品質向上、目指すべき業務レベルの明示、社員の士気高揚を目的としており、昨年は総勢105名の競技者が各業務のスキルNo.1を目指し、競技に取り組みました。
社会の安全安心のため、今後も全社一丸となってスキルアップに取り組んでいきます。
株価推移
最後に、当社の株価推移をご紹介します。スライドのグラフには、2023年3月31日から2024年5月までの推移を示しました。
ご覧のとおり、2023年10月27日に「株主優待制度の新設に関するお知らせ」、2024年1月9日に「2025年日本国際博覧会警備業務の受注決定についてのお知らせ」を発表した時には、株価が大きく上昇しています。
本日ご説明した方針・施策により、引き続き企業価値の向上に取り組んでいく考えです。みなさまのご期待に沿えるよう、グループ一丸となって取り組んでいきます。
私からのご説明は以上となります。ありがとうございました。
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