明日の株式相場に向けて=レーザーテックの咆哮が響き渡る
名実ともに5月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比131円安の3万8274円と反落。前日の欧州株が全面安で、米国株市場でもNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに大幅安となり、きょうは3万8000円台割れがあっても不思議はなかった。だが思いのほか底堅く、後場は日経平均がプラス圏に浮上する場面すらあった。後場寄りから先物主導の戻り足となったが、市場筋によると「FOMC会合後のパウエルFRB議長の記者会見が想定よりもハト派に傾斜するとの観測が一部にあり、先物にショート筋の手仕舞いが反映された」(ネット証券アナリスト)という。早期利下げ期待は雲散霧消した状態だが、こうなると今度は売り方が疑心暗鬼となりやすい。もちろん、今晩の米国株はFOMC後のガイダンスを嫌気して波乱安となる可能性もあり、フタを開けて見なければ分からない。ただ、眼前にあるハードルはかなり低くなった。
売り方の疑心暗鬼といえば、その縮図のようなメカニズムが3連休明けとなった前日のソシオネクスト<6526.T>の値動き。前週末に発表された今期の低調な業績見通しにもかかわらず、貸株市場を通じた空売り筋の買い戻しが利いて想定外の上昇を演じ、マーケット関係者の耳目を驚かせた。前週末引け後のPTSの同社株の値動きを見る限り、3連休明けの取引でも急落決定のムードだったが、実際は真逆のベクトルが働いた。全上場企業の中で売買代金トップとなり9%高の大立ち回り。何が流れを変えたかといえば、連休中の欧米株の強さが挙げられるが、それは結果論であって、本質は“売り方の焦り”であったかと思われる。下がって当たり前の局面であるからこそ早く回収したい(買い戻したい)のだが、それに見合った売り板が朝方の投げ売り一巡で消滅してしまった。こうなると黙っていても株価には浮揚力が働く。「株は需給」といわれる所以(ゆえん)である。
そして東京市場において、きのうの主役がソシオなら、きょうの主役は紛れもなくレーザーテック<6920.T>であった。前日こそ売買代金トップの座をソシオに譲ったとはいえ、長きにわたって売買代金首位といえばレーザーテクの“定位置”である。きょうは、それに輪をかけて巨額の投資マネーが錯綜し、同社株1銘柄で6400億円を超える売買代金をこなした。ちなみにこの日、グロース市場に上場する全銘柄の売買代金を合計しても1000億円に届いていない。
売買代金だけでなくレーザーテクの株価は砂塵を巻き上げ突き進む重戦車のごとし、一時6000円超の上昇、率にして18%近い急騰をみせ一気に4万円台に乗せる場面もあった。同社株は日経平均の構成比では上位10傑にも遠く及ばないが、この日は日経平均寄与度で群を抜き、1銘柄で約70円近く押し上げるスーパー・パフォーマーと化した。
躍動の背景となったのは前日の取引終了後に発表した24年6月期第3四半期(23年7月~24年3月)決算で売上高が1572億円、営業利益が581億円といずれも前年同期比でほぼ倍増という変貌を遂げた。加えて1~3月期の受注高も前年同期比2.3倍の763億円と高水準に積み上がっており、生成AI市場拡大がもたらした先端半導体・AI用半導体需要の凄まじさを投資家の脳裏に焼き付けた。半導体関連株の業績は跛行色こそあるものの、2ナノプロセスの最先端半導体分野など成長スポットに足を踏み入れている銘柄であれば、その将来性は「顔パス」で担保されるようなところがある。レーザーテクはその象徴。AI用半導体(HBM)やその高集積化プロセスで必須のEUV露光など、マスクブランクス検査装置世界シェア100%の実力が改めて認知されつつある。
この今回のレーザーテクの好決算と同じフィールドに展開するAI用半導体関連の銘柄を探してみる。EUVレジスト原料を手掛ける大阪有機化学工業<4187.T>、HBM向け高誘電材料の製造で一頭地を抜くトリケミカル研究所<4369.T>、HBM用封止装置で独自技術を開花させるTOWA<6315.T>などが挙げられる。今すぐに結果が出なくでも、あくまで将来性という観点から押し目買いの有力対象となり得る。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分)にマーケットの関心が高い。また、朝方取引開始前に4月のマネタリーベースが開示されるほか、午後取引時間中には4月の消費動向調査が発表される。海外では3月の米貿易収支、3月の米製造業受注などが注目されている。中国市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
売り方の疑心暗鬼といえば、その縮図のようなメカニズムが3連休明けとなった前日のソシオネクスト<6526.T>の値動き。前週末に発表された今期の低調な業績見通しにもかかわらず、貸株市場を通じた空売り筋の買い戻しが利いて想定外の上昇を演じ、マーケット関係者の耳目を驚かせた。前週末引け後のPTSの同社株の値動きを見る限り、3連休明けの取引でも急落決定のムードだったが、実際は真逆のベクトルが働いた。全上場企業の中で売買代金トップとなり9%高の大立ち回り。何が流れを変えたかといえば、連休中の欧米株の強さが挙げられるが、それは結果論であって、本質は“売り方の焦り”であったかと思われる。下がって当たり前の局面であるからこそ早く回収したい(買い戻したい)のだが、それに見合った売り板が朝方の投げ売り一巡で消滅してしまった。こうなると黙っていても株価には浮揚力が働く。「株は需給」といわれる所以(ゆえん)である。
そして東京市場において、きのうの主役がソシオなら、きょうの主役は紛れもなくレーザーテック<6920.T>であった。前日こそ売買代金トップの座をソシオに譲ったとはいえ、長きにわたって売買代金首位といえばレーザーテクの“定位置”である。きょうは、それに輪をかけて巨額の投資マネーが錯綜し、同社株1銘柄で6400億円を超える売買代金をこなした。ちなみにこの日、グロース市場に上場する全銘柄の売買代金を合計しても1000億円に届いていない。
売買代金だけでなくレーザーテクの株価は砂塵を巻き上げ突き進む重戦車のごとし、一時6000円超の上昇、率にして18%近い急騰をみせ一気に4万円台に乗せる場面もあった。同社株は日経平均の構成比では上位10傑にも遠く及ばないが、この日は日経平均寄与度で群を抜き、1銘柄で約70円近く押し上げるスーパー・パフォーマーと化した。
躍動の背景となったのは前日の取引終了後に発表した24年6月期第3四半期(23年7月~24年3月)決算で売上高が1572億円、営業利益が581億円といずれも前年同期比でほぼ倍増という変貌を遂げた。加えて1~3月期の受注高も前年同期比2.3倍の763億円と高水準に積み上がっており、生成AI市場拡大がもたらした先端半導体・AI用半導体需要の凄まじさを投資家の脳裏に焼き付けた。半導体関連株の業績は跛行色こそあるものの、2ナノプロセスの最先端半導体分野など成長スポットに足を踏み入れている銘柄であれば、その将来性は「顔パス」で担保されるようなところがある。レーザーテクはその象徴。AI用半導体(HBM)やその高集積化プロセスで必須のEUV露光など、マスクブランクス検査装置世界シェア100%の実力が改めて認知されつつある。
この今回のレーザーテクの好決算と同じフィールドに展開するAI用半導体関連の銘柄を探してみる。EUVレジスト原料を手掛ける大阪有機化学工業<4187.T>、HBM向け高誘電材料の製造で一頭地を抜くトリケミカル研究所<4369.T>、HBM用封止装置で独自技術を開花させるTOWA<6315.T>などが挙げられる。今すぐに結果が出なくでも、あくまで将来性という観点から押し目買いの有力対象となり得る。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合の議事要旨(3月18~19日開催分)にマーケットの関心が高い。また、朝方取引開始前に4月のマネタリーベースが開示されるほか、午後取引時間中には4月の消費動向調査が発表される。海外では3月の米貿易収支、3月の米製造業受注などが注目されている。中国市場は休場。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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