[資源・新興国通貨4/22~26のポイント&注目通貨] 米ドルは引き続き堅調に推移するか

著者:八代和也
投稿:2024/04/22 13:57

今週のポイント

先週は引き続き米ドルが全般的に堅調に推移しました。一時、米ドル/カナダドルは1.38413カナダドルへと上昇し、豪ドル/米ドルは0.63617米ドル、NZドル/米ドルは0.58480米ドルへと下落。米ドル/カナダドルは約5カ月ぶりの高値をつけ、豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルは約5カ月ぶりの安値をつけました。

足もとの米ドル高の主な要因として、米FRBの利下げ観測の後退が挙げられます。米国の1-3月期のGDP(国内総生産)速報値などによって利下げ観測が一段と後退すれば、米ドル高圧力はさらに強まると考えられます。NZドル/米ドルは、0.57708米ドル(23/10/26安値)が下値メドです。

豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円に関しては、26日の日銀金融政策会合に影響を受けそうです。植田日銀総裁が会合後の会見で、「緩和的な金融環境が当面続く」との見通しを改めて示せば、クロス円を下支えする可能性があります。

中東情勢には注意が必要です。中東情勢の緊迫化への懸念が強まる場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があります。リスクオフはクロス円の上値を抑える要因と考えられます。

米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応に注目です。仮に為替介入(米ドル売り・円買い介入)が実施されれば、米ドル/円が下落して、それにクロス円も引きずられそうです。

25日にTCMB(トルコ中銀)の政策会合が開かれます。TCMBは3月の会合で5.00%の利上げを実施し、政策金利を45.00%から50.00%へと引き上げました。

トルコの3月CPI(消費者物価指数)は前年比68.50%と、上昇率は2月の67.07%から高まりましたが、カラハンTCMB総裁の発言をみると、25日の会合で政策金利は据え置かれそうです。カラハン総裁は16日に「インフレ率(CPI上昇率)は、今後数カ月のうちに75%程度でピークを迎える」とし、「24年末までに36%(※)へと鈍化する軌道に乗っている」と発言。「(TCMBの)利上げサイクルは終了した」と語りました。TCMBの3月の利上げはインフレ見通しの悪化が理由でした。市場は政策金利の据え置きを予想しているため、政策金利が据え置かれればトルコリラに大きな反応はなさそうです。

(※)TCMBは2月のインフレ報告で、インフレ率は24年末に36%、25年末に14%、26年末に9%になるとの見通しを示しました。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.10000NZドル>

4月17日に発表されたNZの1-3月期のCPI(消費者物価指数)は前年比4.0%と、上昇率は23年10-12月期の4.7%から鈍化したものの、RBNZ(NZ中銀)のインフレ目標(1~3%。2%が中間値)を引き続き上回りました。

国内要因のインフレ圧力を反映する非貿易財のCPIは前年比5.8%と、上昇率は23年10-12月期の5.9%から若干鈍化しましたが、依然として高水準であり、またRBNZの2月時点の見通しである5.3%を上振れました。NZのCPIの結果は、RBNZが早期に利下げを行う可能性を低下させるものと言えそうです。豪ドル/NZドルの上値を抑える要因になると考えられます。

今週は24日に豪州の1-3月期CPI(四半期)と3月CPI(月次)が発表されます。市場では、RBAは11月に利下げを行うとの見方が有力です(5月・6月・8月・9月の会合については、政策金利の据え置きを予想)。CPIが市場予想を下回る結果になれば、利下げ観測が強まる可能性があります。その場合には豪ドルが軟調に推移して、豪ドル/NZドルは下値を試す展開になりそうです。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.36000カナダドル~1.39000カナダドル>

FRBの利下げ観測の後退によって米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わっています。今後発表される米国の経済指標を受けてFRBの利下げ観測がどのように変化するかが、米ドル/カナダドルのカギを握ると考えられます。

今週は、米国の1-3月期GDP速報値が25日に、3月PCEデフレーターが26日に発表されます。FRBの利下げ観測が一段と後退する場合、米ドル/カナダドルへの上昇圧力はさらに強まりそうです。米ドル/カナダドルの目先の上値メドとして、1.38413カナダドル(4/16高値)が挙げられます。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想